ウインド・リバーのレビュー・感想・評価
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恐ろしく痛ましい。孤立無援の捜査の果てに。
【賛否両論チェック】 賛:閉ざされたコミュニティで起きた痛ましい事件の真相に、人間の持つ本能的な恐ろしさや、死に直面してもなお生きようとする生命力を、改めて痛感させられる。 否:真実はやや予定調和なほか、グロシーンも結構ある。 雪山で痛ましい死を遂げた、1人の少女。その謎を追う捜査官と、自らも娘を失ったハンターの前に立ちはだかるのは、先住民族の保留区という特殊な環境です。大自然に阻まれた孤立無援の中で、それでも事件解決のために奔走する2人の姿が印象的です。 そしてそんな閉鎖的なコミュニティにあって、人々の胸のうちも複雑なものであるということも、改めて突きつけられるようです。やがて辿り着いた真実は、ありきたりなようでも非常に恐ろしさをも感じさせます。 グロシーンも多いので、苦手な人には向きませんが、サスペンスが好きな方にはオススメの作品です。
見応えがあった
ハードボイルドな作品で、見応えがあった。 「ボーダーライン」よりもおさえた感じが、むしろむき出しの自然と人間の持つ暴力性を際立たせていて怖かった。 同じように理不尽に娘を失う話でも「スリービルボード」のように怒りが怒りをきたさない。最後の二人が並ぶ背中は似てたけど... この主人公は静かに怒りと哀しみと共生しながら、あの捨てられた土地で生きている。 弱い者から消えるという過酷な自然の摂理で自身の娘の死までを受け入れてたのが印象に残った。 ラストの言葉に本作品のメッセージが凝縮されていたと思う。
恐ろしかった。これが現実という恐怖。 田舎は何もないからね〜とか、...
恐ろしかった。これが現実という恐怖。 田舎は何もないからね〜とか、そんな甘っちょろいもんじゃなく。ここから出て行けない人達の苦しさとかやるせなさが産む負の連鎖。 でも田舎だからこその人間関係に救われる面もあるのかもという、「スリービルボード」に少し近い感覚の作品でした。
焦点がズレている
率直に言うとあまり面白くなかった。 娯楽というより社会への警鐘というところに重きを置いているとは思う。だから、そんな単純に楽しめるものでもないし、思考し積極的に感じ取らなければ理解できないだろう─漠然とながらそういう意図というか何かしら志のようなものも感じるけれど、如何せん何を主張したいのかが内容からあまり伝わってこない。終幕を迎えて、そういう主張なのかと理解はできたけれど、納得はできなかった。 絵的に分かりづらかったように思う。まぁ西部劇のような明確な違いを出すことなど無理なわけで、文化が混じり合いあらゆるものが均等になってきている現代において、何かの差別を表現しようとする際の難しさを感じたりもした。 とかくこの作品は、銃や自然の方にばかり目がいってしまい、肝心の主張がズレてしまっている印象を持たれかねないような気がした。 文字情報は必要だったろうけど、文字情報が無ければよく分からない気がしたし、その説明無しでは成立しないように感じてしまったので、あまり評価することができない。
survive or surrender
舞台はWyomingのWind River。
その一角を占めるIndian Reservationは、Arapaho族を含むIndigenous Americansが追いやられた不毛の地。
事件捜査の過程で、この地域が抱える闇の深い数々の課題が浮き彫りになっていきます。
かつてインディアンが生活の糧としていたバッファローは根絶され、多くの産業も農業も根付かず、一年の大半が雪に埋もれたような土地柄。住民達の心も凍傷にかかり、ルーツへの誇りは勿論、将来の夢も希望も凍てついているようでした。屈強な戦士の血が流れているイメージの”インディアン”の子孫が、根を上げたくなるほどの戦闘相手は、過酷な自然環境と社会問題。現実逃避したくても、娯楽すら容易に得られず酒や薬物に溺れ、大雪に抑えつけられた鬱憤と憤怒は、平穏な生活を望んでいるだけの人々からも、ようやく咲いた美しい花を無惨にもぎ取り踏みにじります。
過去に殆ど全てを強奪したのに、
再建の機会を与えることのないまま、
これからもどこまで奪う気なのだろう。
世界を変えられないなら、
この境遇で静かに強く生き延びるのみ。
ただただ、命を守るのみ。
隙を見せれば終わる残酷な弱肉強食の世界。
最後の銃撃戦が凄まじいです。
吹き飛ばす威力が、正義の怒りを表しているようでした。
共に娘を失った父親達の絆が涙を誘います。
痛みを受け入れてこそ素敵な思い出も残るのだと。
井戸水を飲んでいましたが、過去のウラン採鉱の影響で汚染されている可能性があるようです…。
エンディング曲が、凍りついた感情を溶かすような音色でした。
“Luck don’t live out here.....Out here, you survive or you surrender. Period. That’s determined by your strength and by your spirit. Wolves don’t kill unlucky deer. They kill the weak ones. You fought for your life..... Now you get to walk away with it. You get to go home.”
