聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのレビュー・感想・評価
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あまりの痛さに悴然とする。
因果応報というのか、運命のいたずらとでも言うべきなのか。しかしながら、そのあまりの痛さに悴然たる思いが拭えませんでした。評論子は。本作を観終わって。
確かにスティーブンの所為は、医者としては、絶対に行って良いことではなかったことでしょう。
しかも、心臓外科という、危急の場合には微妙な手技が要求される手術を緊急に施行しなければならない立場にある者としては、なおさら。そして、スティーブンの内面に重く重く、重くのしかかる反省、悔悟、後悔、斬鬼の念が、ますます彼を狂気へと駆り立ててゆく…。
そんな「怖さ」が、全編にわたって溢れている一本だったと思います。
また、映画作品としても、いかにも不安げなBGM や、スティーブンスが勤務する病院のシーンがでは、カメラの構図の取り方が何とも不安定というのか…気持ちの悪いくらい歪(いびつ)で、それがまた、作品全体に広がる不安感を強く醸し出していたと思います。子供たちをが罹患してしまったという謎の奇病の不可解さとも相俟って。
(本作のように、画面の構図の取り方で、観ていて不安に駆られるというのは、評論子には初めての体験でした。)
本作は、レンタル店の店頭で見て、邦題に惹かれて、何の予備知識もなく観ることにしたものでしたが、こんな作品だったは。
(これも、映画を観ることの醍醐味のうちでしょうか。)
「元々は自分が蒔いた種子なのだから、自分で刈り取れ」と言ってしまえば、それだけの話なのかも知れませんけれども、人間は、誰だって「常に完璧」と言うわけではないもの。
しかし、本来が人の命を預かる立場の医師であったスティーブンスには、そんなご託は、最初から通用しなかったと言うべきなのかも知れません。
(もう一歩進めて考えると、実はマーティンは、スティーブンス医師自身の良心の呵責の化体だったと考えたら、それはやはり、評論子の独りよがりというものでしょうか。)
本作は、ギリシャ神話の「イピゲネイアの犠牲」を素材としているそうですが、いずれにしても、これもストーリーとして「犯した罪の償い」という意味では、秀作では、あったと思います。評論子は。
21世紀のルネサンス運動を期待!
まずは基本情報。
監督:ヨルゴス・ランティモス(1973年生、公開時44歳)
脚本:ヨルゴス・ランティモス
エフティミス・フィリップ(1977年生、公開時40歳)
製作会社:フィルム4
ニュー・スパルタ・フィルムズ
ハンウェイ・フィルムズ
アイリッシュ・フィルム・ボード
エレメント・ピクチャーズ
リンプ
制作国:アイルランド、イギリス
配給:A24(米)
カーゾン・アーティフィシャル・アイ(英)
ファインフィルムズ(日)
出演
・コリン・ファレル(1976年生、公開時41歳):スティーブン(父親)
・バリー・コーガン(1992年生、公開時25歳):マーティン(少年)
・ニコール・キッドマン(1967年生、公開時50歳):アナ(母親)
・ラフィー・キャシディ(2001年生、公開時16歳):キム(姉)
・サニー・スリッチ(2005年生、公開時12歳):ボブ(弟)
・アリシア・シルヴァーストーン(1976年生、公開時41歳):マーティンの母親
・ビル・キャンプ(1961年生、公開時55歳):マシュー(麻酔医)
すっごくインパクトのあるキャスティング!
