ウインド・リバーのレビュー・感想・評価
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単なるクライムサスペンスで終わらない重い感動
ネイティブ・アメリカンの居住区(と言うか定かでないが)、ワイオミングの僻地の雪と氷で凍てつく空気が冷たい。マイナス20度の中で走り続けると大変なことになるのですね。
永遠になくなることがないであろう「差別」を背景に、ネイティブ・アメリカンの若い女性の死の真相を追う。ジェレミー・レナーは渋いし、エリザベス・オルセンは綺麗だし可愛いし、メインの二人がいい。そして、重い結末の中に激しい感動があった。
社会派の作品としてもエンターテイメントとしてもクオリティが高く、今年のベストの一本だろう。
西部劇好きなら必見
☆☆☆☆ 簡単に。 ミステリーとして観たならば、それ程の深い話でも...
☆☆☆☆
簡単に。
ミステリーとして観たならば、それ程の深い話でも無い。
犯罪モノとして観たならば、犯人は直ぐに割れる。…と言うか、観客に向けて敢えて分かりやすく提示してくれる。
主人公の男の心に、深い傷を負わせた3年前の悲劇。
今それがまた、娘の友人に起こった現実の辛さ。
娘の父親へ投げ掛ける言葉は。そのまま、彼が3年前に受け取った言葉でも有る。
そう!これはお互いの親の立場が、そのまま入れ替わってしまった悲劇的な物語。
男はハンターとして、強い決意で娘の弔い合戦に向き合う。
なかなかタイミングが合わずにやっと観れましたが。シンプルで有りながらも、味わい深い作品で。スクリーンで観られて本当に良かったと思える作品でした。
2018年8月25日 角川シネマ有楽町
誇り
開拓者。言い換えると侵略者。
侵略とは、暴力、殺戮、略奪と、秩序も何もない世界です。そしてそれは、アメリカのとある地域では、今も普通に見られる光景でした。私達が散々聞かされてきた自由の国、平等な国アメリカというのは、実はごく一部の人間だけが持つ特権だったんですね。そしてこの特権は、単に先祖が侵略者だったから与えられているだけであって、本人の努力ではありません。逆に初めから特権を持たない者は、自由や平等はおろか、安全すらも手に入れる事は難しい。それが、アメリカなんですね。
まるで、墓場の様な場所に強制的に居住させられたネイティブ・アメリカンは、彼らに脈々と受け継がれてきた「誇り」ですらも、根絶やしにされていました。種を繋ぐことはただ単に子供を残すことだけではなく、その民族の持つ「文化」「生き方」「哲学」をも繋ぐことです。つまり、自分達の「アイデンティティ」を繋ぐことなのです。だからこそ、「アイデンティティ」を失った彼らネイティブ・アメリカンの絶望は、計り知れないものがあります。
気がつけば日本も、沖縄やアイヌの「誇り」を奪う様なことを現在進行形でもしているのではないのでしょうか。この作品を鑑賞して、そんな疑問が浮かび上がってきました。アメリカの問題を自国の問題として置き換えてみた時に、何かしらの事は感じるはずです。
勇敢な
時が癒すんじゃない。痛みに慣れるだけだ。
世に、復讐劇の物語はごまんとある。ラストまでサスペンスに満ち、行き詰る捜査に焦れ、怒りに震え、被害者遺族に共感と慰謝の気持ちで労わろうと寄り添い、対して、快楽に溺れた犯罪者に嫌悪を覚えるのはどれも同じだ。先住民に対する偏見や差別なども含め『レヴェナント』を思い出させる映画でもあった。
