君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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透き通るような感情とピアノ音に満ちた追想の響き
アカデミー賞で話題を呼んだ本作は、一人の少年の一夏の気づきと、その気持ちと素直に向き合うまでを描いた、透き通るようなラブストーリーだった。主演俳優の恐れを知らぬ演技、それをまた相手への興味、関心、愛情、嫉妬など全ての感情を混ぜ合わせたかのような表情と仕草とで具現化していく演出。何よりも冒頭、途端に春風のようなピアノが鳴り響き、鮮烈なギリシア彫刻が映し出されていく様に魅了されない人がいるだろうか。本作のサウンドトラックに坂本龍一の楽曲が使用されていたのも嬉しい驚きだったが、少年の思いがいつしか歌となって響き始める下りはあまりの美しさに涙してしまうほど感動した。もしかするとこれらの楽曲は大人になった少年から過去の自分への追想曲だったのではないか。そしていつしか、父親が息子へと言葉を伝える場面も胸に沁みた。本作はかくも宝石のような瞬間の連続で出来ている。世界で多くの観客を釘付けにしたのも納得だ。
画面を占拠する風景と音に身を委ねて欲しい!
17歳の少年、エリオと年上の青年、オリバーのプラトニックではない肉体関係も含めた狂おしい恋を描きながら、それが、なぜだか少しも衝撃的というか、スキャンダラスな感じがしないところに、この映画の良さがあると思う。それは恐らく、ところどころコミカルに映る男たちの行為が、2人の奔放なバカンスが、北イタリアの気温と湿度をまるこど取り込んだようなロケーションと、風の音や水のせせらぎ、そして、町の静寂すらも効果音として生かした録音によって、すべてを風景の1つとしてとらえた監督、ルカ・グァダニーノの手腕だろう。「ミラノ、愛に生きる」の山荘での燃えるようなセックス、「胸騒ぎのシチリア」でのごつごつした岩場の散策、等々、思えばグァダニーノ作品では常に風景が物語そのものを先導して来たのだった。なので、是非この映画に関するあらゆる先入観を一旦ディレートして、画面全体を占拠する風景と音に身を委ねて欲しい。結果としての感動は、必ずその後にやって来るはずだから。
顔が良い☺音楽も♫
ティモシー・シャラメ目当てで鑑賞。 王道のラブストーリー。脚本については直球すぎてあまり書くことはありませんが、終盤のお父さんの語りが素晴らしい。あそこだけ何度も聞きたいくらい。観る者を優しく包みこんでくれるような素晴らしいシーンでした。 まぁティモシーの美しいこと。それだけで観てられる。このあとこーなんだろーなーって分かってても見入ってしまう。アーミーもかっこよかったです。吹き替えが津田健次郎だったのでグレン・パウエルと被って仕方なかった(笑) 本作の最大の魅力は音楽と言っても過言ではないでしょう。冒頭のピアノから引き込まれます。エンドクレジットは最高の演出でした。 同性愛については…これはBL作品だと思っているので、ファンタジーだなぁって感じです。LGBTとは何ら関係の無い…というのは言い過ぎですが、よりリアルな同性愛に触れたいのであれば「ボクらのホームパーティー」あたりがオススメです。
大事なことを僕はまだ知らないんだ
こんなにいい映画だったんだ。エリオ(シャラメ)の動き、表情、台詞(オリヴァーの口真似も!)の一つ一つがその時を表していて、可愛い、笑えた、そしてどきどきしたり混乱したり苦しい気持ちが伝わってきた。背中にしょってる黄色いリュックは、エリオがまだ嘴が黄色い子鳥であることを示していた。 オープニングのクレジット映像で既に夢心地になってしまった。ヘレニズム(でいいのかな)古代ギリシャの美しい彫像の数々、隅っこに現代(80年代?)のものがこっそりと散りばめられている。映画の中で流れるピアノ曲は慎ましく美しかった。 イタリアが舞台でもどうせ英語ばかりの映画だろうとひねくれて、ずっと見ていなかった。だから見ることができてよかった。英語もイタリア語もフランス語も話されていたし、ドイツ語も書籍の音読だけどあった。どの言語かで登場人物の特性や関係性が自分なりのレベルでわかって面白かった。シャラメのギター&ピアノ演奏&楽譜見ながらの編曲姿、美しい。夏休暇のけだるさ、退屈、ワクワク感、色んな人との再会と面倒、太陽のジリジリ、水の気持ちよさ、涼しい木陰と空気、読書、終わりがくる切なさをシャラメが素晴らしく体現していた。 