シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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マイノリティ同士が心通わせる瞬間が美しい。
1960年代を舞台にした現代のおとぎ話。
クラシカルなファッション、街並、小道具、音楽のセンスに目や耳も楽しい。
主人公が恋する相手は異形の半魚人だけど、もはや本質はそこじゃない。
性的指向、人種、国籍、ハンディキャップ、色んな角度からマイノリティが描かれそのたび共感していくので、半魚人との恋もすんなり飲み込めていたのが面白い体験だった。
恋愛ファンタジーに昇華させて、美しくお洒落にレイシストを皮肉る様はしびれたし、日本ではエンターテイメントでありながらふわっと社会に異議申し立てできるアーティストは多くないのでその視点で洋画は楽しい。
互いが数少ない友人であるイライザとゲイの隣人ジャイルズとのやりとりは、温かくてピュアに互いを大切にしていて、孤独な彼らは気づかないだろうけど、こんなに美しくて幸せな人間関係は簡単に築けない。
サリーホーキンスはまるで物語の中で生きてるようで、発話障がいで言葉を持たないのに彼女の感情は手にとるように分かるし、いつのまにか彼女のことを可愛らしくて愛らしいと思っていて自分に驚いたり。
美しい恋愛ファンタジーかと思いきや綺麗におさまり切ることなく、彼らの愛が性愛なのか純愛なのか考えさせるシーンがあったり、恋愛のありのままを映して出していてとてもピュアな映画だった。
美しさと醜さ
ハンディキャップを物語の序盤に与える事で、
言葉の欠落、コミュニケート不足、物語で伝えたいことが浮き彫りになっていた。
濡れ場の詳細を敢えて手話っぽいもので伝えることでぼやかすのは、お洒落で流石だと思った。
今にして観ると、割と突拍子も無いテーマだとは思わないが、数年前当時に観たらかなり衝撃的だと感じた。
ジョジョのフーファイターズに似ている、がファーストインプレッション。
不完全ではないわたしを。
ありのままを受け入れてくれる彼。
半魚人ってちょっとゾッとしたけど、監督の強い強い想いが込められた現代こそ観るべき愛す作品。
自腹きって作り上げたという、本当の映画。
美女と野獣じゃダメ。
半魚人と不自由なオバさんという構成には理由があり
ありのままを受け入れてくれる、ありのままを受け入れることに意味がある。
愛って形がなくて水も形がない。
涙が溢れて止まらなかった。
90年代のレコードにあの柔らかな暖かい音色。
癒される。
最高。また観たい。
せめてる
開幕ヌードだったり、のんびりしたスタートでヤベェおもんないかも思ったけど杞憂でした
敵役の男はワル悪の悪だったけど、一回の失敗で失脚するシーンとか前後半でズタボロになってるシーンとか見るとかなしーってなるよね
いやー愛愛してましたねって感じ。ゆで卵から始まる恋ってか
おっさんがいきなり手を取って引かれて、そんで客を追い返すシーンは情報量多くて禿げました
博士はもうフラグビンビンでしたね。生きて欲しかったけど
それを言ったら初っ端から千切れた2本の指くんも治って欲しかったけど、宿主があれじゃあな…残された家族かわいそう
かわいそうで言ったら、真面目に偽造ID見抜いた警備員君が死んでしまって残念だ
子供の頃見たら理解できてなかったな自分は。神様出てきたシーンで笑う
もし現代劇だったら、凡作になっていたであろう
悲しくて、美しくて、そして意外に楽しいお話。
半魚人と、口のきけない女性のラブストーリーという、かなりの変化球ですが、内容はおとぎ話にあったような悲喜劇。ふたりの恋が成就するのを見守っていたくなる不思議な空気に包まれています。
その秘密は、この映画の舞台をあえて冷戦下のアメリカにしたことだと思います。もし、現代のお話にすれば、よくあるモンスター映画で、「キングコング」とか、「ET」などの名作を超えることは難しいでしょう。でも、昔話にしたことで純粋に男と女の愛の形にフォーカスできたのだと思います。
同じ監督の「ヘル・ボーイ」に似たようなキャラクターがいたので、そのころからこんな作品の構想があったかもしれませんね。「半魚人と若い女性が愛し合うことは可能だろうか?物理的に、生物学的に」みたいな発想が始まりなんじゃないかと思うのですが。
オスカーノミネーションの派手な話題が先行して、ずいぶんとハードルが上がっていますが、見終わって正直それほど感動もなく、がっかりもなかったので、意外なほどフラットな心境です。サリー・ホーキンスは上手だなと思いました。並みの女優さんだと、あそこまでファンタジックにアプローチできないと思います。
2018.3.1
無条件の愛
言葉を発することのできない女性イライザと特殊な力を有した半魚人の愛を描いた本作。
ギレルモデルトロのクリーチャーへの愛が全面に出ていて観ているだけで癖になるような色使い、質感が表現されていた。
タイトルにもある通り、水の表現にこだわり抜いていて水で表すことのできる感情や表情の可能性を大きく広げた作品だと思う。
全体的にエメラルドグリーンが基調となっていて水の中から本作を見上げているような感覚だった。
登場するキャラクターも個性的で主人公のイライザは一言も話さないのに何を伝えているのかどんな感情なのかがはっきりわかり、引き込まれた。一緒に住む絵描きの老人の不器用な恋模様も描いており、普段映画で描かれないようなマイノリティへの監督の思いが溢れていると感じた。なんと言ってもマイケルシャノンが全編を通して主人公達への脅威となっていて何をするか分からない緊張感があった。また、ストーリーの経過とともに強まる彼の指の痛みが画面を通して伝わってきた。
ギレルモデルトロ唯一無二の世界観で愛を描き切った本作に釘付けで心を掴まれた。
恋愛映画ではなく、そのアンチテーゼである。
何のために自慰シーンがあるのか?・・卵は何を暗示しているのか・・?
