ファントム・スレッドのレビュー・感想・評価
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男って奴は〜〜
ダニエル・デイ・ルイスの引退映画とされる本作。
神経質でこだわりすぎるドレスメーカーとして
ほぼ完璧な仕事をこなす主人公。
で、田舎のホテルの
平凡なウエイトレスだったヒロインのアルマは、
いきなり都会的で
いかにも上流階級の香りがする男に
声をかけられ舞い上がってしまいます。
こだわり過ぎるが故の男の内面の弱さと
表面は平凡に見えて、実は一旦掴んだモノを
離すまいとするしたたかな女のせめぎ合い。
観ていて行き詰まる静かな攻防。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
結局男ってのは、仕事ができる奴ほど
現実社会には目を向けない生き物なんですよね〜
妻を支配しているつもりがいつの間にか支配されて行く。
最後は、「やっぱ女って怖い〜」系の映画。
最後は男の方も、女の強さやしたたかさに気付きながらも
結局は身を委ねて行く。
男って奴は〜〜
ああ、昔の男はなんと脆く、
救いようが無い生き物か
改めて実感しました。
今時の弁当男子とか、育メンには無縁の世界かも?
それはそれで、イイ様な、寂しい様な〜〜(笑)
@もう一度観るなら?
配信でじっくり観ました。
キノコとバター
ドレスが綺麗。自然が綺麗。街並みが綺麗。音楽が綺麗。もちろんダニエル・デイ=ルイスもヴィッキー・クリープスも何もかも綺麗。
だけど、内容はというと…
ダニエル・デイ=ルイスの引退作。気難しいオートクチュールの仕立て屋レイノルズがウェイトレスのアルマと出会い、禁断の愛へと発展していくというお話。
確かに最初の方からは想像もつかないラストが待っていました。
でもね、ちと難しすぎましたわ。
とにかくこの愛の形が当たり前みたいな感じで話が進んでいくので、気づいたらかなりヤバイ方向に進んでたりして、しっかり観ていないと(観ていても)理解できませんでした。
自分にはあまりハマらなかったという印象です。
登場人物達がとにかくヤバイ!
特にマザコン&ロリコンのレイノルズとメンヘラ女子アルマの歳の差カップルは狂気。
最初に書いたように舞台背景や映像、音楽が美しいので、なんとか中和されているのですが、可愛い顔してなかなかエグい話でした。
1番理解不能だったのはアルマです。
どうしてそんな簡単にディナーにOKを出したのか?
考えれば考えるほど恐ろしい⁉︎
ダニエル・デイ=ルイスの笑顔はとても可愛らしくて良かったです。
静寂の美学
【人よりも衣装を愛する男の倒錯した恋愛劇を気品溢れるドレスの数々と共に描き出す】
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は毎朝、ルーティンで身なりを整え、朝食を摂る。この風景だけでレイノルズの性格が明らかになる。
彼が作業場で布(レースだろう)を裁断するシーンの美しさ。
彼の前に現れた大柄な素朴で垢抜けないウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリーブス)に心惹かれるレイノルズ。だが、その理由は徐々に明らかになる。
レイノルズは昼夜問わず、自ら作った絢爛豪華なドレスをアルマに着用させるが、徐々に二人の間に不協和音が生じていく。
仲直りのためにアルマの淹れた紅茶をレイノルズが飲む。徐々に体調を崩していくレイノルズ。
<今作で最も印象的だったシーン>
アルマは更にレイノルズが嫌いなバターを使ってある食材を炒め、料理を作る。微笑みを浮かべながら口にするレイノルズ・・・。
<マーク・ブリッジスが手掛けた数々の衣装の美しさをベースに禁断の愛を描く物語>
<2018年5月26日 劇場にて鑑賞>
デザイナーの夫婦をスマートに
ロンドンで活躍し脚光を浴びているオートクチュールの有名仕立て屋:レイノルズはあるレストランのウェイトレス:アルマと出会い、恋に落ちるが芸術家らしい振る舞いのレイノルズはアルマと何度も激突してしまう。
オートクチュールのデザイナーらしい偏屈な生活。
そこに、ごく一般的な幸せやサプライズを持ち込みたかっただけのアルマだが、ことごとく粉砕される姿には「偏屈だからそうなるわな」としか思えず、そこまでしてまだレイノルズのそばに居ようとするアルマに視線が集まる作りに。
時にはぶつかり、時にはあっさり引き合い、そんなデザイナーと1人の女性の人生をファッション業界を通じて描き切っており、起伏はあまり無く、あくまでスマートに描いて見せたな感があります。
