妻よ薔薇のように 家族はつらいよIIIのレビュー・感想・評価
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憲子役の蒼井優が儲け役
まず『家族はつらいよIII』の方ですが、あまり驚きはないが、安定の面白さがあります。随所でくすぐりが入り、笑えます。
家族はつらいよIとIIで随分しっかりしたお嫁さんを演じていた史枝(夏川結衣)さんが遂に主婦を放棄、家出をしてしまうというのがテーマなのですが、いまどき幸之助(西村まさ彦)のような反応はないと思いますがね。
いつも言いますが、憲子役の蒼井優が儲け役ですね。
家族の支え合いを考える
夫の自業自得の視点から見るか、妻の反乱の視点から見るか。夫たる私は苦笑いしながら「バカな夫だ」だとつぶやき、映画館をほぼ埋め尽くす中高年女性達はやんやの喝采を浴びせる。
日頃、生活の中で語られることがない妻の本音を知るためにも、中高年男性がもっと見るべき。ただし、妻を連れずに一人で。
☆☆☆☆但し…。 ☆☆☆★★でも有る。 シリーズ最高傑作! 兎にも...
☆☆☆☆但し…。
☆☆☆★★でも有る。
シリーズ最高傑作!
兎にも角にも山田洋次の演出力の凄さに絶句する。
今の日本の映画界に於いて、これほどまでに高いアベレージを保ち続ける事に心底嫉妬をする
…のだけども、フッと少し考え込んでしまう。
このシリーズは、言わずと知れた小津安二郎の『東京物語』へのオマージュから始まった。
そして今回のタイトルは、当然の様に成瀬の『妻よ薔薇のやうに』が基になっている。
思い返せば『おとうと』は、市川崑の名作だし。そもそも。過去の山田洋次作品には。海外や国内の名作を再構築させた作品が目立つのは事実だと思う。
それらを題材として。簡単そうに見えながら、実は物凄い事をいともすんなりとやってのけてしまう。だからこそ嫉妬してしまうのだけれど。じゃあここから何か、映画としての新しい《モノ》が、果たして誕生するのかどうか?と考えた場合に、それはとても怪しい。
だからこそ。本来ならば☆☆☆☆…と、高い評価をしたいのだけれども。或る意味で☆☆☆★★…の、無難な作品と言えなくもない。
成瀬のキーワードとして。吉行和子が通うお馴染みのカルチャースクールでは、林芙美子の「めし」を話題にしていた。
勿論、『めし』も成瀬の代表作の1つ。
じゃあ!『妻よ薔薇のやうに』は?と言うと。必ずしも成瀬の代表作とは言えないのじゃなかろうか。
成瀬の『妻よ…』はこの作品とは違い、夫が愛人と一緒に暮らし戻って来ない。
一旦は戻るのだが、最後には愛人の元へ行ってしまう。
その展開に唖然とさせられてしまうのだが。
…思うのだけれど、どう表現すれば正解なのか分からないのだが。何だか胸の奥にモヤモヤが残る作品と言えるだろうか。
今回の山田版は、観終わって「上手いな〜!」とは思うのですが、少し時間が経ってしまうと、そんなに記憶には残らないのでは?…とも思ってしまう。
しかし、成瀬の『妻よ…』はどうか?と言うと。良作では無いのに、記憶の中にはいつまでも残って行く。
無難な名作よりも、歪な作品にこそ新しい【何か】が埋まっている…と言えるのかも知れない。
では山田版はコメディー映画として笑えるのか?
その時の観客にもよるとは思うのだけれど。観ていて思わず笑い出したならば、最後まで笑えるだろうし。「笑わせ方が古いよ!」…と、少しでも感じてしまうと、最後まで笑えない。
そんな感じだろうか。
とは言え、「今回はどんな役柄なのか?」が、お楽しみな小林稔侍を始め。毎度お馴染みのコメディーリリーフである笑福亭鶴瓶や、徳永ゆうき等の登場のさせ方はまさに絶妙。
こうゆうのを、サラッとこなしてしまうところ。
登場人物を平田家のリビングへと集めての話し合い。
セット内を縦横無尽に活かす撮影。流れる様にスムーズな編集等、決して強く主張する事は無いが、スタッフ陣の高い技術レベルが伺える。
タイトルは横尾忠則の画。
悠々自適の毎日を過ごす橋爪功の名前は平田家の右外へ。
吉行和子と西村まさ彦の名前は家の中。
夏川結衣の名前は、内容を考えれば分かる様に家の外。
中嶋朋子と林家正蔵の夫婦の名前は、ガヤ要員らしく家の外。
妻夫木聡の名前は、今回色々と奔走するからなのか?屋根の上。
そして、蒼井優。
蒼井優の名前は、平田家の下に表示される。
その意味は、単純に平田家を下から支えているから…だけでは無いのかも知れない。
小津が描いた家族は平山家。
それに対して山田洋次が選んだ名前は平田家。
平田の【田】は山田の【田】なのだろう。
《田んぼ》には水が必要で、蒼井の【井】には水の要素を含んでいるからなのか?
