クレイジー・リッチ!のレビュー・感想・評価
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ゴージャス&コメディ
大富豪の名のある家に一般人が嫁ぐというよくあるストーリー。 題名通りクレイジーなほど金持ちでとにかく画面がゴージャスでそこにコメディを交えている、そして主要キャストがアジア人で締めているという話題性、アメリカでヒットするのがよくわかる。 コメディに関しては正直自分はそこまででしたがオーシャンズ8に出てたオークワフィナさんは笑えました。 もうコメディ女優としての風格が出てる。 本書がラッパーっていうが意外です。 ストーリーは玉の輿を狙ってたわけじゃない純粋な恋愛をしていたレイチェルは本当に可哀想で同情してしまう。 あの結末で本当に良かったです。
All アジアン。
普通にラブストーリーで、おもしろかった。
アメリカでずっとランキング1位だったので、
どんなものか気になり観てみた。
金持ちのばか騒ぎが愉快。
笑いもあり、ちょっと涙もあり、
よかったとおもう。
ハッピーエンドでそれもまたよし。
クレイジーリッチ、クソ金持ち。
みたいな感じかな。
韓流っぽいかな?
アジアンチックなラブコメとでも言えば良いのでしょうか?過度な期待を持たずに単純に楽しむべき作品だと思います。 昨年末に行ったシンガポールの夜を思い出しました。 シンガポールは治安も良くて旅行には最適なところです。マーライオンとマリーナベイサンズの定番の景色も一見の価値有り。
何故か泣けたね
ただ、いくらドレスアップしても、ぺちゃんこの胸や、けばけばしい仕上がりのメイク、上手いけど今一つニックが一目惚れする相手に見えない。 これ、ハリウッドだと別人に変身なんだよなー。 でも、ウェディングも素敵だった。世界のリッチは桁が違うね。 でも、ゴージャスなイヤリング、少しも嬉しそうじゃないあの方。好きなもの何でも手に入れられるのって却って不幸。ホントに欲しいものが分からなくなるみたい。
終始ハッピーな王道ロマンティック・コメディ!
私はロマンティック・コメディが大好きだ!
近年はハリウッドでもなかなかロマンティック・コメディが作られず、ジュリア・ロバーツ、メグ・ライアン、サンドラ・ブロック、キャメロン・ディアスらが活躍した90年代や、オードリー・ヘップバーンやキャサリン・ヘップバーンらが活躍したハリウッド黄金期のようには「ロマンティック・コメディ」というジャンルが市民権を得られていないのを、時代性も見据えて仕方ないことだとは認めつつも残念に思っていた。そんな中、ハリウッドにおいて、メインキャストをすべてアジア人でそろえたロマンティック・コメディが成功し大ヒットしたというのは、日本人である私にとって実に喜ばしいニュースだった。そして期待に胸を膨らませて映画館へ行けば、まさしく「これぞロマンティク・コメディ!」と叫びたくなる映画をアジア人の姿で見られることの重大な意義。白人を主人公にしたロマコメでさえヒット作が出ない現代に、この映画をヒットさせたアメリカと言う国を私は大いに見直した!!ロマコメの王道を行く、清潔で健全で洗練されてそしてチャーミングな実に正統派のロマンティック・コメディ。王道のロマコメでありながら、アジア人がメインキャストという新鮮さ。まぁ実際の問題として、メインキャストを特定の人種で統一するというのもある種の逆差別でもあるわけで、いずれはそういう映画も淘汰されていくであろうことを考えれば、この映画は今現在この時代だからこそ成立し得た作品だったかもしれないという風にも思うのだけれども、かといってアジア人のみでロマコメを作るという新鮮さだけに頼った映画では決してないところもとても嬉しいところだった。
ハリウッドの映画に出てくるアジア人(主に中国系)と言えば、騒々しくて品がなくてやや貧困なキャラクターが多かったように思う。しかしこの映画に出てくる中国系の人々はいずれもそれぞれに洗練されていて都会的でなおかつ裕福でモダンな人々。そういう人々を自然と描いているのもそれまでのハリウッド映画を思えば画期的なこと。現代のニューヨークの街並みを歩けば、観光客以外の中国系アメリカ人ですれ違うのはたしかにこういう人々だったりするものだ。そうしてアジア人をメインにした物語が洗練された男女のそれとして描くことが出来たのも、やはり洗練された現代のアジア系クリエイターが作り上げた作品だからなのではないだろうか。アジア人に対して欧米人が抱くイメージの全て裏手を行く、リッチで贅沢な姿をまざまざを見せつけて痛快以外の何でもなく、絢爛で乱痴気騒ぎをしてもどこかソフィスティケートされているところがまた好きだった。
