日日是好日のレビュー・感想・評価
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穏やかな日本の美
原作は1カ月ほど前に読み、映画を観たいと思いながら、ようやく鑑賞。樹木さんの遺作映画にもなった茶道をテーマにした心に響く作品。
『日日是好日』は雲門禅師の教えとして、映画でも紹介してましたが、「毎日毎日が素晴らしい」とか「良い日が続くように努力すべき」と解釈される場合もあるそうです。
典子が人生の節目節目で味わうに辛苦に、気づくと茶道を心の拠り所としている気持ちが少しわかる気がしてきました。
茶道を通してフッと感じる美しい四季や心が洗われる感覚に、ほんの少しですが、同化できたかな・・・。茶道とは、この美しい四季に彩られた日本人ならではの美徳を、五感を通して味わうものであると素人ながら思いました。
原作を読んで、ちょっと不器用で、決して美人でもないけれど、大和撫子的な典子役に、黒木華はピッタリの配役だと思いました。
昭和の日本を代表する女優・樹木希林から、平成から新しい時代への日本的な女優・黒木華へのバトンを引き継ぐ作品だったのかも…。
すぐわからないもの、の美学
映画の中で武田先生の所作について典子が“染み込んでくる”って表現していたと思うけど、まさにこの映画そのものが“染み込んでくる”作品だった…
開始10分で不思議とじんわり染み込む感じが始まり、武田先生と典子の会話があまりにもジュワジュワし過ぎてて気付けばどっぷり浸かってしまってた(*´艸`*)
お茶道を知らない人にでもお茶道が何を伝えようとしている道なのか、そのイロハを教えてくれる作品だし、少しかじったことのある人にとっても「あるある」を感じさせてくれる良作✨(お茶道を極めた人がどう感じるかは極めてないあたしにはわかりまてん💦)
人間が生きて行く中で誰もが感じる“人生の冬”期でかなり共感し、でも季節が移ろい行くのと同じで「人生もいつまでもたっても“冬”なんて事はないんだよ」と素敵な表現で勇気を与えてくれる作品❤ ❤ ❤
あっという間に感じた100分。
樹木希林さんと黒木華さんのタイプの違った名女優二人のやり取りの細かさ。
最近の女優さんの中では黒木華たんが一番好き💟ちょっと前までは蒼井優にしか見えなかった華たんだけど、今作では浅田真央ちゃんに見えてくる。作品によって見せ方を変え、今作では声の演技が特に凄いと感じた。
劇場観賞ぢゃなくてもいいかなー、と今日まで引っ張ってたけどちゃんと劇場で観て良かったーε-(´∀`; )
たいへんよろしゅうございました
自分は、飲む方だけですが、お茶に関心を持っています。NHKで学ぶ程度ですが、飲む時の作法も知るように努め、扇子と懐紙と黒文字は常時持っていられるようにする程度に好きです。
この映画に関する評価は そんな自分がしたものなので、万人に通用するとは思いません。
とはいえ、たいへんよかったと思います。
少なくとも、自分が道端でのお茶会で感じる楽しさや喜びが散りばめられています。
さらに 梅雨と秋雨の音が違うこと、お湯と水の音が違うこと、自分が気づかずにいたそれらのことも教えてもらった。これは、映画にした最大の価値だったのでは。
とは言え、何も起こらない毎日の繰り返しなので、ゆったりした気持ちで観ることをお勧めします。
落ち着いた撮影、自然の映し方、映画の本筋を損ねない最低限度のストーリー性とエンタメ性に抑えきった脚本、ありがとうございましたという感謝の気持ちです。
配役は、最高だと思う。黒木さんの凄さは知っているつもりでいたがまだまだ侮っていた。多部さんは、黒木さんとの対比になるため 必然的に活発な役となり、自分はとても楽しく観られた。こういう多部さんが見たかった!