人間といえども野生動物なのであって子孫を残すための本能が組み込まれている。それが性欲と恋愛である。 本人も気が付かないうちに性欲と恋愛が入れ替わっていたり混じっていたり取り違えたりする。 そういうことを既存の映画の枠そのままに描いたのがこの映画の偉いところだ。つもりボーっと見ていると「美女と野獣」のような普通の恋愛映画にしか見えないように作られている。R指定になって興行成績が伸び悩むのを覚悟でそういうテーマにチャレンジしたのがアカデミー賞で評価されたのだろう。
しかし残念ながら映画としては面白くなかった。 何しろその枠を今までにテレビアニメとかで100回以上見てるから。パターンのまま見させられるのが苦痛だった。 もうちょっとを随所に新しい工夫を入れて退屈させないで欲しかった。
変幻自在な愛の形
極めて個性的で、現実的な私の価値観を根底から揺さぶる衝撃作だった。本作は、人間の女性と異種生物とのラブファンタジーではあるが、全編、他の作品では味わうことのできない、独特の雰囲気、世界観が漂っていて、不思議な世界に迷い込んでしまった感覚に襲われる。更に、1962年アメリカという時代背景をしっかり踏まえたストーリ展開になっていて、サスペンス、ミュージカルの要素も巧みに織り込んだ深みのある作品に仕上がっている。
本作の舞台は東西冷戦真只中の1962年アメリカ。主人公イライザは、聴力はあるものの、喋ることが出来ず、ある研究所で清掃員として働いていた。ある日、不思議な生物が研究所に持ち込まれ、イライザはその生物に興味を抱き、手話を使って交流を試みる。そして、徐々に意思疎通が図れるようになり、いつしか、彼女はその生物に惹かれていくが・・・。
本作がキワモノ作品になっていないのは、この物語に注がれるギレルモ・デル・トロ監督の暖かな眼差しと、主役のイライザを演じるサリー・ホーキンスを始めとする出演者たちの演技力の賜物である。サリー・ホーキンスは喋れない主人公の心情変化を仕草、顔、目の表情で見事に表現している。特に、人間ではない生物に惹かれていくときの艶やかさ、妖艶さに魅せられる。人間同士の恋愛をしている時の“恋する女”そのものである。恋愛対象が人間ではないという違和感、異質感は、彼女の演技で完全に払拭される。
職場の黒人の同僚であり、イライザの良き助言者であるゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーは、際どい、キツイ台詞が多いが、サバサバしたカラッとした自然体の演技が奏功して、毒々しさ、説経臭さが無い。画家である隣人のジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスは、穏やかな佇まい、優しい眼差しで、イライザの想い、行動を受け入れていく。研究所のホフステトラー博士役のマイケル・スタールバーグは、東西冷戦という時代を背負った役どころであるが、真理を極めたいという科学者としての葛藤を静かで落ち着いた演技で表現している。軍人ストリックランド役のマイケル・シャノンは典型的なヒール役であるが、人物像がしっかり描かれているので、人間臭さが出ていて、現実感のある悪党振りが際立っている。やはり、ヒール役がしっかりしていると、作品全体が引き締まって緊迫感がある。
大袈裟でない、力みのないラストが良い。監督の想いが集約されているので、心地良い余韻に浸ることができる。題名“水の形”が作品メッセージになっている。水の形は器によって変化する。愛の形も同様であるが、外見、学歴、身分、家柄、国籍、肌の色など、という先入観、固定観念によって器の形を固定してしまえば、愛の形は自由を失ってしまう。先入観、固定観念を持たず、心を通じ合えれば、愛の形は変幻自在であり、種をも超えることができる。本作は、そういうことを我々に問い掛けている、とても純粋な作品である。
雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
アメリカが朝鮮戦争の後に、ベトナム戦争を始めた頃の話。もっとも、ファンタジーなので、時代設定だけで、出来事はスチームパンクになっていると思う。雨降る街が、ブレードランナーのように僕は感じた。
ネタバレになるので、詳細は言えないが、この映画の時代設定の12年後にベトナムとの戦争は負けて集結する。つまり、アメリカにとっての暗い時代は実はこれからであり、この映画が封切られた時は、メキシコに壁を!なんて暴言を吐く大統領で、アメリカの暗黒時代は未だに続いている。と思う。
