聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのレビュー・感想・評価
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2018年3月18日
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鑑賞方法:映画館
チキンとポテトの対比や、バリー・コーガンの独特のリズムが背景になる程にアガメムノンの張り詰めた弦を想起させる音響演出が際立っていた。
マーティンの父親の死が描かれていない為、彼の復讐に爽快感は一切無く、只々後味悪く感じてしまうが、不条理を不条理できっちり返す本作は、ハンムラビ法典が歪められたまま心停止した現代に対し、今一度等価の概念を蘇生させる事に成功したと思われる。
2018年3月18日
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鑑賞方法:映画館
登場人物の誰一人として感情移入できない、不安を煽る音楽、全てが不快なのに目が離せない。
それでも、後味はそれほど悪くないのが救いか。
2018年3月17日
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鑑賞方法:映画館
ギリシャ人の監督が、たとえアメリカを舞台にしたとはいえ、ライフルで家族を
ぶっ殺す場面のある作品を作ってはいけない。
非常に後味が悪い。ただし、マーティン少年を演じたバリー・コーガン。彼の演技に救われた気がする。
外科医のスティーブン一家に起こる悲劇。スティーブンが手術で死なせた患者の息子マーティンの不吉な予言が現実になり、またはスティーブン一家がそれを現実にしてゆく。
この違和感は、どこから来るのだろう?
登場人物の会話には、家族間でも同僚間でも、社交性や共感を示す所作がまるでない。愛想笑いも。能面の下から次々に現れるのは、現実の社会では抑え込まれているだろう欲求、欲望、恐怖、攻撃性。社会を成り立たせている人間の共感を排し、心の闇だけを表に出せば何が起こるか?非現実的な世界の恐怖にリアリティを感じるのは、誰もが持つ、心の闇が表出することへの恐怖がリアルなことの裏返しだろう。
私は神話的アイロニーが好きなんだと再認識した。ギリシャ人は常に超自然的な現象を前提にしている。
オープニングの心臓の縫合シーン。縫合はラプソディーの語源だ。詩と詩を繋ぎ合わせたものが音楽。そして人と人を仮縫いしてくっつけたような家族。
マーティンは呪術的正義の下で、豪奢な暮らしの主人公に罰を下す。
マーティンがスパゲティを貪るシーンは、神である父の再生(継承)と、それとともに、「身代わり」を殺害することを象徴している。
そして物語の肝は、彼の予言そのものにある。
一方、主人公は神をも恐れぬ支配者だ。子供を自分の所有物とみなし、どちらか優秀な方を残して生贄に差し出す。
こうした「身代わり」の観念は、家族(共同体)から何かを追い払うという行為を正当化させ、その行為を行事化させていく。
人間社会の「おぞましさ」。ゾッとする。
唯一、神と人間の両界を行き来する姉。彼女が生きていることで、復習の連鎖を想像させて映画は終わる。
映画でしか表現できない、なんとも言えない不気味さ。前作「ロブスター」と同様に、この監督の独自性に魅力された。
いきなり手術のグロ映像から始まる本編(最初、動物のペニスの挿入シーンかなかんなのかと勘違いしてしまったが)
映像は骨太で終始不気味で、これでもかと鳴り響く不協和音が恐怖が迫り来るんじゃないかという雰囲気を演出する
ニコール・キッドマンのベッドでの奇妙な寝相辺りから、これどっかで見たことあるパターン?
あれ?
タルコフスキーの…Zzz…と気がつく頃には睡魔に襲われ、中盤は睡眠学習状態に
意識を取り戻すと、少年が地下室に監禁され自分の手首を噛みちぎったり
ゴア表現が苦手な自分には苦手なジャンル
自分の子供2人も下半身が呪い?で動かなくなり、終いには目から涙を流し出す
最後の覆面ロシアンルーレットでの終わり方といい謎が多い作品だった
ただちゃんと理解できても制作者は本意ではないんだろうな、こういう作品の場合
よく言う世界観があるっていう褒め言葉的なものがあるが、このジャンルは本当に微妙で1ミリ自分の価値観とズレるだけで分からなくなる
この作品はそういう意味で自分には合わなかった
ただならぬ緊迫感の有る映画でした。
日本人には馴染みの無い聖書を基にした話かと思ったらギリシャ神話なんですね。
好き嫌いの別れる映画ですが私は好きです。
2018年3月15日
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鑑賞方法:映画館
ギリシア悲劇「アウリスのイピゲネイア」が題材
それさえ知っていればワクワク見ることができる。
毛が濃いことにこだわったり
ちょいちょい性的描写を挟んできたり
それらも、全て何を示すのかに繋がって凄い!