レイノルズが当初スタイルに惹かれて付き合いだしたが、自分の弱さを知るアルマに別の意味で惹かれだし、対してアルマは当初ダンディだが偏屈な彼を知るも、自分の信念を貫いて彼を支えようとする。
「全て相手の事を理解出来なくても、一部一部相手の役に立てればいいじゃないか?」と夫婦の勉強にもなる映画でした。
大人しい作品ですし、淡々と語る様な映画ですので、夫婦で落ち着いた頃、奥さんの作った茶でも飲んで鑑賞下さい。
アルマが毒キノコ。
男目線と、(たぶん) 女目線と、半々に均衡のとれたシナリオ運びだったと思います。
観賞者男女それぞれ、共感納得する部分が多くてこのハウスの物語に呑まれて行ったのではないでしょうか。
カメラと光が秀逸だと思ったら、フィルム撮影だそうです!発泡酒を飲み続けていて久しぶりに瓶ビールのラガーを味わった時の「これだよ、これ!」感です。
音楽もロケもgood。衣装の美しさは言わずもがなですが助演の姉シリルの出で立ちの美しいこと。
【ストーリー】
オートクチュールに全人生をささげていたレイノルズは、田舎町のウェイトレス アルマをスカウトして連れて帰るんですが、このボディ (トルソー) が何故かそのうち喋り出すわけですよ。
「私は何時間でも誰よりも長く立っていられる」と心に呟き、“仮縫いのボディ”でいたはずのこのウェイトレスが沈黙の禁を破るのです。
で、そんなつもりではなかったレイノルズの慌てぶりが可笑しいのです。想定外の展開への混乱ぶりが。
つまり、町娘アルマが恋人となり、夫の仕事の擁護者でありつつ批評家の地位を固め、ついには彼女は妻を経て母となる。
初めて体験する女性とのお付き合いに苦戦惨憺するレイノルズを応援したくなります。
一日の計画を立て、創作のための霊感を整えるあの朝食のシーンに“粗野な闖入者”が現れて静寂を乱す。あれには爆笑でした。
僕自身の体験ですが ―
「この僕の前に居る人は一体全体なにものなのだ?!」と妻の顔をまじまじと見たのは僕が「いま書き物しているから5分だけ待っててねー」と言ったのにその女性は15秒しか黙っておれなかった衝撃の事件からでした。
男にとって女は厄介。女は仕事の邪魔者です。
女はミステリーです。揺さぶりをかけてくる。そして思いもよらなかった新しい世界を男に与えます。それが女。
すったもんだの結末には、レイノルズはバターたっぷりの毒キノコのオムレツを破顔の笑いで飲み下しましたね。あんなに頑なに手料理を拒絶していたはずが 恋はもーもくですわ。
毒キノコとわかっていて彼は“妻アルマの存在を食べた”のです。
引っ掻きまわしてくれたアルマの毒気を受け容れて人生の脱線を選んでしまったレイノルズの転戦・退却に、同性としては称賛の拍手を送りたいと思います。
こっそり言いますが年上の彼レイノルズは、負けた振りをしていてパパ活の小娘アルマに克ったのですよ。
DVDを見返してみるとこの映画は純愛物語であったことが判ります。
旧約聖書の箴言にこんなくだりがあります
「世の中に不思議なものが3つ、いや4つある~男の女に出会う道」。
自己チューの堅物だったのに恋に陥ちた瞬間のレイノルズは、まるでリチャードギアのようにはにかんだ少年のような表情を見せていました。
「人を好きになるっていい事なんだよ」
「人を好きになったって構わないんだよ」と、
この作品は教えてくれます。
【さいごに】
ダニエル・デイ=ルイスはこの出演で引退と決めていたそうですね。
出演作を絞り脚本を吟味する孤高のアカデミー主演男優が、定席であった主演の地位をウェイトレスに喰われるという“お粗末な”幕引き役を敢えて自分に選んだのは何故か。
ガンジーとしてインドを救い、リンカーンとしてアメリカを救ったDDL は最後に乳母車を押す家庭人として、そして喜劇俳優として一人の女を愛して救い上げた。そんな市井の男になって平凡なラストシーンを自分に贈ってみたかったのかもしれません。
(特典映像の”家庭人になったレイノルズ“のカットは微笑ましいんですよ)。
3回観賞。
PTAらしい、滑稽な狂気。しかしPTA作品らしからぬ美しい物語。
美しい映像と美しい音楽を纏った美しい物語は徐々に狂気に満ちていく。その狂気は踏み外しているわけではない。人間らしく、滑稽。しかし観ていくうちにその狂気が美しく見えてしまうのがこの映画の不思議な所。
ダニエル・デイ=ルイスの圧巻の演技と役作りは非常に説得力があり、どんどん作品にのめり込んでいく。レイノルズは人に好かれる様な人間ではないのになぜか憎めない。それはデイ=ルイスの品があり、時に子供らしい一面がそうさせているのだと思う。
ジョニーグリーンウッドのスコアは非常にシンプルで、この物語はイギリスのとても小さな美しく狂った出来事なんだと思わせる。
