「マイノリティ同士が心通わせる瞬間が美しい。」シェイプ・オブ・ウォーター ゆちこさんの映画レビュー(感想・評価)
マイノリティ同士が心通わせる瞬間が美しい。
1960年代を舞台にした現代のおとぎ話。
クラシカルなファッション、街並、小道具、音楽のセンスに目や耳も楽しい。
主人公が恋する相手は異形の半魚人だけど、もはや本質はそこじゃない。
性的指向、人種、国籍、ハンディキャップ、色んな角度からマイノリティが描かれそのたび共感していくので、半魚人との恋もすんなり飲み込めていたのが面白い体験だった。
恋愛ファンタジーに昇華させて、美しくお洒落にレイシストを皮肉る様はしびれたし、日本ではエンターテイメントでありながらふわっと社会に異議申し立てできるアーティストは多くないのでその視点で洋画は楽しい。
互いが数少ない友人であるイライザとゲイの隣人ジャイルズとのやりとりは、温かくてピュアに互いを大切にしていて、孤独な彼らは気づかないだろうけど、こんなに美しくて幸せな人間関係は簡単に築けない。
サリーホーキンスはまるで物語の中で生きてるようで、発話障がいで言葉を持たないのに彼女の感情は手にとるように分かるし、いつのまにか彼女のことを可愛らしくて愛らしいと思っていて自分に驚いたり。
美しい恋愛ファンタジーかと思いきや綺麗におさまり切ることなく、彼らの愛が性愛なのか純愛なのか考えさせるシーンがあったり、恋愛のありのままを映して出していてとてもピュアな映画だった。
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