だけど、この映画の静けさは何だ?主人公ジェレミーの冷静さもどこから来るのだ?、そんな小さなしこりが、物語の進行とともに僅かずつ明かされていく。
被害者の父が、娘の不幸を目の当たりにしながらも毅然とした態度でFBI捜査官の訪問に接していた時、ジェレミーがやってきた。この場面が秀逸だった。なにも語らない。ただ、お互いの気持ちを知り尽くしている者同士の咆哮が、そこにあるだけだ。そしてジェレミーは言う、「時が癒すんじゃなく、痛みに慣れるだけ。痛みから逃げるな。逃げると大事なものまで失う」と。そのシーンで、ジェレミーの家族の過去の出来事もわかる。それがまた見ていて辛い。
ラスト。結局、取り戻せないものはどうしようもない。そことどう向き合っていくのか。そんな心が折れそうになりながらも、逃げたらすべて失ってしまうぞ、と自分にはっぱをかけながら、歯を食いしばって生きていく二人を後ろ姿が痛々しくも気高かった。
不覚にも居眠りしてしまった
問題提起のパワーの強い作品。
ウィンドリバーと呼ばれるネイティブアメリカン居留地で起きる少女の殺人事件を追う現地のハンターと、ひとりの女性FB Iとの、壮絶な、解決に向けた戦いに挑むおはなし。
これといって説明的な描写がないまま、出来事としてネイティブアメリカン居留地特有の事象がおきるので、あとからとても気になってくる。
私はネイティブアメリカン居留地については米ドラマなどで見聞きした程度だったので、こういう実情があるのか、と、映画を観た後、いろいろ調べてしまった。
こういう現実はついつい、見たとしてもそのあと忘れてしまい、ということを繰り返してしまう。
それがさらにその地域やそこに住む人々の不幸を生むことになるのだろう。
事実を知らない人にとってはそれを知る機会に、知る人についてはそれでも動いていない自分自身を見つめる機会となり、問題提起する作品としてとても学びのある映画。
自分がいかに作られた世界の中で、ぬくぬくと暮らしているのか分かる。そういう世界を作り上げるために犠牲になっている人がいることを、まずはきちんと認識したい。
それにしても強いひとというのは魅力的。やはり自分のためでなく、人のために誇りを持って動いているからこそ強いひとなんだろうなぁ。
銃声だけが響く沈黙の土地
人種問題は難しい
恐ろしく痛ましい。孤立無援の捜査の果てに。
【賛否両論チェック】
賛:閉ざされたコミュニティで起きた痛ましい事件の真相に、人間の持つ本能的な恐ろしさや、死に直面してもなお生きようとする生命力を、改めて痛感させられる。
否:真実はやや予定調和なほか、グロシーンも結構ある。
雪山で痛ましい死を遂げた、1人の少女。その謎を追う捜査官と、自らも娘を失ったハンターの前に立ちはだかるのは、先住民族の保留区という特殊な環境です。大自然に阻まれた孤立無援の中で、それでも事件解決のために奔走する2人の姿が印象的です。
そしてそんな閉鎖的なコミュニティにあって、人々の胸のうちも複雑なものであるということも、改めて突きつけられるようです。やがて辿り着いた真実は、ありきたりなようでも非常に恐ろしさをも感じさせます。
グロシーンも多いので、苦手な人には向きませんが、サスペンスが好きな方にはオススメの作品です。
見応えがあった
恐ろしかった。これが現実という恐怖。 田舎は何もないからね〜とか、...
