ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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新味に欠ける
ひとことで言って新味に欠ける内容だった。
トム・ハンクスとメリル・ストリープの顔合わせにも特別なケミストリーは感じないまま、さすがに二人とも上手いなと思うがそれ以上の何かは生まれない。本当は逆だけど私にとってはトムが一番に来る特別な存在だ。ある意味監督が誰でも、共演者がオスカーに何度ノミネートされていようと、トムはトム。今後、まだ見せていない顔を引き出せる機会はあるのだろうか。
スピルバーグは映像表現を極めたので一切の無駄がない。というより『レディ・プレイヤー1』とほぼ同時進行で製作された背景があるので、くっきり色分けされてしまったのだろう。見比べるまでもなく両作品には共通点がない。あらゆるオタク的こだわりを満載した『レディ――』に吸い尽くされたように、カロリーの低いシンプルな画面が続く。それでもテレビ中継を編集部一同が固唾を飲んで見守るシーンなどは、当然CGの出番だ。とにかく、ワクワクするような画作りはこの映画には無い。
『E.T.』や『ジュラシック・パーク』の延長線上にある『レディ――』と『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』の延長線上にある本作。スピルバーグの未来志向と歴史スペクタクル路線は、もはや同時進行でも齟齬を来たさないほどのプロジェクト化に成功した。もちろん皮肉だ。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」一本に入魂して仕上げなければ、どっちつかずの出来損ないが量産されるだけだ。
それにしても近頃のハリウッドは1965年~95年を描いた作品が非常に多い。ぱっと思いつく限りでも『フォードVSフェラーリ』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』『ジョーカー』『キャプテン・マーベル』『リチャード・ジュエル』枚挙にいとまがない。いろいろな理由はあると思うが、製作者の思い入れが自分の原体験に回帰していることのあらわれだろう。
それにしてもこの映画はなぜ撮ったのか動機が弱い。
すでに『大統領の陰謀』という名画があり、トランプの暴政を警告するにしてもちょっと的外れな印象が強い。ニクソンとトランプは似ていない。のちの回顧から「この時代の決断こそが、実に英雄的に成された。それも女性によって、時の政府を覆すきっかけになる一太刀になった」と言いたいのなら、もっとそこを強調するべきだ。弱い。
そして致命的に作劇場のカタルシスが無い。
例えば倒れかけた弱小の地方紙を、最後には町ゆく人々がみな手に取って歩く姿を見守り、達成感に浸るようなストーリーをシンプルに展開できたはずだ。そして観客はそれを見たかった。ところが監督は妙なピースを最後に詰めてきた。ニクソンの背中を。
トランプを倒す、ひとつのピースにしたかったのだろう。だから、2本同時進行で撮り進めた。
報道の自由 VS 政府 熱き社会派ドラマ
観るまではちょっと堅めな印象だったが、観てみると結構くだけたシーンあり熱く魂を揺さぶられるシーンありで、十分楽しめた。
そういう狙いを強く押したわけでもないと思うが、女性陣の活躍も印象的。ケイの決断シーンは言わずもがなだが、職場での女性の活躍も目立つし、法廷から出てきたケイを出待ちする様々な年齢の女性達の熱いまなざしも、ふいにグッときた。
ストーリー以外でも、当時の新聞を発行するまでの工程は迫力があり活力を感じ、本作の見所のひとつと言っていいだろう。当時の新聞配送の粗っぽさは、迫力を通り越してドン引きレベルだったが…(笑)
うまく言えないが、本作はさすがスピルバーグ作品、というだけでは片付けられない様々な魅力があると思う。
それにしても、この手の女性を演じさせれば、メリル・ストリープの右に出る者はいないのではないだろうか。
社会的なテーマであっても一流のエンターテインメントに仕立てる、こ...
歴史の勉強
ベトナム戦争を
ちゃんと知るきっかけになった作品。
20年もやってたんだ😱
勝ち目が無いのに。
そら、怒るでしかし❗️💢
そして、ラストカット。
かのウォーターゲート事件も、
ワシントンポストが
すっぱ抜いたんですってね‼️
勉強になるなー😳
「スポットライト 世紀のスクープ」
を思い出す人も多いでしょう。
あの件と比べると、
規模も対象も違い過ぎますが、
どちらも
新聞報道の気概を感じる、
熱い作品でした。
意外と泣けました😭
邦画「新聞記者」も
これくらいやって欲しかった。
強いて言えば、
元々文書を持ち出した彼らが英雄なので、
もっと光を当てて欲しいし、
法廷の結果を、
ワシントンポスト社内で聞くのも良いが、
実際の法廷内での結審の瞬間も
見たかった気がする。
スピルバーグらしい映画でした。
そもそもなんで政府がトップシークレットの情報を残す必要があるのかと...
よくぞ上映した!
ベトナム戦争に関する政府の機密文書、ペンタゴンベーパーズの新聞掲載...
放送免許に関わる判断
報道の自由を守る熱き闘い
予想外にシンプルな作品だった。メリル・ストリープ、トム・ハンクス共演のスピルバーグ監督作品だったので、もっとエンターテイメント性の強い作品だと思っていたが、本作は、報道の自由を守るために闘った人々にフォーカスしている。静かな冒頭から怒涛のクライマックスまで、常に熱気を帯びながら、一気に魅せてくれる本格的な社会派サスペンスである。
舞台は1971年アメリカ。夫の死で図らずも新聞社ワシントン・ポストの社主になってしまったキャサリン(メリル・ストリープ)は、周りのスタッフに支えながら慣れない仕事を熟していた。しかし、ベトナム戦争に関わる機密文書をニューヨーク・タイムスがスクープ報道したことで、状況は一変し、ワシントン・ポストも追従し、政府と対峙しながらも隠された真実を報道すべきか否かで社内は真二つに割れてしまう。葛藤、苦悩しながらも、キャサリンが出した決断とは・・・・。
実話に基づいた物語であり、報道の自由を守るための闘いがメインストーリーとなると、気高く崇高なイメージが鼻に付きそうだが、スクープ合戦、新聞社経営、など現実感のある要素を巧みに織り交ぜて、リアルで泥臭い作品に仕上げている。
メリル・ストリープは、従来演じてきた力強い女性像ではなく、当時の女性の地位を象徴するような家庭的で優しい女性像を好演している。そんな彼女が、物語が進むにしたがって、逞しくなっていく姿は、当時から現在に至るまでの女性の地位向上の歴史そのものである。
トム・ハンクスも従来演じてきた物分かりの良い男性像とは異なり、形振り構わず信念を持って突き進んでいく、報道の自由への迸る想いに溢れる辣腕編集主幹を熱演している。
本作のメッセージは明確である。作品全体を通して、自由は他力本願ではなく、自らの手でしっかりと掴み取るものであること、リスクを覚悟して強い想いで挑んでいかなければ、自由は手に入らないことを強調している。報道の使命は、隠された真実を暴き、伝えることである。真実は時代を照らす光であり、光が無ければ、時代を見通すことはできない。時代を正しく捉えることはできない。真実を知るために報道の持つ意味は大きい。
本作は、1970年代の事件を描いているが、事件の内容は普遍的なものであり、現代に通じるものがある。いや真実が見え難くなっている現代の方が本作のメッセージは重要である。本作は現代への警鐘になっている。スピルバーグ監督の意図はそこにあるのだろう。
本作は、無茶苦茶、面白い作品ではないが、普遍性のある歴史の一コマを丁寧に描くことで、現代について考えさせられる貴重な作品である。
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