「「オシャレ」に潜む、虚飾と自己顕示欲」シンプル・フェイバー 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
「オシャレ」に潜む、虚飾と自己顕示欲
〈衣服〉は、身に纏う者の“虚勢”であり“虚栄”
〈楽曲〉は、その時々の“心情”と“感情”
それぞれを表現に全面に用いた
新しいようで、どこか懐かしい作風でした
本作『シンプル・フェイバー』
颯爽とポルシェから降り
雨の中から登場しイッキに心を鷲づかみ!
な「エミリー」もさることながら
先代のスバル・クロストレック(日本名:XV)
アプライドモデルE型、しかもデザートカーキ色の車で
疾走する「ステファニー」の姿と相まって
ポップで豪胆なほどの行動的な彼女が
とってもチャーミングで、わたしはステキに見えました♪
「女は秘密を着飾って美しくなる」
某探偵マンガの登場人物、
コードネーム “ベルモット” の言葉です。
カクテルの王様とされるマティーニは
そのベルモットとジンを合わせたものです。
花言葉ならぬ〈カクテル言葉〉は
《知的な愛》だそうです。
「シスターキラー」、「ブラザーファッカー」
…と罵り合ったエミリーとステファニー。
ふたりの違いは何だったのでしょう?
秘密を隠すため、偽りで塗り重ねたエミリー…
秘密を隠すため、誰にでも甲斐々しく振舞う姿を、
聖人ぶった偽善者だと揶揄されていても
好奇心の赴くまま、自分を貫いたステファニー…
ふたりの対決を仮に〈 傲慢 vs 欺瞞 〉という
構図に置き換えてみたらどうでしょう?
どっちもどっちでしょうか?
ネットが普及した現代において “評価経済社会”
という考え方があります。
お互いを評価し合い、監視と管理を
同時に行う社会の仕組みを言うそうです。
「もっともな偽善は、真善と区別がつかない」
「やらない善より、やる偽善」
という言葉があるように
《相手にどう見えるかではなく、どう見せるか》 が
勝敗のポイントだったのだろうかと思いました…
まあ、そんな理屈は抜きにして
久し振りに胸がスカッとする気持ちのいい
作品を観れてよかった!
無理して強行スケジュールで
劇場に行った甲斐があった!!
でも最後にこの作品の字幕にツッコミをいれます!
エミリーを車で突き飛ばした
ママ友仲間代表の父親!(この時点でわたし失笑!)
「さすが静かな国産車!!」というセリフ!
いや、トヨタ・プリウス日本車だからッ!
アメリカ人が国産車って言うの間違いだからッ!!
2019/03/31 劇場にて鑑賞