PTAらしからぬ、上品でゆったりとした雰囲気の作品だが、人物達の内側に強い愛情を感じた。
余談だが、観終わった後にアスパラガスとオムレツを食べたくなる作品だった。
ダニエルDルイスの弱い役どころを愛してました
姉は多くは語らない
Paul Thomas Anderson
ポール・トーマス・アンダーソン初鑑賞。
前々から、彼の作品は芸術として価値の高いものだと言われてきたのですが、難解な作品ばかりだとも聞いていたので、見るのを躊躇していました。今回ようやく友人の力も借りての初鑑賞。
結果やられました。難しすぎるー。ストーリーもさることながら、キャラクターを感じることがかなり難しい。多分素直に見ることが一番わかりやすいのだろうが、どうしても深読みしてしまう。このキャラクター実はこう思ってるんじゃないかとか、この表情の裏には何かあるんじゃないかと思ってしまう。それをせずにこの表情や行動から感じられることを素直に従っていけば、この映画に見えてくれるのかもしれない。
難しいのは、ヴィッキー・クリープス演じるアルマのキャラクター。彼女のキャラクターが二重人格なのかという疑念を抱くぐらい謎だった。最初に彼女は「彼には夢を叶えてもらったの」というセリフがあり、映画を見てる中で、何が夢なのかというのを探していたのですが、最後まで見つからなかった。それゆえ、彼女の行動や表情を見ていて「何が目的でこれをしているのか」というのに路頭に迷った。単純に考えると”愛”という大きな感情がそうさせているのがわかるのだが、そこに執着する自信がなかった。そこに彼女の過去と将来を少しだけ見せてくるから、さらに考えさせられる。
一緒に見た友人に気付かされたのだが、洋服の仕立て屋という仕事と、メイクアップ、毒キノコ。それらを使って、表面は美しいが、中に隠れている、隠されているものの醜さというものを表現している。それを踏まえると、それぞれのキャラクターが少しだけ見えてくる。特にダニエル・デイ=ルイス演じるメインキャラクターのレイノルズ。このキャラクターは一筋の軸があるキャラクターなのだが、それ一辺倒で、それ以外の部分が見えなかった。しかし、美しい表面の一方で、中に隠されている醜いものは、彼の本質というか、アルマを動かしている動機に繋がり、そこからアルマのキャラクターがさらに、見えてくれる。
このように細かい表現にこだわり、視聴者にヒントを与え、視聴者にそのヒントを繋げさせ、答えまで導くのが、ポール・トーマス・アンダーソンの手法なのかもしれない。こういう作品は疲れていて眠いときには見ないほうがいいのかもしれない。彼の作品にはとても細かい工夫が多く隠れている気がする。こんだけ普通じゃない作品ばかりなのに、視聴者から評価を受けているのには何かがある。
美しい映画
キノコブームきてるの?
コッポラの『ザ・ビガイルド 欲望の目覚め』観てすぐだからか、昨今の暗い恋愛モノはキノコがブームなのかと…そんな事ないよね。不安になる。
オートクチュールの仕立て屋で超絶完璧主義者、パートナーは作りませんて主義のレイノルズがウエイトレスのアルマを見出し、側に置き始めてから日常が狂ってゆく…みたいな前情報で観てたけど、アルマが異常ってわけじゃないんじゃ、というのが感想。あんな扱いされたらそりゃキノコもブチ込むわ。最初からレイノルズはアルマに優しかったわけではないので、アルマがあんなに惚れてしまうのは疑問に思ってしまったんだけど、今までひっそりと暮らしてた田舎者の女性がお金持ちの男にあれだけ丁寧に扱われ華のように飾られたら気分も舞い上がるね。
静かで上品な音楽と裏腹にあからさまな男と女のマウントの取り合いが泥々して面白かったけど、わかりづらいあのラストにはちょっと納得いかなかった。未来を妄想しておしまい?
共感しきれない愛の形
the職人といった性格の主人公レイノルズと、彼に見いだされた片田舎でウエイトレスをしていたアルマの恋愛物語。どこか異常で、狂気じみた、純愛とは言いがたい不思議な作品でした。
レイノルズとアルマの出会いは、唐突で、かなり淡白ではありましたが、なんとなく双方の感情には理解できる部分がありました。
しかし、ふたりの関係が進んでいくにつれて、どうにもレイノルズの行動で腑に落ちないところが目立つようになっていき、最終的には、彼の考えがすこしもわからなくなりました。彼が急に、ボケ老人になってしまったような感じがしました。
「恋なんて、いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」と有名なバンドマンが歌っていますが、この映画は、まさにそれを映像化したような作品でした。
全105件中、21~40件目を表示

