ニコール・キッドマンの圧倒的な美貌は息をの飲むレベルだし、繊細で儚い印象の子役たちもキュート。アリシア・シルヴァーストーンの起用も話題性抜群です。
そんな中でもバリー・コーガンは決して忘れられない存在感!まだ若いのにちゃんと自分でコントロールしてこんな表情や仕草をしてるの?えも言われぬ不気味さは他で見たことない。
アメリカではA24が配給しているので、なんだかA24映画として扱われていることも多いですが、アイルランド・イギリス映画で、アメリカ以外の配給にはA24は絡んでいませんね〜。
そして、監督さんのこれまでの作品と違ってシュールギャグが廃され、非常にシリアスな作品。終始緊迫感が凄いです。
例えば序盤のうち、コリン・ファレルとバリー・コーガンは同性愛カップルなのだと思わせてますよね。そういうミスリードとか目眩しをやる監督さんなので、惑わされないようにしないとね。
さてこの作品が「アウリスのイピゲネイア」を翻案したストーリーというのは割と有名な話ですね〜。
ギリシャ神話悲劇を現代を舞台に表現するということで、欧米のキリスト教的価値観とかヒューマニズムでは割り切れない理不尽さとか不条理さがあるのは当然ったら当然。
そもそもギリシャ神話…ヘレニズムの宗教の規範である「ヒュブリスへの諫め」がある意味独特な考え方なのに、それを現代で再現すれば見てる方はそれだけで違和感を感じちゃいますよ。
それからギリシャ神話で描かれる「サクリファイス」という精神構造も、個人的には日本人的自己犠牲とは微妙に違うもののような気がしています。
そんなこんなをサスペンス仕立てで現代劇で再現したら凄いモノができちゃいますよ。
今思えば同じ監督・脚本家で作った『ロブスター』(2015)もそうですけど、この映画も最初から、見た人によって解釈が異なるように作ってあって、もはや作り手の意図はあまり意味がないんじゃないかな。
ギリシャ神話の翻案と言っても、アルテミス神に相当する存在や属性も出て来ないし、何ならイピゲネイアも出て来ない(強いて言えば弟のボブ君か、お姉ちゃんのキムと役割を分担?)し、バリー・コーガンの役所は強引に解釈すれば神託を受けた巫女?
なのかなぁ…。アガメムノン王とイピゲネイアのエピソード自体、複数のバージョンがあって、「聖なる鹿殺し」というタイトルが目眩しの1つになってる。
個人的には、終盤、自分が置かれている状況を受け入れた家族4人がどう振る舞うかって所がめちゃめちゃエグくて、ギリシャ悲劇の翻案作品として見事。このレベルでギリシャ神話をやってくれるなら、もっと他のも見たいです。
ギリシャ神話なんて映画だけじゃなく文学・絵画・演劇等々、今あるアートの大元の大元だし、天文学や占星術に限らずさまざまな学問分野の大元でもあるし、スポーツの分野でもオリンピックは切っても切れない縁があります。とっくの昔から欧米人に限らず東洋人であれ誰にとっても絶対的な王道。ルネッサンスな取り組みはもっともっとやって下さい!
異なる倫理観
倫理観の違いがここまで不快なのかと感じるでおじゃる。
何故アメリカが世界を民主主義国家で埋め尽くしたいのか
不思議であったが、この倫理観の違いが恐怖や不快に繋がり、
延いては戦争に繋がると、この映画を見直して再認識したでおじゃる。
まろ的に再評価でおじゃる。
うーん、何だろう
ファレルさんもキッドマンさんもコーガンさんも
みんな好きな俳優さんなので演技は堪能できたけど
なんか抑揚なく終わってしまって残念な感じ。
ラストの演出はすきだけど
娘と息子をあの状態に陥れた手段を知りたかったけど
それを描くのは邪道なのかしら?
どうなっても報われない
家族がひとりずつ死んでいく。止めるには誰かひとりを生贄として捧げなければならない。選ばなければ全滅だし、選んだところでその事実を抱えたまま3人で生きていくことなど到底できない。
「ロブスター」の監督にA24なんて、最強のタッグだけど、最悪のエンディングしか想像できない。
いやー、ハリウッドなら自分の命に代えても 子供を守るけどそうしない...
いやー、ハリウッドなら自分の命に代えても
子供を守るけどそうしないのがギリシャ?笑
娘に冷たい母
息子に冷たい父
そして悪の存在のマーティンの不気味さ‼️
スパゲティの食べ方が世界一気持ち悪い‼️
素直に袋を被る3人にゾワゾワしっぱなし。
でも好きかと言われたら好きじゃないかなぁ。
変態監督。期待。
躊躇無くシャイニングを模し喜劇的要素と救いを抜き一層濃厚にしたことを新味と評す。
このモチーフまんま移植して傑作 、女王陛下のお気に入り、を撮る超絶変態監督。
ヨルゴス・ランティモス、何と気持ち悪い監督だろう。
アリシア・シルバーストーン か。
同監督の近作三短編連作では物足らず再々…見。
百倍こっち。
最適な説明不足の気持ち悪さと解り易すい端正な物語。
キューブリックを臆面なく模す瑞々しさも良し。
最優秀汚くパスタ喰い男優賞のBコーガンには、
黒沢清CUREの萩原聖人と同様、
もうこれ以上の役は無いだろう。
必見。
ヨルゴスランティモス監督作品のコリンファレルがいちばんすきです。 ...
