ウインド・リバーのレビュー・感想・評価
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真っ白で広大な大地に渦巻く闇
ジェレミーレナー主演。メイヤーオブキングスタウンを観ていたのでこちらもチェックしようと鑑賞。
ほとんどの画面が真っ白。ただ、内容は真っ黒に近い。(あるいは灰色?)ある女性の遺体を見つけ、その女性がレイプされているとわかりFBIと主人公が真相を追っていくっていうサスペンス。謎解きがメインではなく、この土地を巡る歴史的な背景がメインやと思った。
10キロもあの雪原の中どのような思いで被害者が走ったのか。恐怖と闘いながら必死に生きようとしていたんやろうなと思うと涙が出た。
アメリカは自由で平等な国というけれど、あそこに住む人たちは強制的にあの地に連れてこられ、自分たちの自由を取り上げられ、鬱屈した気持ちで暮らしている。自由とは一体なんやろうなと思った。ネイティブアメリカンの行方不明者統計がないというのも、必要がないと考えてるのか?現代にも残る闇を感じた。
「殺しが静かにやって来る」かなぁ。
星条旗よ♥逆さまって?
ウインド・リバー・インディアン居留地って、言葉では「ネイティブ・アメリカン」って言っておきながら、看板はまだまだ「インド人」って現しているのに驚いた。
「狼が襲うのは運の悪い鹿じゃない。弱い鹿だ。君は頑張ったよ」
ライトノベルの鹿のアニメーションを見たが、この言葉を贈りたい。
結局、ネイティブの居留地は、こう言った場所である。
「若い奴は打たれ弱い」で閉めてしまって貰いたくないけどね。
この場所以外で悲惨な現実を持つ場所が「ネバダ州」にある。あの西部劇に名高い「デスバレー」の周辺である。
「モニュメントバレー」が舞台であるが、ラスベガスがあったので、ネバダで撮影が一部撮影されている。「ネバダ・スミス」なんていうドラマもあったし。
さて、「ネバダ」と言えば「言わずもがな」である。
証明されているわけではないので、ハッキリした事は言えないが、それが原因で亡くなった「ネイティブアメリカン」の方もいたとある文献で読んだ事がある。真意は分からない。
インドが世界一の人口になった現在は「インデアン」の看板を外すべきだ。星条旗を逆さまにする前にその点は抗議すべきだと思うが。
悪者が弱っちい事と捕食者を狩りするマタギって言う事が味噌なのかなぁ?悪者と捕食者(プーマとか狼)を重ねては駄目だ。
アイヌ民族と同じで捕食者(肉食獣)をネイティブアメリカンは神と見ていると聞いた事がある。狼を悪魔の化身と考えるのはヨーロッパだと思う。
断定はしないが。
「殺しが静かにやって来る」かなぁ。あと「ファーゴ」とかね。
総括
なぜネイティブアメリカンに対する差別に付いて、合衆国は語りたがらないか?
やはり、新大陸発見から現在に至るヨーロッパ大睦からの移住した方法に後ろめたさがあるからだと思う。奴隷に対する差別は、アメリカ人はヨーロッパ人が行った愚行が起原としてみている。しかし、西部開拓を含めて、移住政策には、政策がかなり強引な所があったと思う。勿論、ヨーロッパ系の全ての白人はそれを知っている。しかし、彼らに重大なる責任がのしかかる訳では無い。だから、肌の色は関係なく、世界平和に邁進してもらいたいものだ。朝鮮戦争やベトナムやアフガニスタンも同じ理論。
ちょっと重い…
社会派グライムサスペンスの傑作
2017年作品。
緊迫感が最後まで持続し、ラストの銃撃戦の迫力が凄まじかった。
ハンターのコリー(ジェレミー・レナー)は、16歳の娘を
惨殺された過去を持つ男。
ネイティブ・アメリカン保留地ワイオミング州のウインド・リバーで
起こった少女レイプ殺人事件。
殺害現場に呼ばれたのは新米のFBI捜査官ジェーン
(エリザベス・オルセン)は、いかにも頼りない若いお姉ちゃんだった。
しかしジェーンは見かけに寄らないガッツの持ち主で、
「警察権があるのは私(FBI)だけ・・・」
そして検視官が現れて、死因は、
マイナス30度の雪原を裸足で全速力で走った事により、
肺が冷気を吸い込み破裂した事で、
血を吐き、その血を吸い込んだことによる窒息死。
事故であって殺人ではないと所見を述べる。
「殺人事件と書いてくれないと、私(FBI)は上司に今すぐ帰される!」
ジェーンはそう粘る。
同じ女性として耐え難い事件だと思ったのだ。
なぜ少女は裸足でマイナス30度の雪原をで血を吐いて死んでいたのか?
