「むかしむかし、ある所に声を出せない女性が少数の仲間と共にとても自由...」シェイプ・オブ・ウォーター Ilさんの映画レビュー(感想・評価)
むかしむかし、ある所に声を出せない女性が少数の仲間と共にとても自由...
むかしむかし、ある所に声を出せない女性が少数の仲間と共にとても自由とは言えない生活をしながら夢を見ていた。ある日、どこからか人ならざる者が鎖に繋がれながら彼女の前に現れた。その日から2人は徐々に触れ合い、そして惹かれていく
この愛の形ににまつわるおとぎ話を現代に語ってくれたのは、その生涯をかけて”モンスター”、異形の者に愛を捧げてきたメキシコのスリーアミーゴスの1人ギレルモデルトロ監督
彼が製作・監督・脚本と至る所まで関わった本作はなるほど、とても細部にまで拘った世界観、とても繊細なシナリオなど、彼にしかなし得ないであろう、とても創造性に満ち溢れた宝石箱のような映画でした
個人的に冷戦時の60年代、そして度々挿入されるその時代の素敵な音楽、基本的に一般的な世界から離れた場所での出来事など、自分が大好きなゲーム、バイオショックのテイストを感じ、とても舞台設定にワクワクしていたし、実際見て魅力された
主人公であるイライザ、半魚人の彼を始めとした社会からつまはじきされたThe Othersは権力者であったマイケルシャノン演じる悪人でさえそのある種の強迫観念に駆られてしまっている閉鎖的な社会や時代の干渉を受けつつも、逞しく抗い続け、ついには自分たちなりの愛の形を勝ち取ります
この映画はギレルモデルトロによる異形の者、人ならざるものとされてきた者たちと昔の古き良き思い出となっている映画達への愛くるしい素敵なラブレターとなり、我々観客たちを幻想的な浮遊感さえ感じるような124分の世界に誘ってくれる