初めてお茶会へ行った時には、そのあまりの「何をやったらよいかわからん」感じに途方に暮れ、戦国時代の荒くれ武士が、褒賞の一部としてお茶会に招かれたらこんな感じになるのだろうなあ」と思ったのが、つい昨日のことのようです。
お茶を知りたくなり、そこから二十四節気を、陶器を、禅の言葉を知りたくなっていくという道は、この四季の国に生まれた価値を知る手取り早い道だなあと思う次第です。そういう自分は二十四節気くらいしかまだわかってないのですが。
いや、映画の中で先生が言っていました。「考えるんじゃなくて、やってみるの。繰り返しやれば、身体が動いてくれるから。」
さっきのようにダラダラ語る自分は、やっぱりお茶の道から遠くにいるのでしょう。でも、好きだから、これからも飲む方だけ、やり続けます。
おまけ2025/1/21追記
いいですねえ、24節気。
陽光の度合いで、年を24に分けて、それぞれに、その頃に起きる自然現象を名前としてつける…それだけで、こんなに豊かな一年の移り変わりを感じられる。なんか、素敵。
優しい映画
樹木希林の生後最後の映画なので
これは見なきゃって思って見ました(笑)
心優しい映画でした!
映画って何かとハプニングがあって
ドキドキハラハラするイメージあるけど、
この映画は本当に心優しい感じでした。
水の音、雨の音、すする音、
足音、お湯の音、
春夏秋冬それぞれ違う音が流れる。
茶道をまるで自分が習ってるかのように、
世界に引き込まれて、
自然で落ち着きがありました。
お辞儀や、その仕草行動一つ一つに
作法があって、
覚えるの大変そうだけど、
習って習得した人、
みんな背筋ピーンってして
女性らしい振る舞いをするようになって、
生徒達の成長する姿みて、
茶道の魅力を感じました!
樹木希林の演技はやっぱすげーなー。
ほんとに優しい素敵なおばあちゃん!
自然体だったし、うん。
そしてあまりにも優しい映画だったから、
ドキドキハラハラ求める人はつまんなくて
寝る人も出てくるかもね。
てか寝てる人いたし(笑)
このタイミングでこのタイトル
凛とした和の美と、樹木希林のユーモアと
本作の原作は、かなり気に入っている本の1冊だ。
さて、映画化はどうだったか。
本の中の武田先生(主人公の師匠)は、樹木希林のイメージではなかった。
しかし、本作は単なる“茶道よもやま話”ではなく、主人公の大学卒業時の進路の悩み、失恋や家族のことなど、ライフヒストリーとともに在る茶道を描く。
こうした主人公に起こる様々な出来事を受け止める存在としては樹木希林の包容力ある演技はとても良かったと思う。
また、映画ならではの良いところもあった。本ではよく分からなかった茶道の作法を実際に観ることができたこともそうだ。
そして、茶道は日々の生活を生きることや、流れ行く時、季節の移り変わりとともにある。
こうしたことも、様々な気候を映し出すことで、より明確に伝えられていたと思う。
生きていればいろいろなことがある。
辛いこと、楽しいことがあっても、また、なかったとしても季節はただ移ろいいく。
茶道は、そうした自然の変化の中にある自分の存在を見つめることを起点とする。すると例えば草花の変化、雨の音の違いなどに敏感になる。ゆえに本作では(茶道では)“四季”ではなく“二十四節気”で季節を表している。当然、1年をたった4つで捉えるよりも繊細になる。
こうした繊細さを感じ、また、ときに、それらを受け止め“再生”を見せる主人公を演じた黒木華の演技は確か。凛とした和の美を追い求める中にも、そこは樹木希林の演技、くすりとさせるユーモアがにじむ。これは、茶道と聞いて多くの人が思い浮かべるであろう堅苦しいイメージを払拭することに成功していて、本作のヒットの一因となっていると思う。
作中、樹木希林演じる武田先生が「毎年、同じようなことをしているだけかも知れないが、こうして、また同じ時季が巡ってくるということだけでも尊い」みたいなことを言う場面がある。
本作撮影後、樹木希林が亡くなったことも相まって、心に残る。
なんでこんなに評価が高いの?
