「いろいろイライラした。。。」シェイプ・オブ・ウォーター reikaさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろイライラした。。。
ギレルモ監督映画は「パシフィックリム」も「パンズラビリンス」も好きです。でもこの映画はひどかった。拍子抜けするほど面白くなかった。見終わって怒りすらわいてきた。
なぜか。
漁人の問題。
・半漁人の造形がきらい。
・ただのスーツアクターがウロウロしてるようにしか見えない。
・藻の生えたバスタブで藻まみれ。絵的にどうなの?
・人格や性格がみえないので人ではなくただの「魚」。
・クリーチャーらしい能力に乏しい。
・脱出もその後も世話してもらわなくては生きていけない介護老人状態。
・なのに繁殖行動だけは一人前のエロ漁人。キモいです。
イライザの問題
・孤独女子のこじらせ系。めずらしいペットにハマって大暴走。
・恋愛不器用さんのハッピーオーラ。周りのみんなを振り回しても平気でいられる鈍感力。
・愛と善意はタチが悪い。無邪気に人を傷つける。
・“彼”に魅力なさすぎて惚れる要素が1ミリもない。なのに身も心も捧げるってバカなの?
・イライザは典型的な「だメンズウォーカー」。
・私がお世話しないと死んじゃうから・・感。
・さみしいゆえに心のスキをつかれると、漁人でなくとも詐欺師やクズ男にコロッと騙されそう。。。もっと賢明に生きてほしい。
二人の関係
・孤独と障害からイライザが“彼”にハマるのは分かるけど。。
・“彼”の人格がなさすぎて、“彼”にとってのイライザは愛なのか、世話してくれる「都合のいい女」なのか不明。なのにちゃっかりやることだけはやるなんて最低。ヒモかクズ。
・世話してくれて、逃がしてくれたイライザの好意に乗っかっただけ?積極的に好きになった感じがしない。
・互いの利害が一致したからそうなった感。全然恋愛してない。
・そもそも感情や人格のないものと、どうやっても結ばれる感じがしない。
性愛描写
・女子の恋愛って気持ちや心の部分が大きいから、すぐに性愛ってなんか違う。激しく違う。
・ウロコとか背ビレとかそういうのイヤ。触れたくない。刺さってケガしそう。ましてや裸でなんてとんでもない。
・水の中って冷たい。体ひえそう。
・湿っててカビ臭さそうでジメジメした室内環境はいやだ。
・もういろいろ生理的にダメ!
・とにかく女子を分かってない。
このような世界感がなぜ高評価なのか分かりません。
私にとっては、さみしい女性が勝手に恋して尽くして身を滅ぼす映画としかみえませんでした。
それを美談としてるところも嫌です。
相手が男であれ、謎の生物であれ、お互いのやり取りの中で関係が深まるものなのに、女性が餌付けして尽くして妄想して善意を暴走させ破滅する。
“彼”の感情が謎のまま。
ワンオペ、相手がいても、ワンオペ。
そんな感じ。
良かったのは、美術とか、色彩や背景とか、ストリックランドの人物描写とか。
組織人としてマッチョに生きねばと努力してる姿。強い男という抑圧はそれはそれで大変そう。。悪役だけど全力で奮闘してる姿はすがすがしい。
絵描きのジャイルズも、あの時代、ノーマンロックウェル的なイラスト黄金期が終って写真に仕事を奪われるという切ない状況。時代遅れでも老いても描いてる画家の生き様にほっこり。
そもそも未開の部族や野生動物は警戒心が強く、交流するのは難しい。
姿を見ただけでわかり合うなんてない。けど、そこはファンタジーのご都合主義。
私はいろんな箇所にイライラしてこの世界には入れませんでした。
ラストも、もはやどうでもいい。
社会から切り離されて、恋人さえいれば幸せだとでも言うの?
女性だけに生命と生活のリスクをとらせて相手はほぼ何の活躍もしない。
こんな恋愛フェアじゃない。
変なところに生活感を入れ込むから、リアルとファンタジーのさじ加減に違和感ばかり感じてしまう。
やっぱりアカデミー賞・・謎です。