劇場公開日 2018年5月26日

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「ドレスを愛した男と男を愛した女の駆け引き」ファントム・スレッド つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ドレスを愛した男と男を愛した女の駆け引き

2024年3月17日
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鑑賞方法:DVD/BD

ポール・トーマス・アンダーソン監督は少々苦手だ。
何気に彼の作品リストを見てみたら過去に4作品観ていて全部星3つだった。
面白くない訳ではないのだが、突き抜けるものがなくてしっくりこない。なんだか引っ掛かりが残って後味が悪い。
どういう事かというと、私の映画力ではポール・トーマス・アンダーソンを紐解けないのだ。ちょっと難度が高い。

しかし本作「ファントムスレッド」は、中々面白く観る事ができた。
繊細な、恋と言っていいのか判断に迷うが、ドレスを愛する男と、そんな男を愛した女の恋の駆け引き。
中盤以降はもうネタバレなしでは何も書けないほど激しくなり二人の関係を描いていく。

冒頭から始まるアルマが誰かに事の顛末を語るシーンも効果的だ。
これは何の場面なのか、彼女は何を語るのか、あらゆる可能性に目を向けながら、いや、これは一番新しい時間に語られていることであるから、確定している未来に意識を割かれるという方が適切かもしれない。

音楽はピアノやヴァイオリンなどの落ち着いた感じで(落ち着いているのは前半だけだが)良い雰囲気のサロンかレストランでリラックスしている感覚もあり良かった。

総評として、少々行き過ぎなラブサスペンスであろう本作は星4つでいいかなくらい楽しめたのだが、妻は面白くなかったと言うし間をとって慣例通り星3つにしようと思う。
やはりどこか紐解ききれないポール・トーマス・アンダーソン節は残ったしね。

レイノルズを演じたダニエル・デイ=ルイスは一年も裁縫を学んだというし最高なんだけど、なんとなくジェレミー・アイアンズかレイフ・ファインズで観たかった気持ちもしこりとして残ったかな。

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つとみ