スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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サスペンス?ミステリー??
うん、好き。
何が好きなポイントなんだろう、と要因分解してみた。
まず、1点目。
前置きがほとんどない。
開始5分10分でこの物語の本題に入る。それがいい。
本でも映画でもそうだけど、いくら名作でも導入部分が長い(そのうえ退屈だったりする)と、本題にたどり着く前に『FIGHTING 睡魔』になりがちなあたし。
その点、この映画は自分の観賞史上最速で本題に入ったんぢゃないかと思うほど。
次に2点目は登場人物のみんなが矛盾を持ってる点。善人であり悪人。理性と感情とで異なる行動を取る。それが非常にリアルな人間らしくて共感できる。
そして最後にエンディング。
こーゆー終わり方って普段はあまり好まないんだけど、この映画に関してはこれがベストだったと思う。他のどんな結末だったとしてもなんか違和感を感じてた気がする。
しかし、自分の中での節目4.5点を超えないのには理由がある。
あまりにも差別用語が酷すぎる。ここ数年まったく耳にすることなくなったような言葉も盛りだくさん出てきてて驚いた。まぁ、それも時代のなせるワザ、昔のアメリカ南部の田舎で人種諸々に対する偏見なんかが当たり前に罷り通る時代の話だから仕方ないか、と途中まで観ていた。
そしたら携帯電話が出てきたり、「googleで検索する」なんてセリフが出てきたりで驚きを隠せなくなった。
えっ?うそ?現代?(´⊙ω⊙`)
ディクソン役の人が徳永英明にしか見えなかった…
新署長。。。
レビューの評価がよかったので、終わり間際に見てきました。過去レビューに、最初の印象と逆になるようになことがよく書いてあったので、黒人の新署長が登場してから、この人とんでもない悪事を働くに違いないと思い込んで見てしまいました。結局、最後まで大した悪事を働かなかったため、あれ?あれ?状態になってしまいました。レビューをかってに解釈してしまった失敗。映画はよかったです。アメリカ怖わ、女の人強っ!
これまでにない構造を持った傑作映画
犯人を探し当てて結末を迎えるサスペンスドラマという訳ではなく、誰かの成長譚が語られるヒューマンドラマという訳でもない。
この映画の新しいところは、反省も成長もしない女を敢えて主人公にしたところだ。
彼女は娘を殺した犯人を探している。しかし決して犯人に至らない。どんなに努力をしても、いや、努力すればするほど犯人には至らない。
なぜか。
それは、彼女が本当に罪を責めるべき相手、探し出して吊るし上げ、殺人と同等の責めを負わせなければならない相手は、他ならぬ彼女自身だからだ。
娘を死の散歩に至らしめたのは母親の彼女自身なのだ。
娘が車を出してくれとお願いした時、母親の彼女はそれをにべもなく断って、結果娘を死の散歩に至らしめた。
主人公である母親はそれがわかっているが、自分の外側に原因とその解決を求め続ける。自分の外側に原因を求め続ける限り、決して解決には至らないのだ。
主人公以外の人物は物語が進むにつれてそれぞれにその事がわかり、それぞれに救いを得ていく。しかし、主人公だけがそこには至らない。この構造を通じて、作者は鑑賞者に対して気付きを与えるのだ。鑑賞者は思う。ああ、そんな姿勢でいる限り、あなたは救われないよ、と。そして誰もが胸に手を当てる。自分はどうか、と。
この構造がこれまでどの映画にも無かった。傑作だ。
犯人について
やっぱり私は犯人はバーで事件の自慢話をしていた男だと思う。
じゃないとあいつがミルドレッドの店に来た説明がつかない。
これは他の人のレビューや考察も踏まえた上でだけど、一見善に見えたマイノリティの黒人の所長が、犯人が軍関係者という理由で真相を揉み消した。
この映画は人間の多面性を描いている。
被害者の母であるミルドレッド自身、良い母親であったとは思えないし、彼女の行動は一線を超えていて、善とは言いがたい。
ディクソン巡査がレイシストであることは事実だが、後半は善き人格へと変わっていく。
そしてウィロビー署長が自殺した理由。
私は最初、手紙の通りに受け取っていた。
しかし、彼がスリー・ビルボードにわざわざ出資したのには若干の違和感が残る。
本当に愛する家族に看病の迷惑をかけたくないという理由だけで自殺したのであれば、残された家族のためにもお金はなるべく多く残しておくべきではないだろうか。
ブラックユーモアで5,000ドルもの大金を出資するだろうか?