王道を行く物語だとは言え、小さなジョークはそれぞれに冴えているし、終盤へ向けての展開にはやはり巧いなと思う部分が多数ある。クライマックスへ向かう展開で描かれるヒロインの心情の繊細さと現代的リアリズム。そしてその流れが実に綺麗で爽快。ついでに言えばあの浮気夫と妻のエピソードも好きだった。夫が浮気をしたことが許せないのではない。チャンスがすぐ目の前にあるのに掴もうともせずに自己憐憫に浸って浮気に走ったその不甲斐無さが一番許せなかった、という妻の気持ち。わかるよ。そりゃエンドロールでちょっとしたご褒美をあげたくもなるよね。こういう細部の説得力が、他の登場人物も含めた作品全体においてしっかりと描かれているのがまた好印象だった。一番は金髪の親友ペク・リン!よくあるヒロインの親友役の賑やかし要員のように見せかけて、こんなに親友想いの女友達なら誰だってほしい!映画を見ながら、ペク・リンと友達になりたい!と心底思ったほどだった。
近年はハリウッドに対してロマンティック・コメディというジャンルにおいてはまったく期待しておらず、事実ハリウッドの映画業界はこの映画をホワイトウォッシュしようとした経緯もあるようだ。それでもそれらを振り切ってアジア系で作り上げたこの映画を誇りに思うし、この作品を支持してくれるアメリカと言う国にはまだまだ望みはあると思う。ハリウッドが目を覚ますまでは時間がかかるだろうけれども、観客は登場人物が白人だろうが黒人だろうがラテン系だろうがアラブ系だろうがアジア系だろうがストレートだろうがゲイだろうがトランスだろうがクイアだろうが、いずれにしたって面白い映画を観たいのだよ、ということを声を大にして言いたいし、日本においても、ジャニーズだろうが電通だろうがテレビ局系列だろうがインディーズだろうが無名だろうが関係なく、面白い映画を観たいのだよ、とやはり言いたいのである。
移民2世の共感を得る、”バナナ”という表現に笑える。
今年一番のハッピーな映画かもしれない。単純に楽しいだけでなく、いろいろと画期的な作品である。話題となっているのは、ハリウッド映画ながら主要キャスト全員がアジア系であるということ。
ヒロインは、生粋のニューヨーカーで経済学の教授である中国系アメリカ人のレイチェル・チュウ。ある日、彼女の恋人ニック・ヤンが親友の結婚式に出席するため、一緒に故郷のシンガポールへ行こうと誘われる。しかも彼の家族や親せきに紹介するという。
ところが出発当日、空港で案内されたのはファースト・クラス。彼はアジア屈指の不動産王の御曹司だった…。しかも社交界ではセレブ女子たちが憧れる超人気の独身オトコ! 親族からは資産目当てではないかと思われ、セレブ女子たちからは嫉妬され、バッシングの中、幸せをさがすラブコメディである。
今春、大ヒット作品「ブラックパンサー」(2018)が、やはりアフリカ系アメリカ人によるヒーロー映画であることで注目された。これまでのハリウッド映画では、ヒーローはいつも"白人"であることに疑問を持つことはありえなかったからだ。
これは白人の国であるアメリカにおいて当然のことであったが、いまやハリウッド映画は世界マーケティングを前提としている。先の「ブラックパンサー」を製作したディズニーは、「スター・ウォーズ」シリーズでも、意図的に女性や有色人種をキャスティングしている。
本作でも、白人以外の役柄に白人をキャスティングする、"ホワイトウォッシング"の要請があったと、原作者のケビン・クワンは証言している。ヒロインのレイチェル役を"白人女性にしたい"という映画化オファーである。もちろんクワンはその提案を一蹴している。
そんな中、主演のレイチェル役に選ばれたのはコンスタンス・ウー(台湾系アメリカ人)、恋人のニック・ヤン役にヘンリー・ゴールディング(マレーシア)が選ばれ、原作に忠実な、画期的ハリウッド=アジアン映画が完成した。
いちばん有名な共演者は、ミシェル・ヨー(マレーシア)だろう。「007 / トゥモロー・ネバ―・ダイ」(1997)ではボンドガールを務めた元・ミスマレーシア。また、ニックの祖母アー・マー役は中国出身のリサ・ルー。
さらには日系人もいる。劇中でシンガポールのファッション・アイコンであるアラミンタ役を演じているのが、ソノヤ・ミズノ(水野苑陽)である。
なんといっても注目は、ヒップホップ・アーティストのオークワフィナ(AWKWAFINA)だ。彼女も中国系アメリカ人の父と韓国移民の母を持つアジア系。先日の「オーシャンズ8」(2018)にも女スリ師のコンスタンス役で印象的な登場をしていたが、彼女が話題となったのはそのアーティストとしての衝撃的なラップ曲「My Vag」(2014)である。直訳すると、"私のヴァギナ(性器)"だからね!