二人が互いの気持ちを確かめ合ってから立場が逆転するのがよかった。それがなければ、オリヴァーのことをいけ好かん!と思っただろう。オリヴァー演じるアーミー・ハマーがあまりに典型的な(「プロミシング・ヤング・ウーマン」に出てくるような)アメリカン男に見えたからだ。エリオのパパは全部わかっていた。パパが言うように、賢いエリオはこれから善き人としても成長するだろう。 少しでも多くの人がエリオの両親のようでありますように。 早く夏が来ないかなあ・・・ おまけ エリオは英語もイタリア語もフランス語も話す。エリオはギターやピアノを素晴らしく演奏し、編曲をし、本をよく読み、思索する。エリオの友達にはイタリア人も居るしフランス人もいる。家に遊びにくるお客さんはイタリア人夫妻も居るしゲイのカップルもいる。たくさんのすべてがゆるやかに共存して軽やかに動いている。境界線を作らない、そのようにこの映画は作られている。だからこの映画を例えばBLものといった言葉で括ってしまうとしたらそれはあまりに狭くてもったいないな。
ロケーションと音楽が美しい
北イタリアの避暑地ってあんなに素敵な場所なんだね。まるで印象派の絵画みたいな光の明るさを感じた。街の景観も水の描写も本当に綺麗。 そしてピアノの音楽の素晴らしさといったら。心地よいのに、胸が苦しくなるような美しいメロディ。夏の自由さや切なさ、懐かしさを感じた。 ストーリーは、忘れられない思い出になるだろうひと夏の恋。BLと聞いていたけど、異性同士の恋愛とあまり変わらないのかなとも思った。 お父さんの言葉に感動してしまった。
美しい作品
同性愛カップルの一夏の恋を描いた作品。 日本ではなかなかない痛い描写も多いけど、ティモシーが美しいので、芸術作品のように見えてくる不思議。 イタリアの風景も相まって映像全てが美しい。 最後のシーンの長回しが本作の1番の醍醐味。 もう経験することのないような若い頃のどうしようもない恋愛を思い出して涙が溢れ出た。 悲しい気持ちも嬉しかった思い出も全て自分の大切な感情。 観る人の視点によって感想が変わりそう。
素晴らしい恋愛映画
人生において本当の愛を貫けることは何て幸せなんだろうと思う。そして本当の愛に出会うことも。多分、私達は知らないままでいるのかもしれないと思う。愛とは、甘いだけでなく、痛みを伴い、悲しく、苦しいものなんだな。ティモシー・シャラメの表情が素晴らしい。両親の態度も素敵過ぎる(もーママが美しい!)、正直で理性的で美しい。少女達も瑞々しく、景色も生活も美しく優雅で幸せな映画だった。所々坂本龍一の音楽もとても良かった。美しく切なく愛おしい映画!
こうして私は鬱になった
エリオとオリヴァーのひと夏の恋物語。なんだけど葛藤とか色々溢れるものを感じてずっと心がキリキリした。タイトルの意味を何となく理解せず見終えたんだけど、少し調べたら意味が分かった。エリオとオリヴァーは2人で1つだったんだね…。ほんとにせつない…。
切なくて美しい
北イタリアの風景、ピアノの音色、恋に落ちた2人の関係、全てが美しく、映画の世界にどっぷり浸ってしまった。 2人がお互いの気持ちを探り合いながら徐々に近づいていく過程が、機微な表情、仕草、セリフで丁寧に描かれていて、ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの素晴らしい演技も相まって、シーンの一つ一つに心が溶けそうになる妖艶で芸術的な作品。 エリオがオリヴァーに気持ちを告白する(仄めかす)シーンはドキドキする切なくて繊細な大好きなシーン。そしてオリヴァーとの失恋にエリオが涙する最後の長回しのカットは作品を観終えた後もずっと忘れられない。 本当に素敵な映画に出会えてよかった。星5つ。
ガラスの上の小さな隙間を埋めながら静かに水が広がっていくような作品
美しく繊細ですっと染み込んでくる 出来事の記憶を残すだけじゃなく感情も痛みも葬らずに大切にしていきたいと感じさせてくれる 一夏の恋 と言えば、ありふれているけれど 昂りや焦り、不安がリアルなバランスと演技で描かれていて心が忙しいくらい ラストも あ、そうなるよね。という話ではありますが、そんな顔で長回しされちゃあ、、良き。となります。 続編があるとかないとか。 作品自体もいいのだけど、ティモシーシャラメの背中も腹も肩甲骨も脚も美しい…肩食べてるティモシーシャラメ可愛すぎる…