やはりウィロビー署長も犯人が分かった上であえて隠蔽していたことに、罪の意識を感じていたのではないだろうか。
そうであればウィロビー署長も、家族や仕事仲間には善き面をみせていたが、やはり悪である。
マイノリティに光を当てる必要があるということに変わりはない。
しかし実際人間はもっと複雑で、黒人が被害者で白人が加害者、被害者は同情され、加害者は迫害されるべき、などという単純な二元論で語ることはできない。
私はこの映画から、そんなメッセージを受け取った。
すごかった。
凄かったです。監督にこんなにも簡単に感情をコロコロとコントロールされてしまう自分を、少し悔しく思いました。
それくらい面白かったです。
まず、彼女の弱さ。
燃えるような信念を貫き通しますが、だからといって彼女は化け物ではありません。
ショックなことがあれば動揺もするし、心に迷いがない訳でもない。
しかし不屈です。絶対に折れない。そこに心底しびれました。
次にオスカーの話ですが、作品賞を取れなかったのも納得している自分がいます。
映画そのものの、革新性や芸術性は確かにシェイプオブウォーターの方にあるように感じました。(特に、物語そのものが殺人事件という今まで描き尽くされて来たジャンル物という所もあります)
しかし、観て心の底から痺れたのは圧倒的にスリービルボードでした。
2019/01/08追記
おかえもんさんの解説を読みました。
この映画の最重要レビューだと思われる内容で、鑑賞された方全てに読んでいただいたいです。
URL
https://note.mu/okamasayuki/n/n16b473a2d2d5
よくもまあこんなストーリーを思いついたなぁ
※注意:映画『フライト』のネタバレも含みます。ご注意ください。
すげぇ映画だな。
ミルドレッドは、言動がとにかくつっけんどんだから、感情移入がしにくい。
しにくいけども、ときおりインサートされる回想シーンを見ると、口は悪いけれども、子供のことを愛していることはよく分かる。
ましてや、娘が亡くなる直前に大喧嘩をして、車を貸す、貸さないで口論になっている。
で、売り言葉に買い言葉で、「歩いて帰る!」「レイプされても知らないからね!」みたいなやり取りまでしているわけだ。
それが不幸なことに現実になってしまった…
それは当然、悔いが残ることだろう。
小男も良かったなぁ。
ミルドレッドに好意を抱いていて、彼女を救うために警察に嘘までつく。
そうまでして叶えたデートで、ミルドレッドのあまりの言いぐさに、さすがに腹をたてる。
なぜ君は、そうやってすべてを敵に回すんだ?
ここにこうやって、君のことを愛している人だっているのに…
怒りとともに感じられる切なさ。
これには、さすがのミルドレッドもこたえたのだろう。
そして、なんといってもディクソン。
中盤までは、本当に最低最悪の男だし、なんならお前が犯人なのでは?と思ってしまうほど。
がしかし、不幸な偶然が重なり、最も尊敬している上司であるウィロビーを亡くす。
これは、彼にとっても強烈な衝撃だったのだろう。
彼の家は母子家庭。
おそらくは、ウィロビーに父親の面影を重ねていたのかもしれない。
だからこそ怒りを覚えたのだろうし、それゆえに広告代理店の社長に暴力を振るったのだろう。
それはもちろん許されないことであり、クビになるのも仕方ない。
でも、そんなディクソンに「お前は刑事の素質がある」と思っていたのは、他ならぬウィロビーだったのだ。
彼が死ぬ間際に残した手紙は、ディクソンの心に深く刺さったのだろう。
だから彼は、自分の命を賭してでも、ミルドレッドの調書を火事から守ったのだ。
彼の心の片隅に残っている、ほんの一欠片の良心が目覚めたのだ。
デンゼル・ワシントン主演の『フライト』を思い出した。
テクニックは超一流だが、アルコール中毒で人としても尊敬できな機長が、裁判の最後の最後で良心に目覚める。
自分の恋人であるフライト・アテンダントが妊娠していたこと。そんな身でありながら、乗客を守るために命を賭けたことが、裁判によって明らかになる。
ここで自分が偽証を重ねたら、自分は本当の意味で「人でなし」になる。
人らしくあるということ。
これまでに重ねた罪は消えることはない。
でも同時に、それを悔い改めるのに早い遅いはない。
もちろん、周囲は簡単に認めてはくれないだろう。
だから、ディクソンは命を賭けたのだ。
大火傷を負うことと引き換えに、調書を守ったのだ。
ウィロビーが守ろうとしたものを、自分も守らねばと。
それが彼にとって生きる意味であり、贖罪にもなるのだ。
ラスト。
あの二人は、はたして殺人を犯したのだろうか。
ひょっとしたら、二人はあのまま、全米を転々と渡り歩き、真犯人を探したのではないだろうか。
いや、それともやはり、あの男の元へ行き、引き金を引いたのかな。
うまいところで映画を終わらせたなぁ。
デトロイトに比べるとおとぎ話に感じた。 あいつが良い方向に行くとは...