真相は実に単純。そして許し難い。
ウインド・リバーはアメリカ政府がネイティブ・アメリカンを
作物も育たない辺境に追いやり、本来彼らのものだった土地を奪った。
奪われたのは「土地」だけではなく、「生き甲斐や、働く意欲」もだ。
見捨てられた土地と見捨てられた人々。
最後のテロップで「ネイティブ・アメリカンの女性失踪者の統計は
一切ない・・・統計を取ってていない」と明かされる。
見捨てられた人々、その飼いならされたネイティブ・アメリカンの
表情が悲しい・・、
ジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンの好演が
心に残る名作でした。
開かれた閉鎖空間における犯罪
静寂が降り雪に包まれた世界の悲しい事件。でもテンポ良し!
アメリカのインディアン居留地で野生動物のハンターの職に就くコリーは少女の死体を見つける。その捜査でFBI新人捜査官として配属されたジェーンに捜査協力を求められ共に不可解な殺人事件の捜査に身を投じる。
仕方なく始めるが、犯人追求の意思は次第に強くなり復讐は宿命に変わる。それには勿論理由が大アリなのだが、思惑が複雑になりがちな展開でも登場人物の少なさと"何もなさ過ぎる"土地のおかげで分かりやすく観られて良い。まぁそれが捻りのなさを感じる理由にもなってしまうのだが。
単純で王道な流れである故に終盤の展開も読めてしまうが、死の真相は実に現実的でそれは残酷で、土地や民族の歴史も絡み考えさせられる。ラスト、それが取ってつけたようだとしても意味のある映画にしていると感じた。
一面雪の映画は大体面白い
アメリカの闇をあぶり出すタイプの作品だということは知っていたし、ネイティブアメリカンの女性の遺体が発見されるという冒頭、そしてネイティブアメリカン居留地であるウィンドリバーという舞台。これはネイティブアメリカンと白人の対立に関するストーリーだろうと思っていた。
しかし表面的にはそのようなものはほとんどなく、自分の思い違いかなと感じた瞬間のラストでネイティブアメリカン女性の失踪についてのテキスト。あれ?やっぱりネイティブアメリカンは関係しているみたいだけどわからなかったなあ。という事で少しばかり調べてみた。
まずは、ネイティブアメリカンが僻地の居留地へ追いやられたという歴史。居留地の中は自治権のようなものが与えられ一見保護されているように思えるが要は連邦政府から放置されているのだ。
人がいなくなっても捜査はされない。アメリカのどこにいても受けられるはずの権利が受けられない。雪と静寂しかない土地に無理やり住まわせて、あとは知らんというわけだ。だから失踪者が増える。
アメリカでは居留地の現実を知り観客に衝撃が走ったようだが、日本人の自分にはあまりピンとこなくて、そういうものなのかと総スルーしてしまっていた。
適当に描いた死に化粧に二重で泣けるはずだったのに、知識不足でガツンとこなかったのは残念だったが、一つ賢くなったのでよしとしよう。
ここまでネイティブアメリカン居留地についてだけを書いたが、本作が素晴らしく巧妙な脚本なのはその事を無視してもサスペンス作品としてちゃんと面白いことにある。
一面雪の町で女性の遺体が発見され、それを捜査する。いや、捜査というよりは獲物を追い詰めるハンターの狩り。そして大事な人を亡くした人間の心のあり方を描く。
最高とまではいかないけれど中々見応えのあるサスペンスでした。
あとは、マイナス20度で全力疾走してはいけないと学んだ。これは有益。
なんと書けばよいのか。
(私にとっては)「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の10倍心に残った。
主人公の男の人は、私にとって理想の男性像に近いものかもしれない。強く正しくたくましく、そして優しい人だった。
〈追記〉
上記のレビューで、無制限に誉め称えた主人公だが、いろいろな方のレビューを読んでいたら、そう単純に考えてはいけないのかなと思えてきた。「ボーダーライン」では、法の下にない正義(?)について、考えることがあったのだが、この作品では、つい無批判に、法の下にない正義を認めてしまっていた。