樹木希林・黒木華・多部未華子
特になにがあるって話じゃないんだよね。だから三人の演技を観て楽しむの。
黒木華が20歳の演技をするところは「ん?」って感じがあってね。「ああ、舞台俳優さんだなあ」って感じだった。30歳ぐらいになると「さすが」って感じ。
多部ちゃんは「こういう女の子、この時代はいたわ」って見た目で良かったよ。
樹木希林は、もう、うまいね。黒木華を子供扱いって感じだったもん。
途中で黒木華の生活に波乱が訪れるんだけど、そんな丁寧に描かれないのね。だからそこは「ふーん」って感じだった。お茶の作法とかは丁寧に描かれてるから「面白いな」と思ったよ。
芸達者な女優さんの演技が観られて面白かったけど、話としては、本で読めば良くて映像化しなくても良かったんじゃないかな。
慌ただしい日々にこそ感じたい静寂の時
樹木希林さんをしっかりと目に焼き付けるために行ってきたけれど
とても心が洗われて帰ってきた
素敵な映画だった
主人公の典子(黒木華)が、大学4年生の時、就職先も決まらずにいたところ、母親のススメでいとこの美智子(多部未華子)と一緒に、武田先生(樹木希林)の茶道教室に通い始める
全く知識のない典子が茶道を習い始めるのを観て、茶道経験のない私も武田先生に教えられる気分で観ていた
そして
「茶道ってゆとりだなぁ」と思った
お茶を立てて飲むまでの間に、様々な作法があって、その一つ一つにゆっくりと時間をかけて、お客様にお茶を出し
お客様はそれを最後の一滴まで
じっくりと時間をかけていただく
その間、水の音や、鳥の声を聞き、窓の外の景色を見ながら季節を感じて、今日という良き日に感謝する
それは、ヨガの瞑想にとても似ていて
じっくりとお茶を立てる時間は、心に「ゆとり」をもたらすんじゃないかと思った
ご飯を食べる時間すらも、慌ただしく過ぎていく日々の中で
一週間に一時間でも、こんな風にゆったりとした時間を過ごすことなんてないなぁと反省した
そして、メモしておきたい言葉もたくさんあった
2月に黄色いく花を咲かせるマンサクは「誰よりも早く咲く、まんず咲く」がなまって名付けられた名前だとか
不苦者有智(福は内)は
「苦を知らない者は智を有する」という意味だとか
最も寒い時期に立春があるのは
昔の人が「もうすぐ春だ」と言って
寒い辛さを乗り越えるためだ
とか
昔から、幸せな時も、辛い時も
人々はお茶を立てながら
静寂の時を感じ
お茶を飲んで、
様々な日々を過ごしてきたんだなぁ
と思った
そんな日々こそが
日日是好日
なんだね
毎日が、とても慌ただしく過ぎていくけれど
少し立ち止まって静寂の時を過ごす時間を作って
心にゆとりを作りたいと思った
心温まる映画です
鑑賞後、一番にフェリーニの道という映画を検索しました…
なるほど…ちびっこには分からないだろうなぁ
日々を過ごし時を重ねる中で得るものは沢山有る…
日常を丁寧に暮らし、見えない物を心で感じる
心にぽっと灯りがついたような温かな気持ちになる映画。
樹木希林さんの女優人生のラストを飾るに相応しい素晴らしい映画でした。
遠仁者疎道(おにはそと)
不苦者有智(ふくはうち)
以下、抜粋
『茶席の禅語大辞典』に「不苦者有智」あり。読み方は「智有れば苦しからず」、意味は「どんな逆境にあっても、智恵が有ればそれを乗り切ることができる。だからこそ順境にあっても智恵を磨いておくことが大切である。」とあった。由来と「遠仁者疎途」については記述なし
深い意味を初めて知りました。
災いは突然にやってくる
日頃からの平常心を保っていれば乗り切れる
小さな変化に気づくほどの凝視。
大森立嗣監督×黒木華という組み合わせにそそられて見てきました。
公開前に出演者である樹木希林が逝去、そこはかとなく寂しい気持ちのする鑑賞となりました。
万引き家族のプロモーションの映像とか画像とか見ていると、あ、痩せたなって感じていて、長患いのがん患者が痩せるとどうしてもそろそろか、なんて思ってしまって、ひとりで腑に落ちていたものですから、突然の!という感じはしませんでしたが。
さて、映画本編についてですが、
前情報からして絶対地味だろうと思っていました。
予想通りの地味さで、わたしはとても満足です。
1993年から始まる25年の物語ですが、黒木華も多部未華子も1993年のもっさり感がない21世紀の女の子なので、全然90年代感はしませんでした。
多部ちゃんあたまちっちゃいな、華ちゃんの横顔美しいな、なんて思いました。お洋服も21世紀やなーて。辛うじて多部ちゃんのソバージュヘアーに90年代みを見出したかな。
1993年、わたしは12歳ですね。なので、典子たちがお茶を初めて数年後に現れた女子高生と同世代かなーとおもいます。
