劇場公開日 2018年3月30日

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「ベトナム戦争が落とした影は、どこまで映画が作れるネタがあるのか」ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ベトナム戦争が落とした影は、どこまで映画が作れるネタがあるのか

2018年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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とてもサンペンスフルな社会ドラマである。今年(第90回)のアカデミー賞で作品賞および主演女優賞(メリル・ストリープ)にノミネートされた、スティーブン・スピルバーグ監督作品。メリルとトム・ハンクスの初共演という話題性もある。

泥沼化するベトナム戦争の真実を暴くため、国防省の最高機密文書=通称"ペンタゴン・ペーパーズ"をめぐって、ワシントン・ポスト紙とニューヨーク・タイムズ紙が互いに競いながらも、政府の報道規制と共闘していく様子を描く。

原題の"The Post"がいい。"新聞(ワシントン・ポスト)"の意と、社主や編集責任者としての"役職(ポスト)"の意を持ち、そして"公表する"という動詞でもある。映画をそのまま表している。

史実の裏を描いており、ほんとにリチャード・ニクソン大統領は、映画に出るたびに悪代官に描かれる人だ。この作品とセットで、先月公開されたリーアム・ニーソン主演の「ザ・シークレットマン」(原題:Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House)を観ると、まるでシリーズのように歴史がつながっていく。

「ザ・シークレットマン」には、同じくワシントン・ポスト紙が出てくる。当時、"ディープ・スロート"(Deep Throat)と呼ばれ、ワシントンポスト誌にホワイトハウスの隠謀をリークした張本人であるFBI副長官マーク・フェルトの話で、 歴史的事件"ウォーターゲート"のすべてである。このリークの背景も、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」からつながる。

さらにその「ザ・シークレットマン」と関連していく作品としては、クリント・イーストウッド監督の「J・エドガー」(2012)があり、FBI初代長官のジョン・エドガー・フーヴァーを、レオナルド・ディカプリオが演じている。

ベトナム戦争と米国人はその前後の社会情勢を含めて、実に多くの関連作品が作られているが、まだ作れるネタがあるのかと感心する。

(2018/3/30/ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ/字幕:松浦美奈)

Naguy