「内容が理解できない、ピンとこない人は幸せな人」万引き家族 momongaさんの映画レビュー(感想・評価)
内容が理解できない、ピンとこない人は幸せな人
経験した人しかわからない、という感想を書かれている方がいますが、本当にそう思います。
話がピンとこない、なんだかよくわからない人は凄く幸せな家庭で生まれ育ったんだと思います。
柴田家の人々は全員、いわゆる「機能不全家族」で育った人ではないかと思いました。親から充分に愛されず、愛着障害を抱えて、その足りないものを求めているうちにここに集まったように見えました。
私の主人はまさに殴る蹴る、家に入れてもらえないという虐待を受けて育ったそうです。映画の中の、犯罪に走るほど貧しくても、愛情のある雰囲気になんだか羨ましく感じたそうです。
私も殴る蹴るはありませんでしたが、愛情の絆を築く能力のない親に育てられました。
実家に戻されたりんが、母親にじゃけんにされたあと、服を買ってあげるからこっちへきなさい、と言われたシーンにドキッとしました。たとえ殴られなくても、怒鳴られたり、絶えず言葉で圧力をかけられている感じで、何をしてもらうにも親の機嫌をうかがっていた自分と重なりました。
同じ親に育てられた弟は、不器用、ぐずと言われ続けて育ったあげく、働く気力がわかない、とワーキングプア状態です。
まともな家庭で育っていないことで、自分の能力を信じることができず、ケチな泥棒となった父親が、間違っていることはわかっていても、万引きしか教えられない、子供に何もまともなことを教えてやれない、というやるせない言葉がひしひしと身に沁みました。
まともな家庭で育った人なら、なぜ働いて食っていけないのか、と思うだけで、そう思える健全な心が育たなかった、ということがそもそも理解できないと思います。
りん(じゅり)のその後の人生が気になりました。