フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のレビュー・感想・評価
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フロリダだけの話じゃないけど、場所がもつドラマ性
白人の貧困層のリアル、普段知ることのない生活。 前半はそれでもカラフルな映像なのもあり暗さを感じさせない。 あちゃー、ひどいやっちゃなー、言葉汚いなーと思うけどギリギリの生活を母も娘も楽しんでいる。 でもそれでいいのか? ムーニーがこのまま大きくなって母と同じようにしか暮らせないのなら? よくはない、、のだと思う。 だから結局ああいうラストになる。 果たして脱出に繋がるのか? 未来はカラフルではなく不透明でぼやけてる。
真夏の魔法にかけられて…
ずっと気になっていた作品を映画館にてようやく鑑賞。美しい映像を映画館で観れて本当に良かった。 ストーリーはフロリダのモーテルで暮らす貧困層の暮らしを子供の視点から描いたもの。 遊んで、悪事を働く子供たち、それは家庭環境が関わっているが、子供たちは純粋な目でその生活を送っている。一方で、大人はどうにかして収入を得なければならない。ショーン・ベイカー監督は貧困層のリアルを映像美と対比させて見事に描写した。パステルカラーで色彩豊かなフロリダのモーテル、健気な子供たち、生活に苦しむ大人、それを見守るモーテルの管理人、絶妙なバランスとアイロニーが映画全体を包み込む。ストーリー自体は終始鬱屈したものなのに、カメラワークや演出が巧みで映画に引き込まれる。 モーテルの外でタバコを吸うウィレム・デフォーの眼差しがとにかく切ない。このモーテルの管理人が映画にとってかなり重要だと感じる。 フロリダの真夏の魔法にかけられた気分だ。貧困と映像美、その痛烈な対比が鑑賞者を夢の国へといざなう。
夢の世界の片隅で起こっている現実。
これはアメリカの現状を映した映画。 日本にはなかなか馴染みのないモーテルでの生活が垣間見える。 幼い少女の目線で描かれるのは、アメリカフロリダ州の生活の様子。 少女は無邪気に、モーテルの仲間と楽しく遊んでいるだけだけど…。 ちょいちょい見えてくる周りの大人たちの困窮した生活が、子供たちにも影響を与えている。 大人たちが明日生きることもギリギリの中、子供たちの明るく楽しく遊んでいる。 その対比がモーテルの生活をよりリアルに感じさせる。 酷い大人ばかりの映画ですが、唯一の救いはモーテルの管理人のボビー。 彼の厳しくも優しい態度のおかげで、モーテルで生活する人々との共存が成されている感じ。 子供に厳しくも優しい、まるでお父さんのような彼の姿が唯一この映画での救いでした。 アメリカでのシングルマザーの現状を知ると共に、子供たちの生活の様子が知れたなかなかデープな作品。 ディズニーランドに遊びにきた楽しそうな家族がいる一方で、その側では安いモーテルでギリギリの生活を強いられている家族もいる。 夢と現実をうまく対比させた映画なのだと思いました。 こういう社会派な作品は久しぶり。 色々と考えさせられます。
I’m a manager.
いたずらの境目、大人の自由と危うさ、アイスクリームとネオンサイン、短歌に詠まれるような遠近、コントラストのバランスを感じました。描かれていない部分まで管理人の日常が伝わってくるウィレム・デフォーがいい味を出しています。
ポスターの印象とまるで違った
予備知識なしで鑑賞。 フロリダの安モーテルに暮らす貧しい人々。そこに住む6才の少女も当然育ちが良くない。眉をしかめざるを得ない悪鬼ぶりだが、しばらく見ていくとその逞しさが好ましく思えてくる。 彼女を取り巻く大人たちは表向きは厳しいようでみな優しい。モーテル支配人のウィレム・デフォーが実に良い。その距離感。 沢山の子供が出てくるが全く演技を感じさせない。普通にそこに居る感じ。これ重要だよね。 物語が進むにつれ厳しいドン詰まりな様相に。そしてラストシーン。これは観客への問いかけと受けとりました。どう捉えるかは各々で、と。重くも鮮やかさのある映画でした。
題名と表紙に騙されてはいけません
子供に対する(間違った)愛情はあるものの、 アホ女とアホ女に育てられて見事にアホ少女に育っている少女のどうしようも無い日常をダラダラとドキュメンタリーっぽく撮影した映画(?)。 評価の高いレビューが多いけど、何が良いの?とただただ疑問。 これを実録ドキュメンタリーとしてみれば、 アメリカの貧困層の現実を見事に捉えたとか言いようもあるけど、 単純に題名とジャケットのイメージだけで借りるとほぼ時間を無駄にする
子役の演技がエネルギッシュ
貧困の母子家庭、せこい犯罪で身を立てている、けれども親子の仲は良く、子どもはくったくなく明るい。子役の演技がエネルギッシュでかわいくて胸に響く。管理人の派手ではないがしずかな人間味もしみる。
真夏の魔法?
