シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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わかりやすい。
話の流れがわかりやすいので見やすいのでは。謎といえば、あの水に浮かべる緑のやつは何だ?見た目てきに必要なの?くらい。あとはヒロインがちょっと年だなって思ってしまった。
お伽話
私はある程度健常な人間なので、メイン登場人物の気持ちを理解する事は難しいのだけれど、一見ホワイトカラーで何もかもを持っているような悪役の警備室長も、上の人から「まともな男になれ」と圧迫されている時の場面には得も言われぬ気持ちになります。本当は普通の人なんてどこにもいないのかもね、と思わされます。
ラストは二人は幸せだといいね!と6歳のギレルモ・デル・トロ監督に微笑みたい気持ち。
北斎の「蛸と海女」なんだな
半魚人とヒロインのセックス…。私がタイトルに書いたイメージですな。
ちょっぴりグロくてエッチ…。
舞台は1960年代初めの米ソ冷戦時代を背景にする中、なんともレトロな雰囲気とSFチックなファンタジーという仕上がり。
アカデミー賞はじめ、高い評価を受けている作品だけに、腐すところが見つからない。
R-15の制限付きなのは当然の内容だけど、お子様にはちょっと刺激的かな。
それでも、見て損しない作品だよね。
ありの〜ままの〜を描いたおとぎ話
美しかった。映像も音もストーリーも。
結末も「そっちかー!」って少しの驚きもあり。
しれっと色んな種類の差別もあり。
醜いと差別受けるもの同士の純愛だけに終わらない感じはいい映画に感じました
ダークサイド童話
良くも悪くもデル・トロ監督らしい映画です
映画としての良い悪いより、合うか合わないかの感性で評価が異なる映画と思います
ファンタジーなのですが 童話だとオブラートに包む人間の欲望やダークサイドを 無造作に投げ込んできます
少し昔だと単なるB級映画で終わっていたかもしれませんが、環境や技術の進歩もありアカデミー賞の対象になる時代になったと感じます
スプラッシュとの類似についての指摘もあるようですが、私はあまり気になりませんでした
確かにプロットはよく似ていますし、ファンタジーを現実に持ち込むというベースも類似していますが、
スプラッシュは監督やキャストの性格もあって、画面や演技、色々な描写が基本的に陽の世界ですが、こちらは明るさ、背景など陰が基本の描きかたなので、印象が大きく異なりました
愛に包まれて生きる幸せ
まず印象深かったのが、計算し尽くされた映像美である。
終始、青緑色が至るところにちりばめられていて、レトロな音楽や雰囲気とも相まって、ずっと水の中にいるような、昔に戻ったような感覚に心地良さを感じた。ところどころ、直接的な姓描写や、グロテスクなシーンがあったにも関わらず…もしかしたら、誰もが経験したお母さんの羊水の中のような?そんな安心感が全編を通してあった。
また、ヒロインの気持ちの変化に合わせて、だんだん赤などの差し色が増していくのが、非常にお洒落で可愛かった。
何気ないひとコマも、そのまま静止画として切り取れば立派な構図になっていて、ストーリーを追うのと映像を楽しむのとで非常に忙しい二時間となった。
観ている間は気づかなかったが、常に3分置きくらいに何かしらの形で水が出てきていたらしい(ギレルモ・デル・トロ監督インタビューより)。
そして、ときどき聖書(サムソンとか)の内容があったので何か意味があるのかと気になったが、具体的な理由は見つけられなかった。アメリカはキリスト教の国なので普通なことなのか…?
「シェイプ…」は「愛」がテーマとのことだが、キリスト教も愛を説いているから、もしかしたら自然なつながりなのかも知れない。
ちなみにカレンダーの「10日」にも何か裏設定があるのかと思い探してみたが、イエス・キリスト復活のち昇天後10日の「ペンテコステ」くらいしか見当たらなかった。深読みし過ぎかな…?
魚人(謎の生物)と人魚(ヒロイン)の違いについても考えた。
最初のナレーションでヒロインのことを「声を失った姫」と言っているのがすごく気になった(日本語訳だが)。「姫」と言われれば人魚姫を連想するが、人魚姫の物語では、姫は声と引き換えに地上で歩くための足を得た。最後に、実は元々いた海に戻っただけだったのだかも、と考えてしまった。
最後に詠まれた詩、はっきりとしたフレーズは覚えていないが「愛に包まれながら、漂いながら生きる」だったか…?