この映画の監督がメキシコ人なので、どこかに、隠されたメッセージがあるのだと思う。もう一度見ることはないと思うが、そう考えると、魅惑的な映画だと思う。
苦手なファンタジー
ほぼ予習無しで観たけど、思いっきりファンタジー映画だった。
あんな簡単に連れ出せてしまうとは。そして最後はどういうことになったんだろう。ファンタジー映画のこういったいい加減な感じは嫌いです。
あと、この映画の入浴シーンの裸は必要なんだろうか。よくわからなかった。
いろいろ考えさせられる
人魚(男)と声帯を失ってしまった女性のお話。
人魚は恐ろしい、と言えるような姿形をしているけれど、言葉や音楽を理解する。観ているうちに、愛らしさも感じられる。
が、やはり、わたしは人魚への恐ろしさを最後まで拭い去ることができなかった。
最後、人魚が主人公を海へ連れ去るのは、ハッピーエンド、と言えるのかもしれない。
傷も治り、彼女は水中で息ができるようになるのかもしれない。
そこは、彼女にとって、現実よりも生きやすい場所かもしれない。
ただ、「純粋な」欲望によって生きる人魚が怖いと感じた。
原始的な欲望は、美しくも、恐ろしくもある。
各キャラがいい味だしてる
サリーホーキンスがとても可愛らしい。
清掃員の中年女性と半魚人の恋愛脱出劇。
もっとサスペンス的要素が強いかと思いきや、
笑えるシーンやほっこり温まるシーンもあり
想像以上に面白かったです♪
ゼルダ役のオクタヴィア・スペンサーや
ジャイルズ役のリチャード・ジェンキンスが最高!笑
ただグロさ残虐さもそれなりにあったので、
いろんな意味で刺激強めな作品。
拷問シーンは心が痛む...
緑が印象的に描かれていて、美しかった。
これは何か意図があるのかな??
所々「絶対見つかるでしょ!!!」とハラハラしながら観ました。
話せない2人が心惹かれていく姿はとってもピュアで、
思わず手助けするゼルダとジャイルズの気持ちがわかります。
作中の音楽もノスタルジックで素敵でした。
私が感情移入した人物
独特の色彩感覚、1960年代のセット、それに「ヒューゴの不思議な発明」を彷仏とさせるような冒頭のカメラワークが素晴らしい。ただ、肝心の物語にはいまいち入り込めなかった。ところどころ残酷なシーンもあったのも評価を下げた理由の一つだ。私の場合、誰に感情移入するかによって、作品の評価が左右される場合が多い。この映画では、イライザと同棲している初老の男性だ(ナレーションの男?)。結構いい人なのに、結局最後はイライザを失ってしまい一人ぼっちになってしまう・・・ちょっとかわいそうではないか。
怪獣映画ではありますが
まずは主演が上手い。それだけでも価値アリです。
話も良く出来てるし、映像の雰囲気や場面構成も大変映画的でよろしい。個人的には国際問題の花形である米ソ冷戦対立が背景にあるところが非常に気に入ってます。
ただ、所詮良くできた怪獣映画であってオスカー級とは言い難いです。それと時折挟まれる悪趣味なシーンには閉口。最近流行ってますけど。
ETとか象男とか感動以前にそもそもグロな外見が無理、って人結構多いので、私も最近やっと免疫付きましたけど、そういう人は受けつけないでしょう。
とりあえず人間って最悪だな
レビューが酷すぎて見るの躊躇してましたが、意を決して見ました。
不思議な生き物の目が可愛くて、抵抗感なくストーリーに入り込めました。神と崇められていたものを捕まえて、拷問して解剖してソ連より優位で月へ行くための材料にするとかあいつらまじクソ。最初から最後までクソでした。いじめたから指噛みちぎられてんで!猫を食べたのも威嚇された防衛本能からだった気がするし、不思議な生き物は、自分から好んで攻撃したことはない。やられて身を守るため。猫襲っちゃって逃げる時に怪我させたことも反省してたし。イライザと好意を抱き合うのがまた可愛かったです。ラスト幸せになってたらいいなって思います。
センスの良い映画
最近、映画館に遠ざかっているので予備知識無しにCSで見た。
冒頭から目を離せない演出と上手いカメラワーク。セットもすごい。
この引き込まれ方は19の時に見てはまったロバートアルトマン監督の『バード★シット』(何故か評価が低く、ビデオにもならなかったが、最近DVDが出たようだ。)以来の作品と思った。
映像も、色も、音楽も高いセンスを感じた。
今度は映画館で観たい映画です。
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