特にU-3153さんのレビューに考えさせられた。
未だなく変わることの無い現実
テイラー・シェリダン監督・脚本のスリラー作品。
劇場に間に合わなかった作品で、忘れた頃にサブスクで巡り合うの嬉しいですね。
周りを厳寒の雪に囲まれた町を舞台に、ゆっくりと静かに進む物語。
ネイティブ・アメリカンとを取り巻く、米社会の闇を描いていました。
シェリダン脚本の「ボーダーライン」もそうだけど、やはりテーマに重さを感じますね。
エリザベス・オルセンは寒いだけの世界に華を添えてましたし、やはりジェレミー・レナーの存在感が大きいですね。
ここが閉ざされた厳しい世界である事を、その無骨な表情で伝えていました。
ネイティブアメリカンの少女の死によって始まる捜査。
ゆっくりと真実に近づいていくのですが、近づけば近づくほど物悲しさが増していくんですね。
中盤以降は緊張感が増して展開も早くなるので、緩急をうまく使っていたと思います。
そして起こるべきして起こった銃撃戦。
ここではハンターの本領も発揮して、恐ろしい戦闘力を見せます。もうハンターというよりスナイパーですね。
迎えたラストの背中には、少しだけ希望が見えた気がしました。
しかしエンドロールで流れる
「インディアンの失踪者の統計調査はなく、その数も不明のまま。」
この一文は本当に苦しかったです。
未だなく変わることの無い現実を突きつけられた、悲しさが残る作品でした。
雪に遺る足跡、銃声が響く
全世界の先住民は同じように侵害されている。
先住民とは移住者により侵略された人達。
アメリカはインディアンを
オーストラリアはアボリジニ
日本ではアイヌもそうだと、ユネスコに指摘されている。
(実際にはアイヌの場合は、その他と違って虐殺の歴史はないようだし、
そもそもアイヌは比較的新しい時代のロシア系難民が多く含まれ
先住民の定義から外れるらしい)
WIKIでは台湾やモンゴル、チベットなども先住民虐待があるとされている。
程度の差こそあれ この映画のように人間扱いされない。
もっと言えば
良心の呵責を覚える対象ですらない ≒ 虫けら同然、で、
インディアンやアポリジニに関して言えば、人間狩りまで行っていたらしい。
今後の歴史では、侵略者から虐殺される民族が 記録されないよう祈りたい。
さすが‼️
実話だと思うと悲しい
雪山の中で不自然死していた女性の死体の捜査を手伝うことになったハンター。
捜査を進めるうちに悲しすぎる事件の動機が見え、居た堪れない気持ちになった。
雪山の足跡から推理したり、射撃シーンで遠いところから獲物(犯人)を仕留める姿はハンターそのもので演出が綺麗だった。
ウインド・リバー・インディアン居留地への興味の方が本編の内容より強くなる。
アマプラにて無料鑑賞。
極寒の地に追いやられた先住民達は教育、衛生環境、犯罪など多くの問題を抱えながら生活しているが、米国でまだオフィシャルにネイティブアメリカンではなくインディアンという名称を使っていることを知りショックだった。
警察も容易に立ち入る事ができず、インディアン部族警察が数名いるだけのため、銃所持率も高く重大な犯罪も日常的に起こるが多くは見過ごされている状態である。
劇中でも原住民の若い女性が殺害され、捜査協力するハンターの娘も行方不明になったままで、狭いコミュニティではあるが誰もがなんらかの犯罪の被害者や加害者家族であり心に深い傷を負っている。
被害者の父親が警察からの連絡を受けても気丈に立ち振る舞っているシーンでは、こんな事は日常で今回はたまたま自分達の身に起こってしまっただけ、と自分自身に言い聞かせているかのようで観ていて辛かった。
昨年テイラー・シェリダンの「モンタナの目撃者」を鑑賞したが、過酷な自然環境を舞台に犯罪に立ち向かう強い女性と言う意味では本作とテーマが同じだが、本作のもう1人の主人公FBI捜査官のジェーンは当初専門外の捜査に消極的であったが、成り行きで事件解決に奔走するうちに徐々に強い女性へと成長していくので見比べて観るのも面白いと思う。
聞いたこともない映画だったので期待してなかった
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