「もうちょっとひねってくれても…」シェイプ・オブ・ウォーター masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
もうちょっとひねってくれても…
オスカー四冠の謳い文句につられたわけではないが、まあ観ておこうという程度の興味で鑑賞した。
何かが欠けていたり、人と異なる特徴があったりする人物たちが、それなりに酷い目にあったりあわせたりするところは、現代アメリカの寓話として本国ではウケたんだろうけれども、あまりにもステレオタイプな感じがして、正直「だから何?」と醒めた目線で観てしまった。
あの生物の正体は知らなくても結構だが、せめて彼を巡るラストの顛末くらい、もう少しひねりがあってもいいのにと感じた。ハラハラもしなければ、うっとりするほどのこともなく、なんか淡々と大円団を迎えてしまった。
互いに惹きあう理由はよく分かった。けれども、どちらの登場人物にも感情移入するほどの魅力を感じなかったというのが正直なところだ。魅力的なエピソードがなんだか足りないのだ。
サリー・ホーキンスは確かに名演だったが、キャラクターの掘り下げが不十分なところで「スリービルボード」にやられたんだろう。なぜ作品賞がそっちにいかなかったのかも、正直頭をかしげたくなる。
追記
何かに設定が似ていると思ったら「シザーハンズ」。
そして、ひねりが足りないと感じた理由も、「シザーハンズ」の設定との差異によるものだと判明。
そう、触れたくても触れられないもどかしさや、人心の慈悲深さと浅はかさと残酷さが一体となって主人公たちを追い詰めるあの秀逸な脚本と、無意識のうちに比べていたのだった。
格の違いを感じてしまう。口直しにこの週末は「シザーハンズ」を観直そう。