ラストシーンで、平田家に新たな【稲穂】が実った事が観客に知らされるのだった。
※ 途中にほんの少し入る談志VS三平の代理戦争は笑う案件ですよ、皆さん(笑)
2018年5月28日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン3
心地よい笑い堪能
家庭でよくある(あるある話)が笑いを持って映画に引き込ませてくれる。
幸せな気持ちを与えてくれる作品。
そこには、笑いだけでなく、夫婦とは、家族とはなんだろうと考えさせてくれ後からも心にシーンがよみがえってくる。
他人同士が、結婚して、恋愛関係から、家族になっていく。それは何度かの感情のぶつかり合いを繰り返し、それを乗り越えた先にある家族愛を、感動を持って伝えてくれた作品だと思う。
幅広い層に心地よい感動を与えてくれる。
家族はつらいよは、三作目だが出演者の息も合って
良かった。
何だか分からないが泣ける
丁度、同じ年代で我が家もあるあるを連発、芝居を観に行ってる台詞回し。
山田監督節なのか、あまり好きな空気ではないが、なんか知らないけど泣ける。
悔しいけどいい作品だ。特に橋爪功、光ってる。
我が事のように思う
この所、怒りっぽくなった、嫌みっぽいことをいうようになった。そんなことを妻から言われる。
まるで本作品の西村まさ彦のようなキツい言葉は発しているつもりはないが、2時間以上に及ぶこの作品を見て、私の事、家族のことをふと考えた。もう少し優しい言葉をかけたり、また誕生日には少し良いものをプレゼントしよう。そんな想いがわき上がってきた。山田洋次監督ありがとうございました。パート4もあったらうれしいな。
家族に乾杯
私は昔からの山田洋次ファンで、まだ山田監督作品が見れる喜びに感謝しながら、家族と本作を観賞しました。シリーズの中では一番ドラマ性があり面白かったです。鶴瓶さんが特別出演してますが、素直に家族に乾杯と言いたくなる昨日でした。次作も楽しみです。
日本の家族の泣き笑い
アメリカでは映画でも小説でも、家族が第一であるという価値観が金科玉条のごとく扱われているが、日本ではそれほどでもない。普通の人の普通の日常では仕事や学校が優先でどちらかというと家族は二の次だ。家族が問題になるのは相続争いや家庭崩壊あたりである。それは共同体の中での家族の位置づけの違いによるものではないかと思う。
アメリカでは家族は国家や州、町、会社などとは独立した、独自の世界として捉えられる。そして共同体や組織は、個人の家族を尊重する。しかし日本では共同体や組織の都合が家族の都合を蹂躙している。
本作の家族はいまでは珍しい、家族優先の一家である。こういう家族がいてほしいという制作者の願望がはっきりと感じられる。そして映画を観終えると、実は自分の中にも同じ願望があることに気付く。家族とは、同じ花を見て美しいと思うときの共生感が得られるもっとも身近な単位なのである。
家族それぞれの役割は、ひとりの人間の脳内のように明確だ。ひたすら正論を主張する者、ひねくれて斜に構える者、黙って耐える者、おちゃらけて笑い飛ばそうとする者、他人事のように論評する者など、ひとりひとりに典型的な立ち位置がある。人の頭の中で考えがまとまるような感じで家族がまとまりそうになると、誰かが暴走して再び混沌となる。そのあたりのドタバタが笑える。
西村まさ彦が演じる、独善的に見える長男幸之助だが、父親の周蔵から見ればコミュニケーション能力に欠ける頼りない息子である。しかし出張の土産で息子たちが普段から欲しがっていたゲームや、妻に似合うであろうスカーフを買ってきたりする優しさも、実は持っていたりする。そしてそのスカーフが本作のキーアイテムで、タイトルにもつながっていく。
意地を捨ててプライドを捨てて、優しさを発揮することは、相手との距離が近いほど難しいことである。しかし勇気を出して踏み込むことでわだかまった心が氷解する。その過程を山田監督は丁寧に描いて見せた。笑えて泣けてホッとする、あたたかい作品である。
古き良き昭和のホームコメディ
この映画を見終わった後の率直な感想は「何、この抜群の安定感」って感じでした。とにかく脚本やセリフが非常に緻密で全体の構成がブレないんです。笑いの質も高めで自分も思わずを声を出して笑ってしまいそうになりました。
