「層の豊かさ。」未来のミライ ワラビーさんの映画レビュー(感想・評価)
層の豊かさ。
この監督の作品は正直今まで微妙でしたが、
今回この作品を鑑賞してファンになりました。
ドキドキワクワクを期待して鑑賞すると
確かに肩透かしを食ってしまいますが、
大人の視線で鑑賞するととても表現豊かに
子供のリアルな様子を描いていて
そして家族として一番新米だった主人公が
後輩未来ちゃんの誕生によって
責任感が芽生える心情が微笑ましく力強く感じました。
自分としてはハラハラドキドキ作品は
ハリウッド映画などに見られるように
展開パターンが決まっていて、
どんなにピンチになっても
スレスレのところでハッピーエンドに
なるのが分かりきっているので食傷気味という
こともあるからかも知れません。
逆にこういう作品は特定の立場の人に共感を求めながら
実は普遍的なテーマを描いているので
それについて深く考える機会を与えてくれると思うのです。
普遍的なものというのは一見当たり前過ぎて
素通りしてしまうことも多いものです。
やさしく分かりやすいエンターテイメントも良いですが
こういう作品が作れる日本映画はとても層が豊かになったんだなぁと
嬉しく感じました。
今見てつまらないと感じても、10年後20年後に見直してみると
違う感想を持ちそうな、そんな息の長い作品なのではないでしょうか。
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