「もし現代劇だったら、凡作になっていたであろう」シェイプ・オブ・ウォーター うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
もし現代劇だったら、凡作になっていたであろう
悲しくて、美しくて、そして意外に楽しいお話。
半魚人と、口のきけない女性のラブストーリーという、かなりの変化球ですが、内容はおとぎ話にあったような悲喜劇。ふたりの恋が成就するのを見守っていたくなる不思議な空気に包まれています。
その秘密は、この映画の舞台をあえて冷戦下のアメリカにしたことだと思います。もし、現代のお話にすれば、よくあるモンスター映画で、「キングコング」とか、「ET」などの名作を超えることは難しいでしょう。でも、昔話にしたことで純粋に男と女の愛の形にフォーカスできたのだと思います。
同じ監督の「ヘル・ボーイ」に似たようなキャラクターがいたので、そのころからこんな作品の構想があったかもしれませんね。「半魚人と若い女性が愛し合うことは可能だろうか?物理的に、生物学的に」みたいな発想が始まりなんじゃないかと思うのですが。
オスカーノミネーションの派手な話題が先行して、ずいぶんとハードルが上がっていますが、見終わって正直それほど感動もなく、がっかりもなかったので、意外なほどフラットな心境です。サリー・ホーキンスは上手だなと思いました。並みの女優さんだと、あそこまでファンタジックにアプローチできないと思います。
2018.3.1
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