「さすがの安定感」妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII うにたん♪さんの映画レビュー(感想・評価)
さすがの安定感
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山田洋次と山田組の作る作品はなんだかんだと言われても、映画を観た気にさせてくれる。
絶対にテレビの二時間ドラマよりクオリティ高い。
様々な案を取り入れているのか?タイトル文字も変化にとんでいる。妻よ薔薇のようにの“のように”がドットで打ち出された文字だったり、冒頭の家の絵に合わせて、出演者の名前がクレジットされるのだが、それにも家族の関係性が出ていたり、細かいところまで飽きさせない工夫をしている。
今作の主役は夏川結衣
ある意味、一家の中心である妻ふみえが、泥棒にヘソクリを盗まれた所から、家族内の不満が爆発する。
妻の家出から端を発した展開で、偉そうな口を利いていた其々の夫が支えを失い、ガタガタと崩れていく(笑)
世の中の高齢男性にありがちな態度で、他人の集まりである家族に対して発言がその奥にある甘えを含んだ思いもあるが、素直さを出せないあまりに意思の疎通が出来ない…それ故のトラブル(笑)
そして夫よりもはるかに強かな妻の姿が垣間見えて、観客はどこかで見掛けたシーンに軽く笑ってしまう。
死後のお墓に夫の先祖と入りたくない…と友達とお墓を作って入る宣言をする吉行和子が腰痛になると場面は一転。
いい歳をして、家事も出来ないオッサンたちに笑ってしまうし、風吹ジュンの家政婦さんがオッサンたちに家事の大変さを伝えてくれる。
じっと我慢の妻が家庭を放棄することで家族の方向や意識、現代における価値観の変化などがさらりと出てきて、社会が変わっている事を実感する。
これらを二時間ちょいに込めて作った山田洋次はやはり凄い監督だ。
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