デトロイトに比べるとおとぎ話に感じた。
あいつが良い方向に行くとはね〜
マッチョな白人男性が良い人だといまいち信用できない自分を発見した。
なんて危険な街なんでしょう
うーん、感想が難しい。
最初の内は警察が何もしない事にイライラして母親側から見てたけど、衝動的で口が悪く、救いのない娘との最後の会話、どっちもどっちで精神的にキツイ。
感情のコントロールの出来ない母親と警察官、どっちもする事が極端過ぎて、それなのに捕まったりはしなくて怖い。
二人ともいろんな事件があって変わっていく過程に教訓があるんだろうけど、事件の犯人は結局分からないし、犯人じゃ無いけどレイプ犯の思想だからって殺しに向かっちゃうのはなんだかなぁ。
何と言ってもラストの清々しさ、、 人をしばきに行くというのにここま...
何と言ってもラストの清々しさ、、
人をしばきに行くというのにここまで爽やかなのはなかなかない。。
署長の死をきっかけに大きく大きく動き出す人々、
それもこれもたった3枚の広告によって。
牧歌的な音楽と風景がミルドレッドの強さと対比的で互いが強調されてた。
少しずつ、犠牲を払いながら前へ進もうとする2人がラストを締めくくる。それはややもすると難航する捜査への苛立ちのためだけなのかもしれない。だけれどそれは観ている側も一緒で、捜査とはそういうものだ、現実はフツーのハリウッドのように犯人が捕まって終わる、なんてことはない、手がかりがなく終わることだってあるんだ、ということを伝えているようにも思う。
その気持ちが最後のシーンを担保しているのかも。
物語の始まりは事前に知っていたから、きっとこんな展開でこんな感じで...
物語の始まりは事前に知っていたから、きっとこんな展開でこんな感じでなけるんだろな、と正直タカをくくってたんだけど、ぜーんぜん。
みんながみんな思わぬ方向へ進んで行き、思わぬところでチョー泣かされ、最後は意外な爽快感。と思いきやあったかーくなってしまったり。
うーむ、ありがたや。
もうメイン3人の演技が良すぎて。とくに署長!助演男優賞はこっちじゃないかなあ!?そっちも良いけども!
ウラオモテ無く生きたいものです
絶望的に悲しい事が次々起こり、前半は結構重苦しい雰囲気で話が進んでいく。出演者のキャラクターが自分の中で消化できる頃、ちょっと吹いてしまうほど笑えるシーンも出てくるのだが油断しているとまた新たな火種が、、、
主演ふたりの演技力もさることながら、脇を固める俳優たちのキャラクターにそれぞれ意味があり、約2時間あっという間だった。
3つのビルボードはオモテ面よりもウラ面が映し出されている時間の方が長かったように思う。
これもなにかを意味しているのだろうか。
お見事です。
きっとこの世は愛で溢れている
…ただ、ちょっと周りが見えなくなってるだけ。
日本において「一億総ツッコミ社会」言われる昨今、インターネット(特にSNS)での心ない誹謗中傷や揚げ足の取り合い、マスコミ含め人の不幸を面白がる風潮が拡がっている。(人類はそんなことでしか快楽を満たせないはずじゃない)
そんな世の中を見事な群像劇で風刺した作品。
娘をレイプで殺された母親が掲げた3つの広告看板「スリービルボード」。それをきっかけに取り巻く人たちの運命が複雑に絡み合っていく。独りよがりや思い違いすれ違いが繰り返されるなかで、そのひとつひとつの交差に人それぞれの苦しみや悲しみ、そして優しさがじわりと滲み出る。
憎しみ合いからは何も生まれない。
いがみ合ってしまう人たちもきっとどこかで愛を持っている。その想いに触れ、他人に不信感しか抱けなくなっていた主人公の心も解けていく。
惨忍な描写も多くあるが、平和を願い愛に溢れた映画だと思う。
アカデミー賞はじめ数々の映画賞を受賞したのも納得。
愛と勇気と正義を!
超現実を突きつけられる作品。怒り、憎しみ、絶望が渦を巻き、それでも解決できないことはたくさんあるのだ。物語では解決できても、そうはいかない現実、というのを突きつけられる。そんな時、必要なのが愛と勇気と正義なのかな、とこの映画を見て思う。暴力と仕返しはむなしいだけ。この作品に暴力シーンは欠かせないのだろうけど、やはり、ビクッとなる。結末は見た人に委ねられた。
信念の物語
はらはらもするし、締め付けられるような気持ちにもなるし、優しい気持ちにもなる。
この映画はいろんな立場の人が出てくるからこそ、いろんな人の気持ちになれる。
どの想いも間違いじゃないんだと思った。
スリービルボードにまつわる人と人の信念の物語だと思う。
久々に息を飲む緊張感をあじわった。
一緒に心の旅をした
すごくすごく面白かった。予告がちょっとしんどそうな内容だったので見ない気持ちになってたけど、オススメされたので勇気をだして大正解。オススメしてくれたみんなありがとう!
見ながら色んな事を考えました。登場人物達と一緒に精神的な旅をした気分。
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