美しいが、ちょっと夢うつつな、この世のものではない幻想的な印象を受けた。いつもあたたかな愛に包まれて生きていられたら、どんなに幸せだろう。
あるがままの二人に、名前は要らない
デルトロ監督の映画には、湿り気というものがある。
パンズ・ラビリンスにも、ミミックにも、そしてこのシェイプ・オブ・ウォーターも。
イライザの肌、バスタブに注がれるお湯、かき混ぜる指、茹で卵の煮沸している水、さらに踏み込んで自慰にふけたり性交するときの分泌液まで想起させる。
そういった生々しさを生理的に嫌悪する人もいるかもしれない。
でも私は、純愛ものでボカしがちな女性の性欲を生々しく描くことで、ある意味男性と対等な存在に引き上げた監督に敬意を抱いた。
また、何となく健常者が身体障害者に対して抱くイメージが「聖者のようにクリーン」であることが多いように思う。
パラリンピックなどのイメージがあるためだろうか。彼らの純粋な部分ばかりが前面に押し出されてしまい、性欲など超越しているかのような、はた迷惑な固定概念の押し付けをしている気がするのである(乙武さんの不倫騒動があったとき、世間が過剰に反応したのはそういう理由かも)
冒頭でイライザが自慰にふける場面をいれることで、それらの固定概念やステレオタイプのイメージをぶっ壊し、「あるがまま」の女性を描いたことは特筆すべきだろう。
イライザが半魚人に抱く気持ちを、とうとうと手話で説く胸を打つシーンがある。
彼女はあるがままを見てくれる彼が、かけがえのない存在だと訴える。
そこで気がついた。
イライザは、彼に名前を付けないのである。名前をつけるということは相手を自分のイメージに縛りつけることでもあり、何者であるかを制限することでもある。そして、あなたは私のモノだと宣言することでもある。
でもイライザは彼に名前を付けないのである。二人の関係には「私とあなた」しかなく、二人はまさしくどのコミュニティにも属していない「あるがまま」の存在なのである。これ以上の純粋な関係はあるだろうか。
この映画には偏見と差別が渦巻いている。
イライザを取り巻く親しい人々はみなマイノリティ。隣人ジャイルズはダイナーの若者に恋をする初老のゲイで、ふられた挙げ句相手は生粋の差別主義者であったし、友人ゼルダは黒人であることで会社で差別発言を受ける。
しかし二人はイライザに対して痛々しいほど誠実であろうとするし、真摯的である。
対して、ゲスの極み、ストリックランドという白人男の存在。
妻との性交のときに口を押さえる仕草は、弱き者の意見を塞ぐという独裁者への皮肉なのだろうか。
イライザらがせっかく掃除したばかりのトイレで小便を撒き散らし、手を二回洗うのは軟弱な男という持論を振りかざし、出世欲に取り憑かれ、独りよがりでマゾ。本当にゲスい。
人間性という点では、マイノリティ側の方がよほど優れている。人種や偏見にとらわれず、人間のあるがままを見よう、というメッセージかここでも込められている気がする。
最後、ストリックランドが引き裂かれた喉は、失われた声のイライザの痛み。そしてイライザの傷は「彼」の力で生きるすべとなる。彼女の傷はこのためにあったのかと、みごとな布石にため息がでた。
傷つけられた人々はそれを糧にして、立ち上がる強さを持っているぞ、というデルトロ流の人間賛歌なのかもしれない。
卵や緑などの隠喩、米ソ冷戦とミュージカル黄金期の光と影、デルトロ監督が敬愛する怪物映画へのオマージュ、様々な要素で成り立つ多重構造。
そして、クリーチャーと人間との純愛というリスキーな物語を、上品かつ生命力溢れる映画に仕立てた手腕に脱帽。
展開はわかりやすいが、賞を取るのもうなずける。
ファンタジー!