モーテルに住む貧しい親子の夏の日常生活が描かれています。 評価の良い映画だったので、何か変化があるだろうと序盤から続く子供たちが遊ぶ姿を眺めていましたが、メリハリがあわけでもなくおわりました。 ムーニー役の女の子の演技と苦境でも笑顔な子供達だけがすくいのえいがでした。 タイトルに「真夏の魔法」とあるがこれはどういう意味?と思った人は多いのではないでしょうか。
夢の国と貧困
貧困という暗いテーマを扱っているにもかかわらずコントラストの強いカラフルな映像で魅せているのが皮肉が効いており面白い。現代の貧困は実態が見えにくくなっているからこそ、目を背けずに考えることが大事だと感じた。
粋なおやっさん
支配人がいいおやっさんだなあと。 レンタルで久々に見た。 嫌いになれないなあと、思いました。 きっと、あのどうしようもない母親は全て欲しかったんだろうなあ。キラキラしたもの、楽しいもの、愛情。 全て欲しくて、どうにかなると思ってないとほんとはやってられない状況で。 それで、少しずつ歯車が噛み合わなくなってきて。 どうにか、彼女たちが幸せに暮らせる日が来てほしいなあ。
大人が泣く時 わかるんだ
ムーニー、きみの言う通りでした。 この貧乏長屋の物語は、そのまんま落語の世界。店子と大家の泣き笑いの日々だね。 夢の国ディズニーワールドの門前町で、大人たちは生きるために闘い、子供たちもコミュニティを作って互いに支え合う。 チープな町にも虹は立つ。 やんちゃな子供たちの映画と言えばスウェーデンのラッセ・ハルストレムの十八番だけれど、今回のアメリカの「フロリダ・プロジェクト」はもっと大人寄りの哀しみのあふれるストーリーでした。 親たちの慈味あふれる眼差しの先にはち切れんばかりの子供たちのエネルギーが光ります。 親と子ががっつりタッグを組んでいるところは是枝監督に近いかも。 あと「泥の河」も久しぶりに見たくなりました。ムーニーがお風呂でゆっくりお人形を洗ってやるシーンで固まったし。 お母さん役は素人とか、信じられない演技ですね。娘を手放す覚悟をしてからの時間の過ごし方が迫真! 管理人のウィレム・デフォー、アカデミー助演ノミネートは納得です。 でもあの子たち・・ タトゥーとマリファナの匂いとテレビとジャンクフードにまみれて、子供のための絵本の一冊も無い。 一足飛びに大人になってしまうのだろうか?脱出した先も大人たちの虚構の夢の国「シンデレラ城」だった事がね・・、ラストは胸が痛くなってしまった。 一度も泣かなかったムーニー。 最後に泣いた顔はたった6歳の子供の顔だった。
打ち上げ花火、どこから見るか
貧困層の親子の生活を、その中で生きる子どもの目線で描いた作品。ストーリーが進むにつれて、観ている側は、喧嘩をしながらも親子を見守るモーテルの支配人ボビー(デフォー)の視点になり、その親子を救えない現実に憤りを覚えることになる。貧困の中でも、毎日を冒険としてはしゃぎまくって生きる子どもたち、なんとか生活を守りたいと奮闘する若い母親をカラフルなトーンで魅力的に描いた上で、その生活を打ちのめす貧困を告発する、優れた映画でした。
鮮度が高い映画
鮮度が高い映画って感じがする。 ようするに、撮る側と見る側の途中過程が少なく、撮ってすぐ届けられたような、そんな印象。 映像的には現時点でいうと、退化する方向を選んでいるとも考えられるが、技術ではないところで美しさを表現できる、それを示した。こういう作風は増えるかもしれない。これまでも撮っている人はいたんだろうけど、映画作品として配給が認めるようになる、そんなターニングポイントになりそうな作品。 映り込む背景がとても魅力的。ストーリー的に人を追っているが、画は人を追っていない。その映像も新鮮に感じた。虹や倒木にシーンははっとする美しさがある。 て、シナリオ褒めてません。普通です。さらに、詰めれてません。 ただ、抜群のキャスティングと子供にこれだけの自由度を与えて撮る演出は見事です。
最後の数分の出来事だけで、涙が止まらなくなってしまった、まじか、魔法?