劇中では、レイチェルの大学時代の友達ペク・リンを演じていて、彼女の実家もシンガポールのお金持ち。庶民のレイチェルをセレブに負けないようにドレスアップさせ、高級車で送迎する。このシンデレラ物語において、カボチャの馬車とドレスを用意する妖精"フェアリー・ゴッドマザー"的ポジションなのである。
本作の設定は、原作者クワンの実体験から生まれている。だから本当にいるアジア系のスーパーリッチとはどんな人々なのかがわかる興味深い作品で、世代を重ねて家族を大事にし、自分たちのルーツである民族文化・風習も守っている。アジアの風習と同時に、セレブのファッションを楽しむこともできるし、その生活常識までものぞき見ることができる。
またアメリカでのヒットの背景には、移民の国における、"●●●系2世・3世"たちが共感するテーマにもなっていることだろう。
それを象徴する言葉に、"バナナ"という表現が出てくる。同じルーツの中国人だから分かり合えると思っているレイチェルに対して、"外見は黄色(アジア人)だけど、中身は白(アメリカ人)"とバカする言葉だ。
生まれたアメリカでは"少数民族"は差別され、ルーツである国では"貧乏アメリカ人"と見下される始末。さらに個人主義のアメリカ人に対して、血族優先主義の国があるという現実。
実は原作には続編「チャイナ・リッチ・ガールフレンド」と「リッチ・ピープル・プロブレムズ」がある。本作のヒットによって映画化されることは間違いない(第2弾はワーナーが先日発表済み)。
続編もいまから楽しみであるが、その前に、もう何度か見返してみたい作品である。
(2018/9/29/TOHOシネマズ日本橋/シネスコ/字幕:小寺陽子)
全米大ヒット納得。
これは、アメリカなら大ウケだろーなー、って作りだね。夢あり笑いあり良き仲間あり。展開がパーフェクト。主人公達が美男美女でないのも親近感あっていいのかも。とにかく笑ってスッキリできました。
王道であり斬新、懐かしくも新しい
個人的には今年必見映画の一つ。 彼氏の実家が実は超大金持ちで、ぱっと見平凡な女の子のシンデレラストーリーといえば既視感ありますが、でもやはり王道。映画見に行ったらやはりカタルシスを感じたいので、存分に堪能しました。大作でこういう王道は最近なかった気がします。 平凡なストーリーを非凡にしたのは、ハリウッドながらやはりアジア人のみで構成されたという点に尽きます。 主演女優は正直そこまでモデル級とはいえませんが(そこがいいのですが)、回りを固める俳優の美しいこと! 主演俳優の引き締まったガタイと優しい眼差しは、まさに王子様! 当方完全なオジサンですが、女性ならもっとこういう王道ロムコムを楽しめたのかなーと羨ましくすら思いました。 内容とは離れますが、残念なのは、日本であまりプロモーションされてないこと。 あと、中国礼賛という方がいるけど、それは申し訳ないけど違うかと。 シンガポール人も中国系アメリカ人もルーツである中国を理解している一方でアイデンティティは、シンガポール人としてであり、アメリカ人として持っている。リッチな中国人は出ておらず、あくまでリッチなシンガポーリアンが表現されている。
派手な舞台、目の保養
主演女優が美人過ぎないのが、この派手な舞台にリアリティを添えている。 金持ちはタダが好きとか、女性の妬みの凄さとか、あるけど主人公が自分の頭と能力、そして友人の支えを得て乗り越えていくところは、説得力ある脚本だった。 音楽や演出にかなり中国色が強く、そこがちょっと変な感じです。
普通に面白い
金持ち達の生態にはムカつくところもあるが、普通に面白いコメディだった。
ヒロインの周りの人たちかいい人達でまぁスッキリするが、最後どうして彼の母が納得したのかは今ひとつ腑に落ちない…
オークワフィナのコメディエンヌっぷりが良かった。
ゴージャスなハリウッド恋愛コメディ