予想していたよりもファンタジー感が強かったので、まずそこからやられました。
難しくはないと思うます。
ただ、単純な映画ではないです。
複雑でありながら、理解しやすいように、かつ、説明しすぎないように、描いてあったように感じます。
コメディーの部分とラブストーリーがとてもバランス良くて楽しめました。
当然、御都合主義的な点もありますが、全く不自然ではなく、テンポ良く映画が進みます。
悪役のおじさんは凄く演技が良かったです。
FUCKYOUのシーンはしびれました。
ハンギョドン
意味のない露骨なセックスシーンがあって下品だ…と指摘されている方もいますが、それは少し違います。
ハンギョドン(by Sanrio)とイライザの美しい(とする)セックスとの対比として、悪役とその妻のあのベッドシーンがあるのでしょう。むしろ見処じゃないでしょうか。冒頭の自慰シーンもそうだし、絵描きの同居人や清掃の友人、悪役とも、随所に卑猥なセリフが出てきます。
そうですこの映画は、セックスこそがテーマなんです。それを下品だと批判しても、そういう映画なのだから仕方がないです。
オスカー受賞のファンタジー作品と謳われてますから、それ目当てに見に行ったら気分を害するのは無理もないですけどね。
こんなになってるのは、ギルトロさんのコンプレックスから?とか疑っちゃいますね……
さて、私の率直な感想としては、以下のとおり。
異種性交!昭和の時代に祭りで見た「見世物小屋」を思いだしました。
ラストはターミネーターばりに強くて、自分でサっとなでて銃創をなくしたり出来るのに、お風呂で弱ってしまうとは意外。
ギルトロさん、拷問が好きなんですね。
あと、何かと顔へのいたぶりに固執してますよね。それは単に痛そうだからでしょうか。
パンズラビリンスからあまり代わり映えしてないようです。ラストも、撃たれて死ぬけど別世界で生き返る。一緒です。
それでも、最初の30分くらいかな、ザ・フライのポッドに似た水槽が出てくるあたりまでは、特に同居人とのシーンなんてとても良かったし、おぉ これはもしかして良いんじゃ!?って期待しちゃったんですけどね。
それこそ、いっそクローネンバーグが監督したら良かったかもしれません。
半魚人だけに難しいですが、愛を育む過程に無理があるので、感情移入がしにくいですね。踊ってもダメですよ。
イライザ結局はやりたいだけなんだし。
これにオスカーあげるなら、ラ・ラ・ランドに改めてオスカーあげたらどうでしょうか?アカデミー会員さん。
去年はすいませんでしたって。
ということで、これだけコメントできるのだから、楽しめたということで良い作品でした。星2つ。
大人向けのおとぎ話
ヌメッとグロテスクで、ちょいとエロくて、サスペンスチック。
ピュアな心のままで、いつのまにかキュートに見えてきて、ラストが美しい。
友人ゼルダ、ゲイの隣人ジャイルズ、ホフステトラー博士、それぞれが思い通りにならない自分の想いが、イライザを助けることで満たされるのではないかと無意識のうちに行動しているふしがある。その純粋さにも心惹かれ、ちょっと泣けた。
そして、全体に流れるファンタジックな音楽と緑色の色彩が、「おとぎ話」らしくて良かった。
こいつはやられた
シザーハンズやエレファントマン的な、可哀想系な作品を想像してたが全く違った。儚い恋愛物であったが決して悲哀的な要素なく、ラストは....。そう、あれが一番良い終わり方だなと。懐かしきハリウッド作品画像とその空気感を出しているが、随所にエログロナンセンスをこれでもかと。ヤバイほど来る作品だ。
ただしアカデミー作品賞となると、スリービルボードの方が良いと個人的には思う。
アカデミー?
半魚人が出てくることは許せる。
でも…って感じで、ちょっと許せないことがたくさんあったかなぁ…。
アカデミーが決まる前に観たけど、ちょっとそんな感じではなかったというのが、正直な気持ちかなぁ。
何より、モザイクがいただけなかった。アングル変えるとか、色々、やりようはあったはずで、正直、興醒めた。
またやり切ないファンタジー?
アカデミー賞で監督・作品の主要2冠に輝いた訳だが、「パンズラビリンス」に感動した人なら当然の結果だと思える作品になっている。当時、外国映画でありながらアカデミー賞の主要な部門でノミネートされ受賞もした凄みは今回も十分に感じた。
二度観たが最も感心したのは脚本の素晴らしさ。特にファンタジーなのだから当然かもしれないが、個々の人物の設定がすごく判り易く無駄が無い。中心人物であるモンスター(当然語り部の言う)の嗜好がこの映画の肝になっていて、壊れ行く過程がヒロインと対比して、プリンスを中心に影響し合いながら心情的に真逆になっていく関係に時間を感じさせないスリリングな展開を構築している。
観終わっても直ぐには席を立たせない、個々に感じ入れる深みのある稀な名作だと言える。その判り易い完璧さに「パンズラビリンス」と同様に、今回は語り部である人物の病みオチに思えたのは自分だけだろうか。その場合、ヒロインは残酷な結末になる・・・
時代背景から現在にも繋がる黒人などの人種、障がい者、ジェンダー、の差別問題、軍事的な国際競争もあり、対立がテーマの傑作です。ファンタジーでここまで描けたのが凄い!差別、国際対立などは人間の本質として、奇跡でも起きない限り完全には無くならないのでは?と投げかけられているような気がする。
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