なお、客層としてはやはりお年を召した方が非常に多かったです。私は昭和世代なので非常に面白く感じましたが、最近の若い人が見たらどのような評価になるのか気になるところです。
母親(妻)の有り難み、苦労が分かる映画。
「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」鑑賞。
*概要*
平田家の人々が直面する大騒動をユーモアにたっぷりに描いた山田洋次監督による喜劇映画シリーズ第3弾。
*主演*
橋爪功
*感想*
ほぼ満席。自分以外、シニア世代のご夫婦のお客さんが多め。若い人も来てました。
1~2は鑑賞済み。2作とも面白かったので、こんなに早く続編が公開されるとは思ってなかったですw 「家族はつらいよ3 妻よ薔薇のように」のほうがタイトル的にしっくり来るんですけど、まぁ~いいか。
1は「離婚」2は「高齢者運転」そして今回のテーマが「妻と家事」。
今回は、長男の嫁である文枝さんが焦点。
ある事件をきっかけに文枝さんは家出しまい、残された平田家の家族が妻の有り難み、家事ってこんなに大変なんだっと感じてしまう描写が見受けられました。僕は独身なので、嫁はいませんが、母親の有り難みがとても分かりました…。
前作同様、ユーモアをたっぷり交えながらも平田家の日常を描いてます。玄関の扉の音が何故かコンビニの音だったり、家族の日常が細かく描かれてるのが素晴らしい。前作のキャスト、新しいキャストも登場してますが、あまり印象的に残らなかった。けど、結構笑っちゃいました。
前作よりストーリーがちょっぴり重たい。長男役の西村雅彦さんのせいですねw あれはどう考えても旦那が悪い。逆ギレするわ、謝罪はしないわ、ムキになったり、、あんなんじゃ奥さんが可哀想です。それにしても演技が上手かったな~(^^) 自分の父親と重ね合わせてしまいましたw 似てるのでw
全体的に笑い所が豊富なので、面白かったです!妻の代わりに橋爪功さんがエプロン姿で家事や掃除、洗濯をする所が何か可愛かったw
ほっこりしますし、平田家の騒動はラストを見た限り、続編ありそうです!
シリアスなテーマを、笑いに変えるテンポのよさと、確かな演技力の”平田家オールスターズ”
3年連続第3弾。春~初夏の定番コメディシリーズとなりつつある。
大家族構成の昭和ホームドラマ的なライフスタイルは、現代の実情からは大きく乖離しているのだが、「サザエさん」しかり、60歳以上が中心の客層には、そんなことはどうでもいいのだろう。
むしろ、そこに無理なく現代的な家族エピソードを挿入する技量が見事。これまで"熟年離婚"、"無縁社会(孤独死)"などを取り上げ、今回は"夫の主婦業への無理解"を描き、"主婦への感謝"につなげている。
シリアスなテーマを、笑いに変えるテンポのよさと、細かい笑いのエッセンスは、巨匠・山田洋次(86)の喜劇の集大成になる。
山田洋次の代表作といえば、「幸せの黄色いハンカチ」(1977)、「息子」(1991)、「学校」(1993)、「男はつらいよ 寅次郎の縁談」(1993)、「たそがれ清兵衛」(2002)など、日本アカデミー賞で最優秀監督賞3回、最優秀脚本賞4回を獲得している。
86歳で現役、かつ第一線でヒットしつづける・・・。しかもほぼ年1作ペースで作る老匠たち。クリント・イーストウッド(87)、ウディ・アレン(82)、リドリー・スコット(80)・・・。80歳を越えて、こんな精力的に活動できるのが、信じられない。スピルバーグの70歳なんてまだまだ若造なのかも。(32歳から見た16歳みたいなもの)
また「家族はつらいよ」シリーズは、山田洋次監督のもとに集まった演技派俳優たちが最も重要で、このメンツを年1回でスケジュールを押さえられるのも、山田監督ならではこそ。
橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優ら"平田家オールスターズ"(!!)と、小林稔侍、風吹ジュンなど、安心して観られる俳優に支えられている。
ちなみに、本シリーズ主演の橋爪功と吉行和子が、山崎貴監督の「DESTINY 鎌倉ものがたり」(2017)の中で、黄泉の国へ旅経つ夫婦役でオマージュ出演していたのが印象的だった。
(2018/5/26/TOHOシネマズ日本橋/シネスコ)
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