美しき一夏の思いで
北ヨーロッパのフランス語とイタリア語と英語が混ざった自然たっぷりの田舎街。やたら半裸かハーフパンツ(短め)。バスルームを挟んだ隣の部屋。そしてこの時代にしてはオープンな両親。毛むくじゃらな大型アメリカ人とスムーズで小柄なヨーロッパ人。美しいピアノの旋律。こんな解放感いや開放感ある環境で、年頃の若い2人が惹かれ合わないわけがない。 前半はオリバーからエリオへの感情はわかりにくく、片思いかと思いきや、逆に盛り上がってきて、その感情の動きになかなかついていけなかった。夏休みが甘酸っぱく大人への一歩となるのは、どこも同じなんだなと。もっと深く、もっとつっこんで欲しかったな。なんかキレイすぎる。
その人次第の受け取り幅
ザックリまとめてしまうと、ゲイカップルのひと夏の恋、なのだが それがなぜこれほどまでにまぶしく切なさを伴うのか。 彼らはバイでもあり、もしかするとそれは世間の目から逃れるためのものであるかもしれない。 それについては言及されていないが 友人とのやりとりなどから、やはりおおっぴらには 言えないものであったろうとわかる。 とはいえ、主人公の少年エリオの両親は 知的階級で理解のある環境だ。 それゆえ自身にとまどいつつも青年に思いをぶつけることができたともいえる。 一方青年のほうは、同性愛がどうみられるかもよく知っていて だからこそ本心から大事な彼に対して 気楽に行動に出ることはできなかったのではなかろうか。 そんな状況で結ばれて、互いに一つの半身と感じ 幸福な時間を過ごす。 しかし青年にはわかっている。 この幸せな時間はいつまでも続きはしないし、 なんなら誰にもこの時間のことを話すことも許されないと。 少年のほうも終わりが来るとはわかってはいるけど 青年のほうほどはつかめていない。 目の前の喪失に悲しむ少年に語り掛ける父親の言葉が 大切な子供、若い者へ いまはわからないかもしれないが、と 含蓄のある内容で素晴らしい。 全ての愛に悩む若者へこの父の言葉は響くのではなかろうか。 ほかに作中に登場する曲や文学、ギリシャ美術に 暗喩されるものも多々あるそうで 浅学な私にはとてもすべてはつかみかねず。 あらすじを追うだけでも楽しめるのだが、 さらにどこまで理解を深められるかはその人次第。 感動の深さも異なる作品だ。
秘めた愛と父の言葉
冒頭の清らかなピアノ音楽とイタリアの自然風景の中、密やかに育まれる男同士の絆が切なく美しかったです。 痛々しくて若干引いてしまいそうな場面さえも美しいアートか何かのように見えてしまったのは、ティモシー・シャラメ効果なのでしょうか。繊細かつ大胆な演技、圧巻でした。 オリバーとの静かに燃えるような関係も狂おしいほどでしたが、全てを受け止め優しく見守る父との関係も深く温かなものを感じました。
頭に被るかな?と思ったら、被ってくれた(笑)
大分前に視聴途中だった(笑)作品を改めて観ました。 もうね、切ないなーーー!って! 純愛的なストーリーなんだけど「これが初恋か…」なんて思ってしまった。 初恋は実らないのかなぁ〜、実らせて上げたかったなぁ〜って。 この時代設定って、どの位なんだろう? きっと、同性愛に対しても 今程理解されてなかった時代なのかな……? でも、エリオの両親はとても理解のある人で、とりわけ父親は……っでしたね。 こうやって人は大人に成長して行くんだね。 解ってはいても、ラストは切なくなりました(泣)。 タイトルにもなっている「君の名前で僕を呼んで…僕の名前で君を呼ぶ」のセリフにはギュッとなってしまった。
なんて綺麗な映画だろう
何の下調べもせずに、ただ感動作という評判により鑑賞。 とにかく映像が綺麗。空から木々から土から水から全てがピュアだ。 中盤位からストーリーが見えてきて、少しびっくりしたものの、映像のピュアさと主人公達の心情が綺麗に溶け合った。今までに観たこのテーマの作品の中では、一番自然でしっくりきたかな。主人公達の苦悩をユニークに表現できたシーンがあったのも、この作品をより際立たせたと思う。 所詮この世は男と女しかいない。何が起きても不思議ではない。紙一重というところか。 いずれにしても評判通り感動作だった。 ストーリーに関係ないが、出てくる車がおしゃれだったことと、「ラコ」と「ポロ」が印象的だった。
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