最後の数分前までは、詐欺宣伝の詐欺映画だと確信していた。 貧乏な母娘の、生でだらだらとした生活を、とめどなくスマホで撮影して。 売春、傷害、無銭飲食、窃盗、押し売り、その他もろもろ。 貧乏なのに、綺麗な服を着て、髪もいつも綺麗にセットして、肌もつやつや。 家賃も払えないのに、たばこや麻薬は切らすことがない。 それが、それがですよ、最後の数分に、児相に子供を取られそうになり、娘と友達が、まさかの、ディズニーランド逃避行。 その、行動よりも、子供たちの演技に、泣いてしまった。 それまで退屈で嫌悪感しかなかったのに。 たったの数分で印象が逆転した。 こんなことある、ないよね、魔法かな? 感動した、数分だけで、騙された? でも、心地よい、鑑賞でした、ありがとうございました。
アメリカの是枝裕和
個人評価:3.9 ある母娘を本当にリアルに描いた作品。ディズニーランドの側にある安宿のモーテルにも、フロリダのキラキラとした太陽は平等に美しく降り注ぐ。是枝裕和の様に嘘のない家族を描いた様な作品。綺麗で苦しく愛くるしい。 これからもこの監督に注目したい。
タンジェリンの監督×子供
あんなにもリアルな世界を生々しくも可笑しく描いたタンジェリンの監督が、子供を使って映画を撮るとこんなにファンタジックに見せかけることが出来るのか。 ただしそれは見せかけに過ぎなくて、嫌な影がちょいちょい姿を見せて…。大人には判るけど子供には理解できないその境界線が非常にうまく作られているなと思った。 ムーニーが一人お風呂に入るシーンとかね。子供が映っているシーンであんな嫌な見せ方するってすごいよね。 問題はラストシーン。オチを求めてしまっていた自分にとって、あれはどうなんだろうと思ってしまった。ただね…鑑賞後かんがえれば考えるほどあれでよかった気もするのね。あれって結局ムーニーの将来すら観客に考えさせていると思う。ムーニーは大人になったとき、きっとこの夏のことを思い出す。本当にたくさんの嫌なこともあったけど、それを塗り替えるくらいのマジックがあそこにはあったのかもね。見れなかった世界を見るってのは、人生経験上たいせつなことだしね。 この監督の凄さはさ、あまりにも"映画風じゃなく"描いているところだと思う。意識的なのかは不明だけど、起承転結とか、伏線とかわざとらしいストーリーとかが無くて、どっかの町の小さなニュースをずっと繋いでいる感じに見えるのね。でもそれが、大事な視点というか、ちゃんと現実ってことを観客に教えてくれてるんだよね。
観る人によって
受け取り方が全然違うんじゃないかなと思う。 (どの映画もそうだが) 「母親がひどい、努力すべき」と思う人は、きっと頑張ってきた人なんだと思う。 頑張って、何とかなってきた経験と知識がある人だから、母親のことを斜め上から見てイライラしてしまうんだと思う。 私はリアルだと思った。 事実として、こういう親子がきっといるんだろうと思う。母親も、子どもも目の前の現実と日々取っ組み合いしながら暮らしてるんだと思う。 こういうことを思う私も、たぶんこの親子をちょっと上から見ているのかなあ。 イライラした人も、それだけこの映画で感情移入したってことだよね。
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