触手 劇場公開日 2018年2月27日
解説 「エリ」でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したメキシコのアマト・エスカランテ監督が、 「究極の快楽」をもたらす怪物の恐怖を描いたSFエロティックスリラー。美しい映像や独特の世界観などが各国の映画祭で話題を集め、2016年・第73回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。アレハンドラは夫アンヘルのDVに悩まされながら、精神的に不安定な2人の幼子を必死に育てていた。しかもアンヘルは、アレハンドラの弟ファビアンと密かに肉体関係を結んでいる。そんなある日、アレハンドラはファビアンの友人である不思議な少女ベロニカと知り合い、森の奥の薄暗い屋敷に案内される。そこにいたのは、軟体動物のような触手を持つ巨大なクリーチャーだった……。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2018」上映作品。
2016年製作/98分/メキシコ・デンマーク・フランス・ドイツ・ノルウェー・スイス合作 原題:La region salvaje 配給:ウォーターメロン・カンパニー
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト 全てのスタッフ・キャストを見る
2021年8月20日
Androidアプリから投稿
日本のアダルト業界に「触手モノ」という表現があるが、邦題はそれをイメージして配給元が付けたのだろうか。近年日活ロマンポルノ等が再び熱を帯びている事もあってのことか。 本作には人に至極の快楽をもたらす怪物が登場するのだが、話の流れ的にエイリアンだろう。全生物の根源という存在の様で、地球に飛来した際に出来たクレーターで様々な動物が交尾を始めるという描写がある。個人的にこのシーンが最も嫌だった。人間側では主に女性がその快楽に溺れるという内容なのだが、なぜ女性なのかや、人により反応に差があるだとか、細かなところは描かれていない。正体や目的を謎にする事で不気味さが際立つものだが、描いて欲しい所は描かれず、ドラマパートがかなり長尺であり、説明が長すぎるように感じてしまう。また、ヒロイン含めそれに入れ込んでしまう女性らは家庭等で何らかのハンデを負っている。孤独だったり、DVだったり、社会的地位において明らかに不利な状況に置かれているのである。旦那が浮気をするのはどこの国でもある様な事かも知れないが、その相手が自分の弟というのは衝撃過ぎた。ゲイを否定する気は無いが、自分の弟と考えると身震いしてしまう。ちなみに男性はどうも「それ」には受け入れられにくいようで、命を落としてしまうケースもある様だ。だがそれは女性も同じであり、「それ」に飽きられてしまうともう用済みの様にポイッと捨てるのである。・・・失礼なエイリアンだと思うが、人間の欲という物に対する風刺なのか、ハマりすぎてしまうと必ず怪我を負う羽目になるのだ。だが薬物と同じで皆それでも「それ」に魅入られてしまうのである。どのタイミングで快楽から攻撃の対象になるのかや、男性でもしばらくはその快楽を楽しめる一方、一度で命を落とす人間もいるのかは良く分からない。本作は難解アート系作品の為、考えるより感じろという事だろう。エイリアンの気味悪さとエロさは他に類を見ないものであるが、内容がアート過ぎるものであり、ややついて行けなかったのが正直な感想だ。不思議な体験をしたい時にはオススメである。
80年代に日本で触手というエロジャンルが発明された。輸出されるとTentacleとなって浸透し、hentaiカテゴリの一枠を確立した。 触手はもともと宇宙企画や前田俊夫のアニメだったが、AVへ移行すると実写版になった。 ただし、実写になってしまうと、とうぜんハリボテ感は拭えない。 エドウッドに、ベラルゴシ(の代役)が池でぬいぐるみの大ダコと格闘する映画があるが、触手の実写版とは、それと五十歩百歩であった。 この映画は、触手の実写版と解釈するなら、本気なクオリティを持った、はじめての作品だった。造形も動きもリアルで、個人的には30年越しで、淫獣学園の溜飲が下がった。 ただし、エロで釣ろうとして「触手」と邦題されているが、元来その意図を持っていない映画である。 むろん性的魅力があるのは間違いないが、この映画の主目的をかんがみると、触手はむしろ副産物だ。 原題はLa región salvajeで「野生の地域」と自動翻訳された。 英題はThe Untamedとなっていて、飼い慣らされていない獣──の感じだった。 となると触手とつけてしまった配給元の暴挙はいつものことであるにしても、じっさいに触手を想像していた自分が、にわかに恥ずかしくなってくるのである。 映画の主題は、未知の暗獣が、快楽と同時に破壊をもたらす──ということである。それは哲学的に昇華されるわけではないが、有機的な主題になり得ている。 いわば、全身を委ねることのできる架台を備えた可変全自動のディルドが、殺人をもおかすのであって、それに委ねた者が、快楽を与えられるか、殺されるかは、獣の意思次第である──と映画は言っている。 するとこの製作者は、およそリヨン伝説フレアを参考にしているはずもないのであって、つまり──そういう「たぐり方」をしていった自分が、にわかに恥ずかしくなってくる──わけである。 ただdefenseすると、触手と名付けた配給元の思考回路も、同格である。わざわざポルノに貶められて配給された気の毒な「邦題の犠牲」映画のひとつ──になった。 映画は過大に言えば哭声やジョヴォーダンのような雰囲気すら持っている。日常と夫婦の倦怠がリアルに描写されているし、佳景をゆっくりパンするスピード感で、長い触手もゆっくりパンする──手練れの撮影だった。 はっきりとは落とさないが、触手の獣をカリカチュアとし、社会の底辺においては、ひたすらおまんこするか死ぬかしかない──と映画は結論している。個人的にはそう感じた。
2020年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
ストレート、バイセクシャル、アブノーマル。日本のエロ漫画は英語ではhentai manga。そうした日本のhentai漫画には異星人との性描写もよく見かけるが、この映画はそこからヒントを得ているのか?口の中にタコの足が入ってくるのが強烈だ・・・ もっとすごいのがキャラの相関図。アンヘルとアレハンドラの夫婦が基本となり、夫アンヘルは妻アレハンドラの実弟とホモセクシャルな関係。SFエロティックスリラーなどと謳ってはいるけど、SFアブノーマル作品と言ってもいいような気がする。 森の奥の老夫婦ヴェガとマルタも異様な雰囲気。しっかりソーラーパネルも備え付けてある小屋はおんぼろだが、科学者でもあり、未知の生物を研究している気配もあるし、この二人もやっぱり変態なのだろう。タコ型エイリアンを使い、女性を中心に快楽を与え、想像ではあるが、覗き見でもしてたんじゃないのか?さらに隕石によって出来たクレーターではアニマルセックスの聖地みたいになっていて、こんな描写にわざわざCGを使うなんてのはやっぱり作者も変態なのだろう。 グロさばかりではなく、人間ドラマもしっかり描いてるところに好感が持てるのですが、「飽きたら殺す」というタコと同様、人間世界にもドロドロした家族関係があることを皮肉っています。そして、やっぱり性の達人はタコ!ヴェロニカはタコに飽きられちゃったみたいだけど、もう人間の男じゃ感じません!そして最後には屍の山・・・性の貪欲さのツケが死生観を無くすってところにあるのかもしれません。
海外ではおかしな作品に予算がついて、撮影される。いい意味で。
すべての映画レビューを見る(全9件)