生粋のニューヨーカーであり中華系アメリカ人女性で、経済学の教授レイチェル。 彼女が、恋人のニックに誘われて、彼の故郷シンガポールで行われる親戚の結婚式に同席がてら、彼の親族にお付き合いの挨拶をすることに。 実家の話を避けてきたニックの家族に会えることと、初めてのアジア旅行でウキウキするレイチェル。 しかし、着いてみたら、男はシンガポールで王族並みの暮らしをする、華僑の大金持ち一家の跡継ぎ息子だった! そして、「家」を一番大切に考える母からの精神攻撃や、金持ち息子(の身分と財産)を狙う他家セレブ女の嫌がらせが、レイチェルを襲う…… ってな展開で。残念だった点は、「桁違いにぶっ飛んだ金持ち」=「クレイジー・リッチ」という割には、彼の実家が、全然豪邸っぽくなく見えることだったけれども。 よくある「身分の差カップル」のラブコメ映画の域を出てないし、ありがちな展開ばかりなんですが。 それだけじゃなかった。 下手な感情的演出や、大声のセリフなどは使わない、すごくシンプルかつ知的に見せる演出に、上手い! よく出来てるな~! と感心。 ラストへの流れは完璧で最高。 あと、これだけアジア人種しか出てない映画なのに、アメリカ国内でヒットしたってのは、すごい。 移民が多く、また人種は関係ない「アメリカ人」って考えが支持されてる国ってことが大きいのかな。 冒頭の「白人しか泊めないロンドンのホテル」への反撃シーンなども含め、人種差別へのアンチテーゼも振りかけられていて。 ここにも、反トランプの影が見て取れます。 これを「成り上がり中国人が投資して、コンプレックスから白人社会を揶揄する映画を作らせた」なんて受け取ったら、「己がアメリカをはじめとした諸外国の移民事情に関して無知である」と晒すことになりかねないので要注意だな、と。ヘイトにもなりかねないし。 実のところ「アジアン系移民」の話、かつ「アメリカが勝つ」流れなので、「中国人もの」ではないのが肝。 いってしまえば、「アメリカが勝つ」シンプルでゴージャスなハリウッド映画で、恋愛コメディとして楽しめばいいと思います。
中国のコンプレックス丸出し映画
まず最初から欧米人に恥をかかせるシーンから始まる。そこらへんに中国人のコンプレックスを感じる。それ以降も往々にして自己顕示欲丸出しの金持ちの集いシーンを見せられる。主人公にしても屈強に立ち向かうという感じが弱くイマイチ共感できなかった。
古くさい価値観に終わりを告げる時がきた!
これは楽しかったわー ロマコメだと言うから、笑えて楽しいコメディかと思っていたら それだけじゃなくて 後半は、ヒロインに共感して、思いっきり泣いてしまった アメリカで暮らすレイチェルは、ボーイフレンドのニックから、いとこの結婚式に一緒に出席して欲しいと誘われる その結婚式は、彼の故郷のシンガポールで行われ、ニックには「僕の家族に会って欲しい」と言われ、軽い気持ちで返事をしたレイチェルだったけど、彼の家族はとんでもない金持ちだと知り… レイチェルの彼氏は、金持ちだけど、ちょっとやそっとじゃない、超ーーーー(クレイジー)金持ち!! アメリカの普通の家族で育ったレイチェルは、ニックの家族から冷たくあしらわれてしまう… レイチェルとニックは、とても愛し合っているけれど、そんなふたりの間には家柄や財産が、高く高くそびえていて、引き離そうとする その「愛する人と結婚するのか、それとも家柄と結婚するのか」という、アジアならではの恋愛問題が描かれている ふたりが愛し合っていても、親が反対したら結婚できないのか これまでのアジアの女性たちは、そういう家庭につくすような従順さが求められていた しかし、レイチェルのように、アメリカで育った女性たちは、そんな古くさい考え方を受け入れることができない… この映画は、オールアジアンキャストだけれど、アメリカ映画なので、欧米人から見たアジアンのイメージを描きつつも、アメリカ映画らしい新しい女性たちの姿を描いているところがとても良かった 私たちがいつまでも、従順で、あなたたちの思い通りになると思ったら、大間違いだからねっっ と思いながら観てたら、すごく共感しちゃって、ボロボロ泣いてしまった ただし、彼氏のお母さんを演じたミシェル・ヨーが本当に最高なんだけど、最高に怖くて… 確実に負けてしまう… 果たして、レイチェルは、どう彼の家柄に立ち向かっていったのかは、ぜひ、映画でご確認を もう、家柄、資産、ブランド至上主義、ふざけんな!そんな映画だった(笑) 笑って、泣けて、スカッとする そんな映画なので、ぜひ!
