劇場公開日 2018年3月1日

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「人間と半魚人の愛」シェイプ・オブ・ウォーター takaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人間と半魚人の愛

2018年3月3日
iPhoneアプリから投稿

「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ監督作品。
本年度のアカデミー賞最多ノミネート。

彼自身メキシコ人であり、メキシコ人を国境封鎖し
疎外しようとしている現在のトランプ政権への
風刺的なアンチ作品でもある。

主人公イライザは言葉を持たない。
親友はゲイの老いた絵描きの男性。
掃除婦仲間は黒人女性。

彼女らは大多数の中の少数派であり
差別的な対象の立場にある。

60年代、戦後 米国とソ連の冷戦下において
後のスターウォーズ計画に至るまでに
何としてもソ連の先を進んでおきたい米国は
アマゾンで捕まえた半魚人の生態を研究する。

施設内で掃除婦をしていたイライザは言葉を持たない彼と
意思の疎通を交わしていく。

マイケル・シャノン演じるストリックランドの怪演が見事で
彼自身「神は人に似ている。君らよりも私に。」と豪語。
自身(白人)と違う人種を圧倒して非難の対象とする彼は
半魚人を徹底的に痛めつける。

まさにこの映画において「どちらが化け物なのか?」を
問わせると同時に、少数派である彼女らも少数派の中で
お互いに助け合いそして愛し合うこともできることを
観客へ伝えさせてくれる。

ストーリーは予定調和で意外性はなく進むので
ラストはある程度読めてしまいましたが、
途中途中のユーモアでありエモーショナルな場面は
劇場で観る価値ありです。

BGMもオールディーズで60年代のクラシックな
時代背景が好きな人にはドンピシャでしょう。

ただR15指定作品なのでその辺りはある程度
覚悟して鑑賞に臨んでください。
付き合いたてのカップルや付き合う前の男女で
観るのには少し不向きかもしれません。
(グロ方面よりエロ方面)

taka