「色調が素敵」シェイプ・オブ・ウォーター 字幕 アンゼたかしさんの映画レビュー(感想・評価)
色調が素敵
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日常に寄り添った夢見心地なシーンがとても素敵で惚れ惚れしました。デルトロ監督の持つ独特の世界観が好きで今回も期待を裏切らず、本当に彼が信じていたものを受け入れてくれる相手が今回はオスカーだったというのも最高で喜ばしいです。
色々好きな要素がありますが、中でも色調がよかった。物語が進むにつれ、半魚人の彼に恋するイライザの服がブルーからレッドに変わり最後には水中をも自分の血で染めるのは現実から離れ恋に燃えている証拠。
ジャイルズが最初に描いたゼリーの絵は赤だったのに、失恋した時なんて緑のゼリーを描いていたのもなんだか切なくて胸がキュッとする。
ティール(淡い緑)という色が出てきますが、ほとんどのシーンがこの現実に支配されているんですね。ストリックランドなんて幼少期から好きだという緑の飴を最初からずっと処方されたように現実を飲み込んでいるし、後半はティール色の車を破壊されてしまう。
この物語はジャイルズの語りで始まり終わるけれど、その後誰かに話したのかもしれないし本当に彼等は結ばれたのかは本人は知る由もないけれど彼の信じる力がそうさせたのだと思う。
あの2人のその後を信じるかでジャイルズもまた救われているのだ。
鑑賞後、2人のように水中を漂うような浮遊した気分に包まれてとてもいい夢を見ていた気持ちになりました。
優しくて繊細な映画だったな。色調のアクセントも素敵だった。デルトロ監督おめでとうございます!
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