「Red Fund」ゴジラ キング・オブ・モンスターズ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Red Fund
まぁ確かに表向きWin-Winってことなんだろうけど、どうにもあからさまに透けて見えるとこに“下品”さが鼻につくのだが・・・
それなりに日本産怪獣スペクタクルだけじゃなくてそのテーマ性でもある“共生”今風で言うと“Diversity”を盛り込んではあるけれど、中国アメリカ共、どの口が言ってるんだ?と訝しいことこの上ない、何か両大国の綺麗事を並べているようで鼻持ちならない気分なのである。折しも南海キャンディーズ山里&蒼井優結婚会見なんていう茶番が発覚した同じ日に鑑賞したからかもしれないがw
自分はゴジラ映画は余り記憶がないが、多分幼少の頃観ていたのだろう。そして最近で言えば“シン・ゴジラ”はかなりの良作だと評価させて貰っている。で、このアメリカ版の前回版は未鑑賞だ。しかしその辺りは観ていなくても過去に何があったのかは何となく説明はしてくれていたのでそこまでのストレスは感じない。それよりも今回の構成そのもののほうがツッコミどころ満載である。ま、前回もツッコまれていたがw
まずイの一番にツッコみたいのは吹替版における、主人公の声がまるで合わない田中圭。いくら“おっさんずラブ”で旬かも知れないがまるで印象の違和感が拭えない。そうなると益々主人公の演技にコミカルさが滲み出てしまって冷静に鑑賞できない。ケンワタナベの呆け顔も鼻につくし、チャンツィーのステレオタイプな優等生役演技も思い入れがはいってこない。黒人のおじさんの博士の所々冗談を言う件も、まぁやはりアメリカっぽいが馴染めない。総じて言うならば、人間ドラマのパートは、そのストーリーも含めて陳腐の一言である。母親が実は環境テロ集団と通じていた種明かしは必要ないのではないだろうか?
どのレビューでも書かれているだろうが、今作のキモは当然ながら怪獣大戦争であり、余すところ無くVFX技術と資金を注ぎ込んだ映像を愛でるための作品であろうことは誰しもが否定しない。迫力と繊細さとのハーモニーは流石ハリウッドである。決戦の地のフェンウェイパークは、ボストンレッドソックスの本拠地、そして思い起こされるのは“バンビーノの呪い”、ベーブルースがトレードされた先はヤンキースであり、後に松井秀喜が入団する。そんなニクイ舞台設定も意図的であり、なかなか考えられている。
相当、日本オマージュに彩られた、忖度作品であることには違いないし、そこに居心地の悪さは拭えないが、数少ない日本のコンテンツに対しての敬意は、我々以上にアメリカ人の真意なのかもしれない。そういう敬意の表れが、レビュー冒頭のあからさまな本音と建て前に影響されているかと思うと、なかなか興味深い鑑賞であった。ま、本音はアメリカ人は誰とも共生するつもりはないんだろうけどねw