「またやり切ないファンタジー?」シェイプ・オブ・ウォーター GB・エイブラハムさんの映画レビュー(感想・評価)
またやり切ないファンタジー?
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アカデミー賞で監督・作品の主要2冠に輝いた訳だが、「パンズラビリンス」に感動した人なら当然の結果だと思える作品になっている。当時、外国映画でありながらアカデミー賞の主要な部門でノミネートされ受賞もした凄みは今回も十分に感じた。
二度観たが最も感心したのは脚本の素晴らしさ。特にファンタジーなのだから当然かもしれないが、個々の人物の設定がすごく判り易く無駄が無い。中心人物であるモンスター(当然語り部の言う)の嗜好がこの映画の肝になっていて、壊れ行く過程がヒロインと対比して、プリンスを中心に影響し合いながら心情的に真逆になっていく関係に時間を感じさせないスリリングな展開を構築している。
観終わっても直ぐには席を立たせない、個々に感じ入れる深みのある稀な名作だと言える。その判り易い完璧さに「パンズラビリンス」と同様に、今回は語り部である人物の病みオチに思えたのは自分だけだろうか。その場合、ヒロインは残酷な結末になる・・・
時代背景から現在にも繋がる黒人などの人種、障がい者、ジェンダー、の差別問題、軍事的な国際競争もあり、対立がテーマの傑作です。ファンタジーでここまで描けたのが凄い!差別、国際対立などは人間の本質として、奇跡でも起きない限り完全には無くならないのでは?と投げかけられているような気がする。
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