アジア人によるアジア人のアジア人のための映画
いま世界中でベストセラーになっているケビン クワンの小説「CRAZY RICH ASIANS」をハリウッドで、アジア人監督、全員アジア人キャストによって作られた映画。興行成績は今年の8月に公開されて以来、連続第1位の記録を更新中。オーストラリアでも大人気だ。
この「CRAZY RICH ASIANS」は3部作の第1作目で、「CHINA GIRL FRIEND」が第2作目、3作目が「RICH PEOPLE PROBLEMS」で、3部作ともすでに出版されている。原作者ケビン クワンは44歳のシンガポール生まれで、エンジニアの父親、ピアニストの母親に連れられて子供の時にアメリカに移住したシンガポール人。
初めてハリウッドでアジア人による中国人の物語を描いた「JOY LUCK CLUB」から実に25年ぶりに2度目のアジア人によるアジア人の映画が作られたことになる。「JOY LUCK CLUB」が第二次世界大戦の悲惨な体験が淡々と描かれていたのに比べて、この映画は、ラブロマンスのコメデイ―だ。世界第1位の経済大国になった中国から来た人々のパワーをもろに見せつけられる。舞台はシンガポールで、そこに住むスーパーリッチな不動産王の御曹司と、シングルマザーに育てられたチャイニーズのニューヨーカーとの恋愛物語。
原作では伝統的な中国人の価値観と、アメリカ育ちの中国人の若い世代の意識の落差について、真面目に語られているが、映画ではそれを強調するあまり面白おかしく笑いを取るコメデイとして仕上がっている。
ストーリーは、
レイチェルはニューヨーク大学で経済学を教える教授。香港から移住したシングルマザーのケリーに育てられた。同じ大学で史学を専門にしているニックと恋人同士だ。
ある日、ニックにシンガポールに住む親友の結婚式に呼ばれているので、一緒にシンガポールに行こうと誘われる。喜んで休暇を取り、二人して機上の人となるが、乗り込んだ機内で案内されたのはファーストクラスの座席。レイチェルは何かの間違いだと思ってあわてる。しかしニックは笑って、せっかくの旅行なのだからこれで行こう、とレイチェルを説得する。
シンガポールで出迎えてくれたニックの親友コリンと、その許婚者アラミンタに会い、食事を楽しんあと、レイチェルは一人、昔のニューヨーク大学時代の親友だったペイク リンに会いに行く。ペイク リンの家はびっくりするほど立派な豪邸で、彼女は両親と兄弟家族と一緒に住んでいた。家族に暖かく迎え入れられたレイチェルは、恋人の名前を聞かれて、「ニック ヤングというの。」と答えた瞬間、家族全員が凍り付く。レイチェルの恋人は、シンガポール一の大富豪の跡取り息子だったのだ。エルメスを普段着にしているペイク リンの家族の面々は、ノーブランドのワンピースを着ているレイチェルが、そのままニックのお婆さんの家で開かれる晩餐会に行くつもりでいることに驚愕。そんな服でヤング家のパーテイーに出られるわけがない。新友ペイク リンはレイチェルに、デイナードレスを着せて、一緒に晩餐会に行く。
レイチェルはお城のようなヤング家で行われている贅沢なパーテイーに、肝を冷やしながら、ニックに家族や友人たちを紹介されて、委縮していく自分に気が気ではない。
ニックの母親エレノアと祖母は、レイチェルを迎い入れるが、冷ややかな空気は変えようがない。レイチェルに出来ることは、エレノアの指にある巨大なエメラルドの指輪を褒めることくらいしかない。
翌日はバッチェラーパーテイー。男達は、ヤング家の所有する島でバカ騒ぎ。レイチェルはニックの許婚者アラミンタの女友達とでバッチェロパーテーに加わる。しかしレイチェルはニックの昔のガールフレンドたちから嫌がらせを受け、ベッドに腐った生魚を入れられたりする。カルチャーショックと、ニックの恋人としての嫉妬ややっかみを受けて、傷つきながらも、レイチェルはコリンとアラミンタの結婚式の参列する。