わたしは「道」がつくものに縁がないのですが、抹茶も和菓子も好きだから、飲み食いのカテゴリーとしてはお茶好きです。
でも「道」なので、哲学なんだと思うんですけど、その部分は全く疎いです。
映画を見て思ったのは、茶道が追求している道って、「今ここにいる」の実践なんだなということです。あくまでも映画で扱っていた茶道から、素人の私が思ったことですが。
「今ここにある(いる)」っていうのは、ゲシュタルト心理学で出てくるワードでして、わたしは全然詳しくないのですが、田房永子が著作で紹介していて知ったことなんですけど、過去も未来も見ずに、まずは今ここにいる(生きる)ことに集中することで、過去の後悔、未来への不安でパニックにならずに対処できるよっていう治療法?(ゲシュタルト療法というらしい)概念?なんです。
cf.『キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~』
ふくさをこうして折り、帯に挟んで、畳を6歩で歩いて、ひしゃくの持つ位置、蓋の置く場所、音をさせない、茶碗から湯をこぼさない、雨の音がして、鳥の声がして、温かい、寒い、熱い、心地よい風、草のにおい、お菓子の味、お茶の味、それらに集中するっていうことが、樹木希林のいるお茶の先生のおうちで繰り広げられていたと私は思いました。
それって、田房さんがやっていた「今ここにいる」と同じだなって、思いました。
道ってのは、哲学の実践ってことなのかしら?とか思っています。
特に、お湯の音と、冷水の音が違うってところが印象に残りました。
その音の違いを見出すくらい、瞬間を見つめているわけでしょ。
その気づきってうれしいよねって思いました。
ほんで、実際にお湯の音と、冷水の音違って聞こえたんですよね。
お湯はとろみのある音、冷水は澄んだ音に聞こえました。
あと、掛け軸の「瀧」って文字から、名瀑をイメージするシーンも、いいなあって思いました。
すっごく地味な映画なんですが、自分でも見つけられる小さなよろこびが入っていて、結構感動しました。
失恋のところ、一緒に泣きましたよあたしゃ。
お父さんの突然の電話が死亡フラグだった、戌年にしか使わない茶碗がラストのオチになるってのは、ちゃんと気づきました!
何気ない一瞬が輝くということ
就職が迫っても「やりたいこと」が見つからない女子大生、典子はふとしたきっかけで従姉妹と毎週土曜に「お茶」を習い始める。それから24年。挫折、失恋、別離。様々な人生の節目の傍にはいつも「お茶」があった。
民家を徹底的に改造して細部までこだわり尽くした茶室。黒木華の静と多部未華子の動が織りなすコントラスト。そして樹木希林の圧倒的な安定感。
武田先生は、御点前の所作のもつ意味をあまり教えようとはしない。それはおそらくひとつひとつの所作には説明しようのない、あるいは、意味の無い事にこそ意味がある「無意味の意味」があるということなのだろうか。「無意味の意味」とは一般的な言葉によって知る事は出来ず〈それ〉という他の無い特異的な経験によってのみ識る事が出来るものである。
様々な細やかな所作の実践を通じて「今、ここ」に意識を向けていく事で何気ない一瞬が輝き出す。これはいま注目を集めるマインドフルネスにも通じるものがある。
この瞬間は一生に一度しかないということ。茶の湯の本質とはお茶を味わうのではなく、まさに「今、ここ」を味わい尽くすということなのだろうか。色々と考えさせる深みを持った作品だった。
毎日を一生懸命に生きるって、割と簡単じゃない
雅
樹木希林さんの最後の(?)映画を必ず観ようと前売り券を買いました。きっとロングランになるだろうと思って今日まで観るのを先延ばしにしていました。期せずして「ロングラン御礼」の舞台挨拶を拝見するという幸運に恵まれました。
そこで大森監督もおっしゃっていましたが、樹木希林さんはとてもユーモラスな個性的演技をいろいろな映画でみせるのですが、それぞれの映画のそれぞれの役として違って成立する、ワンパターンではないたくさんの引き出しと、映画を支配しない品がある、というのはこの映画もしかりでしみじみと感じました。「茶の道」という、すこし身構えてしまいがちな世界を、希林さんの演技で軽快に見せてくれたな、と思います。
もう一つ印象的だったのは音楽です。四季の移ろいは美しいのですが、大きな展開がないこの映画にテンポを加えてくれる大きな要素だったと思います。思わず帰りにサウンドトラックを買ってしまいました。
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