ヨルゴスランティモス監督作品のコリンファレルがいちばんすきです。
あのボサっとした感じ。
ストーリーとしてはファニーゲームを彷彿させるような、じわじわと迫りくる恐怖。そして救いのないラスト。最後のカフェのシーンが虚しかったです。
ちょっと宗教的にみえた
ギリシャ神話とか良く解らないし、観終わってドッと疲れた(笑)。
予備知識なく鑑賞→聖書にある一節のような印象を受けた。
執刀医がアルコールを摂取した状態でのオペによって、父親を亡くしてしまった青年の報復なんだけど、医者の家族が突然歩けなくなったり、目から血の涙を流したり…普通に考えたら神がかりすぎて理解不能(笑)。
あの青年マーティンは神なのか?!とさえ。
貴方は私の大切なものを奪ったのだから、貴方も差し出しなさい…って、これは正しく負の連鎖なんだけど、そんなのダメだよ!とは言えないよね…。
マーティンの不気味さもさることながら、登場人物が皆 感情もなく淡々と喋るのに疲れた。
最後に長女が振り向きざまに見せた、ほくそ笑む姿が、家族のその後を暗示しているかのようで良かったです。
誕生した理由を知りたい。
面白かった。
少年登場の際に流れる不気味な音楽から不穏で、
一体何が起こるのか目が離せなかった。
こんなに気持ち悪く不気味でムカつくキャラはそういない。
筋肉ムキムキではないが、肉体的にも精神的にも無敵な
オーラを纏っていて、それがまたムカつく。
目線や食べ方、飲み方、近づき方全てがムカつく。
それが面白い。
コリンファレルは相変わらず頼れそうで頼れない感じが
物語を面白くし、
ニコール・キッドマンは頼もしかった。
冷酷さとど根性母さん二面性を持っててとても良かった。
一人殺されたから一人殺すと言う謎の呪いによって、
家族が壊れて行くのだけど、
元から完璧な家族ではないように見えたので、
結末をどう迎えるのかが楽しみだった。
そして、あの結末。
めちゃくちゃだけど、あれしかないのか…
怖さと滑稽さが絶妙なバランスで、だけど気持ち悪い
奇妙な映画でした。
何故この映画を作ろうと思ったのかが知りたい。
抵抗不能な不条理のオンパレード
映画自体は大変面白いのですが、あまりにブラックな内容であるため人に勧めるのは憚られる、一人でこっそり楽しむタイプの作品でした。
ヨルゴス・ランティモス監督の前作『ロブスター』にて特に輝いていた「不条理の中に生まれる可笑しさ」が今作でも随所に見られるのですが、今回はさらに不条理さが増しています。
主人公家族に降りかかる悲劇について、何故そうなるのか明確には理解できない作りになっているのですが、彼らが抵抗できないまま不条理に飲み込まれていく感覚を私たちにも体感させるために、あえてそうしてるように感じました。
カンヌで受賞したのも納得の出来映えである脚本に加え、時折見せる絶妙に引いた視点からの人物を突き放したようなカメラワークが印象的。
キャストでいえば、何といってもバリー・コーガンが素晴らしい。コリン・ファレル、ニコール・キッドマンといった名優たちに劣らない、むしろ食ってると言っていい怪演で映画を支配していました。彼の目線で見ると本作は、復讐によって悲劇を乗り越え、執着していた父親の継承を果たすサクセスストーリーであり、そこには確かなカタルシスを覚えずにはいられません。
バリー・コーガンの汚っねえスパゲッティの食べ方を見たい人にオススメ!
スティーブがマーティンの家に招かれてから、おかしなことが起きる。何...
スティーブがマーティンの家に招かれてから、おかしなことが起きる。何で急にボブとその後キムの脚が麻痺してしまったのかよく分からないまま。10代の子ってタバコを吸うとかワルぶった事をする男子に惹かれてしまったりするが、そんなにイケメンでもないスティーブにキムが夢中になってしまうなんて。夫婦の全身麻酔プレイを娘のキムもやろうとしてたのか?とにかく暗い。アガメムノンの話を現代に置き換えた事を思うと、映画のラストの先は悲劇がエンドレスなのでは?と。
放題は何とかならなかったか?
①突き放したような映像と遠写の多用で一貫した不穏さが醸し出されている。②主人公のエリート心臓外科医にコリン・ファースは適役とは思わないが、③マーティンの母親役がアリシア・シルバーストーンだったとは!
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