しかしその夜、レイチェルはニックの祖母と母親エレノアに呼ばれて、レイチェルは母親が浮気して生まれた私生児だと言うことが調べで分かったので、そのような娘をヤング家に迎えるわけにはいかない、と宣告される。レイチェルは自分の父親のことを知らない。自分でも知らなかったことを調べられて知らされた上、たった一人の身内である母親を侮辱されて、レイチェルは親友パイク リンの家に駆け戻り、惨めな自分が情けなくて食べ物も喉を通らない。ニックに会う気力もない。
ニューヨークから知らせを受けた母親ケリーが、レイチェルを連れ戻しに来る。ケリーはレイチェルに、本当に事を話す。父親は暴力をふるうような男で、良い人ではなかった。昔好きだった人と再会して妊娠してしまった。その事を夫が知ったら大変なことになるとわかっていたので、夫にも恋人にも何も告げずにひとりアメリカに逃れるしかなかった。レイチェルを産み、苦労しながら育てて来たが、それが自分にとって何よりも喜びに満ちた人生だった、と母は言う。レイチェルは母親と二人でニューヨークに帰ることにする。
その前に、ニックにさよならを言うために会うと、ニックは跪いてレイチェルにダイヤの指輪をささげて、求婚する。ニックの母親と話をしなければならない。レイチェルはニックの母親エレノアを麻雀屋に呼び出して告げる。麻雀で私が勝ったらニックは私のもの。もしお母さんが勝ったらニックはお母さんのものです。レイチェルはそう言ってゲームを始めるが、レイチェルはわざと負けて、その場を去る。
レイチェルとケリーは、来た時と大違い、ニューヨーク行の格安エアラインのエアアジアに乗り込む。その機上にニックが飛び込んできた。ニックの母親エレノアの巨大なエメラルドの指輪を差し出して膝まずき、再びニックはレイチェルに求婚をする。
というお話。
コメデイだが、純情な二人の恋人たちに泣き、心温まるシーンで終わる。
それにしても、映画を観ていてつくずく感じたのは、アメリカ人も中国人もお金が好きな国民だということ。徹底した拝金主義、物質至上主義で、贅沢をして物質で豊かさを形で表さないではいられない国民性。アメリカ人と中国人って、とても似通っている。
映画でシンガポールの観光旅行を楽しむことができた。素晴らしいシンガポールの観光名所が全部出てくる。どでかいチャンギエアポート、マーライオンのパーク、5つ星のラッフルズホテルのコロニアルスタイルの優美な外観と、スウィートルームの贅沢なスペース、それと度肝を抜くマリーナベイサンズ ホテルのプール。このプールは、3つの高層ビルを空中でつないだ空中庭園の中にある。それとガーデン バイザ ベイのウオーターフロント公園で豪華な結婚式が行われる。ふんだんに花と水を使った、贅沢で見事な演出。これ以上華麗な結婚式はない、というくらい美しい。チャリーン、結婚式の費用だけで800万円。
ニックの親友のお嫁さんアラミンタを演じたソノヤ ミズノは、日本人とのダブルでファッションモデルでバレエダンサーだそうだが、背が高くてプロポーションが良くて絵になるような美しいお嫁さんだった。
これほど要所要所シンガポールの観光アイコンが使われているのに、意外なことに撮影のほとんどはマレーシアで行われたそうだ。ニックのお婆さんのお城の様な屋敷は、マレーシアの超高級ホテルだったカルコサス リネガラという歴史的な建物で、ニックのお母さんのモダンな海辺の家もマレーシア。コリンがバッチェラーパーテイーをしたのはマレーシアのラワ島、バッチェロパーテイーはランカウイ島だったそうだ。
アジア人の映画で楽しいのは、出てくる男達が美しいことだ。この映画でも主役のヘンリーゴールデイングが とても素敵。31歳、身長186cM。マレーシア人と英国のダブルで、イギリス育ち。彼にとってこれが初めての映画出演だというのだから驚きだ。これまでTVの司会や旅番組のホストだったそうだ。歩き方から食べ方、身のこなし方まで上品で美しい。
