「生活ギャップや現代ツールによって巧みに洗練された、古典的な仕掛け」シンプル・フェイバー Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
生活ギャップや現代ツールによって巧みに洗練された、古典的な仕掛け
いやぁ、良くできてる。面白い。先の読めないヒネリの効いたミステリー・スリラーだ。ライヴリーのファンにはたまらない。
最近、「女王陛下のお気に入り」や「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」など、有名女優による豪華共演が流行っている。こちらはアナ・ケンドリックとブレイク・ライヴリーという人気アラサー女優の共演だ。
"A Simple Favor=「ささやかな頼み」"という同名原作小説の映画化となる。
夫を事故死で亡くしたシングルマザーのステファニー(アナ・ケンドリック)と、息子の通う学校でママ友となった、ファッション業界で働くエミリー(ブレイク・ライヴリー)。
個人的な秘密も共有しあうほど、親しくなった2人だったが、ある日、"急用ができたので、息子を迎えにいってほしい"という、"ささやかな頼み"をきっかけに思わぬ方向に転がり始める。
エミリーは失踪し、やがて湖で水死体で発見される。エミリーの死をきっかけに、エミリーの夫とステファニーは急接近してしまい、家族ともども同棲がはじまる。
ところがエミリーには400万ドル(4億円)もの生命保険が掛けられていたことが明かになり、さらに息子2人はエミリーを見たといい、そこから死んだはずのエミリーの影がちらつくようになる。もうたまらない。
仕掛けは古典的なのだけれど、それを忘れさせてくれるのは現代的なツールと、主役2人の生活設定やファッションなどの視覚的要因。
ファッションブランドで働き、高級ファッションで身を固めるエミリーは、絶対に自分の写真を撮らせないミステリアスな女性。一方で、主婦目線の動画ブログをアップする庶民的なステファニーはGAPのカジュアルファッションという、生活格差のコントラストが楽しい。
その美貌だけでなく、選ぶ出演作の志向を含めて、ブレイク・ライヴリーのファンとしては、手放しで楽しめる完成度。
(2019/3/9/TOHOシネマズ日比谷/ビスタ/字幕:稲田嵯裕里)