カメラワークや音楽も、
凄すぎて、もう本当に芸術作品です。
2018年3月15日
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鑑賞方法:映画館
観たあと誰かと語り合いたくなる作品。
音が私の不安を煽る煽る… 本当に怖い、けれど面白い。
なんなの?ねぇなんなの?と何度もスクリーンに語りかけるが(心の声で) 答えはなく私を置いていく。物語を追いかけるような感覚になり最後には神の領域。かなり面白い。
究極の選択
2018年3月10日
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鑑賞方法:映画館
2018年22本目の劇場鑑賞。
心臓外科医の男が、
亡くなった元患者の息子と親しくしていくうちに、
自分の子どもたちに不可解な異変が起きるさまをミステリアスかつ不穏な筆致で描き出す。
「聖なる鹿殺し」という意味不明なタイトルであり、
本編には“鹿”など一度も出てこない。
本作はギリシア悲劇と似てる部分があると語る監督。
ギリシア悲劇「アウリスのイピゲネイア」とは、
アガメムノーンが女神アルテミスが可愛がっていた“鹿”を射殺して逆鱗に触れ、
愛娘を生贄として捧げるよというもの。
手術中の過失によって患者を死に追いやったスティーブンがアガメムノーンであり、
脅迫するマーティンがアルテミスである。
そもそも原作を知らなので理解が難しい。
耳障りな音楽、
不条理で、
特徴的なカメラワーク。
一瞬たりとも気を抜けない。
マーティン演じるバリー・コーガンの感情を表さない演技が不気味。
フォークで音を立てながらくちゃくちゃとスパゲティを食べるシーン。
あの食べる表情が素晴らしい。
失われたものを返して欲しいというマーティンの願いが引き起こした悲劇でした。
平和な裕福な家庭に育ちの異なる子供が入り込み、不可思議なことかおきて。。。
このシチュエーションだとエスターの方がずっと怖くて面白い。
オカルトのところの(映画の中の)リアリティーが足りない。
カメラワークと音楽の使い方は良かった。
とにかく、「不協和音みたいな嫌~な音楽」「登場人物のモノトーンな喋り方」「異常な性描写」そして登場人物の気持ち悪さが印象に残る映画だった。「なんなの、この人たち?!」「なんなの、コレ?!」と連発してしまったくらい、気持ち悪くて後味の悪い映画だったが、多分それが製作者が観客に期待する反応なのだろうと思った。
2018年3月9日
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鑑賞方法:映画館
家族の病気の原因が因果応報と言うのは殆どオカルト的。何かの神話を下敷きにしている、との解説もありますが、この不条理劇には全く付いて行けませんでした。
2018年3月8日
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鑑賞方法:映画館
なんかよくわからんかった…難解。ただただ静とずっしりくり音階と理不尽な展開さが、ずーん、っと気持ちに響くのでした。しばらく余韻が消えません…?
理不尽
雰囲気でもっていく映画
こういう映画は、映画通の人には、無条件に高い評価がつくのかな
普通に途中からストーリーが破綻してつまらなかった
説明がないんです、青年についての。
最後の最後までモヤモヤし(いや、謎が大きかったから終始ハラハラもした)、消化不良って思いもあるにはあるけど、これだけ潔かったなら、そういうスタイルの映画もあってもいいのかなと思えました。
見せ方はとっても巧いと思いました。
とてもジャパニーズホラー的雰囲気。
黒沢清作品を連想しました。
物語の全体像は、濁したまま、
とにかく不穏で不気味な空気感に、
観ている側は、
終始不安に駆られる。
ショッキングな映像はあるものの、
それを目玉にしておらず、
なんだか、舞城王太郎の小説のよう。
そんな表面的なことよりも、
怖いのってコッチでしょ?と、
言われているよう。
この監督さんの前作、
「ロブスター」もそうでしたが、
ラストシーンの切れ味がお気に入りです。
鑑賞中、3.5にしようかな?
と思ってましたが、
切れ味抜群のラストの余韻で、
星4つ、とさせて頂きました。
次回作も楽しみです。
2018年3月7日
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鑑賞方法:映画館
ヨルゴス・ランティモス監督は、いつもヘンテコな人たちをヘンテコなシチュエーションに置いて、異常な行動に導きますが、今作ではあまりヘンテコでは無い。父親の一つの過ちから、家族がとんでもない事に巻き込まれてしまう。父親以外、あまり悪い事やった人はいないんですが、その事実と向かうべき悲劇的な結果が明らかになった時の個々の行動が色々ヒドい。それが家族であろうとも。人間の心理と行動は、既にブラックな笑いに転化。そういや、「籠の中の乙女」も「ロブスター」もコメディだよね。前の諸作のザワザワヒリヒリする様な展開は多くは無いが、人間の心理の追求をフツーの方向にしない所がこの監督の真骨頂。サスペンスフルな映像と音楽は素晴らしくスタイリッシュで完全に一皮むけました。全く飽きずに鑑賞出来る大傑作!ギリシア人監督らしい元ネタ...というかモチーフになったお話が、ズバリ劇中に出てきます。ヨルゴス・ランティモス作品の中でも非常に親切で分かり易い作品だが、人間という存在のイタさの描き方は最上級クラスです。アリシア・シルバーストーンが出てますが、何かの暗喩ですかな?アカデミー外国語映画賞を取ってもらいたかった!
2018年3月6日
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鑑賞方法:映画館、試写会
終始不気味な音響があり、ずっとドキドキしていました。ラストに向かうにつれて、冷や汗が出てきました。良かった。
ヨルゴス・ランティモス監督、毎回一癖あるテーマに翻弄させられますが…
今回はサイコーホラー的なストーリー要素が強く以外と観やすい。
この監督に一貫して感じられる、理不尽でシュールな世界観は、日常に潜む人間の本能について考えさせられ、観た後必ず背筋が寒くなる。
ホラーとの相性は抜群!
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