焦点がズレている
率直に言うとあまり面白くなかった。
娯楽というより社会への警鐘というところに重きを置いているとは思う。だから、そんな単純に楽しめるものでもないし、思考し積極的に感じ取らなければ理解できないだろう─漠然とながらそういう意図というか何かしら志のようなものも感じるけれど、如何せん何を主張したいのかが内容からあまり伝わってこない。終幕を迎えて、そういう主張なのかと理解はできたけれど、納得はできなかった。
絵的に分かりづらかったように思う。まぁ西部劇のような明確な違いを出すことなど無理なわけで、文化が混じり合いあらゆるものが均等になってきている現代において、何かの差別を表現しようとする際の難しさを感じたりもした。
とかくこの作品は、銃や自然の方にばかり目がいってしまい、肝心の主張がズレてしまっている印象を持たれかねないような気がした。
文字情報は必要だったろうけど、文字情報が無ければよく分からない気がしたし、その説明無しでは成立しないように感じてしまったので、あまり評価することができない。
survive or surrender
舞台はWyomingのWind River。
その一角を占めるIndian Reservationは、Arapaho族を含むIndigenous Americansが追いやられた不毛の地。
事件捜査の過程で、この地域が抱える闇の深い数々の課題が浮き彫りになっていきます。
かつてインディアンが生活の糧としていたバッファローは根絶され、多くの産業も農業も根付かず、一年の大半が雪に埋もれたような土地柄。住民達の心も凍傷にかかり、ルーツへの誇りは勿論、将来の夢も希望も凍てついているようでした。屈強な戦士の血が流れているイメージの”インディアン”の子孫が、根を上げたくなるほどの戦闘相手は、過酷な自然環境と社会問題。現実逃避したくても、娯楽すら容易に得られず酒や薬物に溺れ、大雪に抑えつけられた鬱憤と憤怒は、平穏な生活を望んでいるだけの人々からも、ようやく咲いた美しい花を無惨にもぎ取り踏みにじります。
過去に殆ど全てを強奪したのに、
再建の機会を与えることのないまま、
これからもどこまで奪う気なのだろう。
世界を変えられないなら、
この境遇で静かに強く生き延びるのみ。
ただただ、命を守るのみ。
隙を見せれば終わる残酷な弱肉強食の世界。
最後の銃撃戦が凄まじいです。
吹き飛ばす威力が、正義の怒りを表しているようでした。
共に娘を失った父親達の絆が涙を誘います。
痛みを受け入れてこそ素敵な思い出も残るのだと。
井戸水を飲んでいましたが、過去のウラン採鉱の影響で汚染されている可能性があるようです…。
エンディング曲が、凍りついた感情を溶かすような音色でした。
“Luck don’t live out here.....Out here, you survive or you surrender. Period. That’s determined by your strength and by your spirit. Wolves don’t kill unlucky deer. They kill the weak ones. You fought for your life..... Now you get to walk away with it. You get to go home.”
主人公が男前
アメリカは田舎もヤバイ
感想は「アメリカは田舎もはヤバイ。」ですね。
法の目が届かない所に、人口が少なくとも武器を持ってる輩がウヨウヨしてたら怖いですよね?
しかも今作はインディアン留保地が舞台。
ユタ州に住んでいた私は、そういう土地が割と身近にあるのは知ってて、その時初めて受けた説明は、「アル中とヤク中のネイティブアメリカンが昼間っから仕事もせずにウロウロしてるから絶対に入るな。殺されそうになっても警察は来ないぞ。」だった。
今思うと凄く差別的な説明だったなと思うけど、この作品で実際にインディアン留保地が複雑な土地である事が良く分かる。
ストーリーは、1人のネイティブアメリカンの女性が森の中でしたいで見つかる。その犯人を外部からやってきた女性FBI捜査官が、その土地特有の事情に翻弄されながら、地元ハンターと探す。
ストーリーの節々にネイティブアメリカンの悲惨な現状と差別が描かれ心が痛い。詳しく言うとインディアン留保地は、州ではなく連邦警察の管轄になる為、レイプ、失踪、殺人事件が表に出てこない。
それが作品のメインテーマ、というかメッセージ。で、クライマックスは銃撃戦になるんだけど、「これが現代のアメリカで起こっている事なのか…。」と思うとゾッとします。
町山さんは、「これは西部劇です。アメリカには、まだ西部劇みたいな社会が残っているんです。」と言ったのは仰る通り。
日本に置き換えれば、刀持ったサムライが田舎の方に行くと、まだいて斬るか斬られるかの状況が、まだあるようなもの。本当に怖い話です。
考えさせられる、実話を元にしたクライムサスペンス
ボーダーライン北限版
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