彼の親友役のクリス パンも素敵だし、ニックの従妹ジェマ チェンがとびぬけた美人だが、彼女のオットと元彼氏が、二人とも若すぎず、美しい肢体、渋い男の良さを体現していて忘れ難い。ピエル ペンと、ハリーシュン ジュニアという役者さん。いくつもの中国映画と韓国映画に出演しているに違いないので、記憶にとどめておこう。
主演女優レイチェル役のコンスタンス ウーは可愛い。でも美しさではニックの従妹役のジェマ チャンに及ばない。姿かたちと着こなしの良さではお嫁さん役のソノヤ ミズノに及ばない。また役者としては、レイチェルの親友を演じたオークワフィナに及ばない。オークワフィナは、話題作「オーシャン8」で、ケイト ブランシェットや サンドラ ブロックと共演して、大女優に負けない強い個性を見せてくれた。全く美人でないが、これからもハリウッドで活躍していく人だ。ヒップホップシンガーソングライターでもある。
準主役はもちろん憎まれ役ニックの母を演じたミッシェル ヤオだ。マレーシア人なのに中国映画と言えば、必ず彼女が主演だ。ゴング リーとか、チャンツ―ィ―が主役だったときはいつも重要な脇役を演じていて、流暢な英語を操るアジア人国際女優として不動の地位にいる。「クロ―チングタイガー」、「ゲイシャ」、「グリーンデステイ二ー」などに出演している。
そのハリウッドでもよく知られた大女優のミッシェル ヤオが、今回の映画でインタビューに答えて、自分はバナナだと言い出したのには とても驚いて考え込んでしまったよ。彼女がマレーシアで料理屋に連れて行かれた時、箸しかなくて、どうやって箸を使うか知らなかった。マレーシア人だが、その文化もしきたりにも疎い。アメリカで育ったアジア人はアメリカではアジア人といって差別と偏見にさらされ、アジアに行けば変な外人扱いをされる。欧米育ちのアジア人はみな、民族差別と差別の裏返し差別とでもいう立場で自分のアイデンティテイーに悩むものだ、と言っていた。とても共感できる。
アジア人による、アジア人監督と、アジア人キャストで作られたハリウッド映画ということで、これを観る欧米生まれ欧米育ちのアジア人は、欧米人とは全く異なった映画の受け止め方をしているのだ。アジア人だと、アメリカ生まれ、アメリカ育ちのアメリカ国籍のアメリカ人でも、顔を見た人は、「あんた英語しゃべれるか?」と聞いてくるし、「あんたの故郷はどこだ?」と問われながら育って大人になる。
国民の4人に1人は外国生まれという移民でできたオーストラリアに居ても、同様だ。「どこから来たの?」「英語わかる?」がいつもついてまわる。それをいちいち「おい、あんたの言ってることは人種差別で、人権侵害行為なんだぜ。」と解説などはせず笑って受け流して生きている。そこに痛みは無いといえるか。
その意味で、この映画を観て、コメデイなのに泣いて見ているアジア人が多かった、というレポートが とても理解できるものだった。
世界一の経済規模を持つ中国。長年コーカシアンの男が中心だったハリウッドで、プロデユーサーワインズバーグのスキャンダルを切っ掛けに、女性によるミートウー運動、権利保障を要求する運動が起き、俳優を含む映画関係者のなかで女性やアフリカンアメリカンやメキシカンアメリカンやチャイニースアメリカンがたくさん居るのに、登用されていない現状を、覆す動きが盛んになってきている。21世紀になって、ようやくここまで来た。もっともっとマイノリテイーによる映画が作られなければならない
どこに共感するか
シンガポールの先進文化に視点を置くのか、チャイニーズ賛歌として見るのか、あるいは純粋なラブストーリーとして見るのか。僕はラブストーリーとして肩の力を抜いて観たので、充分楽しめました。そして、Kinna grannisのI can't help falling in Loveが心に染みました。
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