劇場公開日 2018年3月1日

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「ラブロマンス映画ではない…」シェイプ・オブ・ウォーター ジンジャー・ベイカーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ラブロマンス映画ではない…

2018年3月18日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

泣ける

アカデミー賞で作品賞を含め4冠を達成した本作をやっと鑑賞。個人的にはここ最近見たなかでは一番好きな映画となった。
ストーリーはとある研究所の清掃員の女性が研究対象である半魚人を生かすために外に連れ出して…というもの。
脚本が完璧かと言われると本作は疑問点が割と多く挙がる。どうしてイライザとジャイルズは隣人ってだけであんな仲が良いのか、どうしてそんなに半魚人はイライザを好み、イライザは半魚人を好んだのか、などなど… そんな疑問点がありつつも、ストーリー全体が御伽話のようでリアリティが無いものだから、個人的には別にそこまで気にならなかった。
本作は、半魚人を研究室から連れ出すシーン、連れ出した後のストリックランドによる半魚人の捜索シーンに結構尺を使っている。二人の愛に焦点を絞ってるわけではないため、ラブロマンス映画とは考えずにSF映画として捉えた方が自然かなと思う。
個人的に本作でとにかく感動した点は、ギレルモ・デル・トロ監督による映像美の演出である。全体の青色でウェットな雰囲気、「バードマン」の時ぐらい効果的に感じた黄色字幕、ルーティンの映し方、カット割、クラシックやジャズといった音楽、冷戦下当時のインテリア、などなど… すべてが美しかった。性描写もあるのにあまり生々しさを感じず、美しさが引き出されているように感じた。
主演を務めたサリー・ホーキンスの演技は完璧だった。声が出ない主人公の内面を表情と動作でよく表現していたと思う。オクタヴィア・スペンサーも安定してあの役どころの演技は上手い。
ギレルモ・デル・トロ監督はさり気なく、色々なテーマを本作で盛り込んでる。LGBTを含むマイノリティや宗教観、人種など、あまり深くは掘り下げてないけどちゃんと映している。そこにも好感を持てたし、SFファンタジー映画なんだけどあくまでテーマは人、そこにラブロマンス要素と少しの性描写を含ませることで神秘の中にもどこか人間美というものを感じさせてくれた。
本作にはとにかく「美」という印象が強い。あの気持ち悪い生物と人間の関係性をこれほどまで美しく描けたのは監督の手腕であろう。
ラストシーンのあまりの美しさに涙を流しながら緑字のエンドロールを眺めた…

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ジンジャー・ベイカー