主人公が男前
主人公の言葉が、どれを取っても一つひとつ胸にズシンと響きました。 身をもって体験した彼だから話せる言葉。 もう一度聞きたいなあと思いました。 ストーリーはスリリングで面白かったです。 アメリカの社会悪をつまびらかにし、社会を震撼させるような組織的な闇があるのかなと、勝手に想像していたものですから、なんだ それだけの話かって思ってしまいました。
アメリカは田舎もヤバイ
感想は「アメリカは田舎もはヤバイ。」ですね。
法の目が届かない所に、人口が少なくとも武器を持ってる輩がウヨウヨしてたら怖いですよね?
しかも今作はインディアン留保地が舞台。
ユタ州に住んでいた私は、そういう土地が割と身近にあるのは知ってて、その時初めて受けた説明は、「アル中とヤク中のネイティブアメリカンが昼間っから仕事もせずにウロウロしてるから絶対に入るな。殺されそうになっても警察は来ないぞ。」だった。
今思うと凄く差別的な説明だったなと思うけど、この作品で実際にインディアン留保地が複雑な土地である事が良く分かる。
ストーリーは、1人のネイティブアメリカンの女性が森の中でしたいで見つかる。その犯人を外部からやってきた女性FBI捜査官が、その土地特有の事情に翻弄されながら、地元ハンターと探す。
ストーリーの節々にネイティブアメリカンの悲惨な現状と差別が描かれ心が痛い。詳しく言うとインディアン留保地は、州ではなく連邦警察の管轄になる為、レイプ、失踪、殺人事件が表に出てこない。
それが作品のメインテーマ、というかメッセージ。で、クライマックスは銃撃戦になるんだけど、「これが現代のアメリカで起こっている事なのか…。」と思うとゾッとします。
町山さんは、「これは西部劇です。アメリカには、まだ西部劇みたいな社会が残っているんです。」と言ったのは仰る通り。
日本に置き換えれば、刀持ったサムライが田舎の方に行くと、まだいて斬るか斬られるかの状況が、まだあるようなもの。本当に怖い話です。
考えさせられる、実話を元にしたクライムサスペンス
ネイティブアメリカン(インディアン)を追いやり強制的に住まわせた、居留地「ウィンドリバー」。 彼らは絶望感で苦しみ、悲しみの中で声を殺してひっそり暮らしている。そんな最中に起こるクライムサスペンス。 実話を元に、アメリカの今も続く奥深い歴史の闇を抉じ開けた、胸に刺さる作品。 エンドロールの言葉も脳裏に焼き付く。
ボーダーライン北限版
監督がフロンティア3部作と銘打っているだけあって、前作の“ボーダーライン“に”マンチェスター バイ ザ シー”のテイストを加えた様な内容。グロが全くダメな自分なので観るのを躊躇したが、大丈夫だった。最初、ネイティブ アメリカンをエスキモーと勘違いしていたよ。映画館に張ってあったフライヤーでは、あの地区に警官は5人しかいないらしい。エンディングは○○ー○にあれされると思っていたよ。
暗喩
色々と暗喩が多いのかとも思う。
物語の軸は、寒村で起こった殺人事件を解き明かすって事なのだけど…この話しが「ネィティブアメリカンの失踪」なんてものからインスパイアされてるからタチが悪い。
それらの失踪事件の統計は取られていないらしく…そんな事から考えると、この話自体が取られない統計の内情にも思え、後味が悪い。
この寒村は限界集落かの如く、閉塞感があり人の出入りが少ない。そんな中、主人公であるハンターはFBIに対し、刑の執行を匂わす。
そして、おそらくならこの刑事が反対するなら見殺しにするつもりでもあったろう。
それが出来る環境と覚悟はあるのだと思う。
物語の中「ハンター」は、執行人かの如く悪を断罪はする。
ところが失踪事件の内情とかを考慮に入れると、コイツが実に不鮮明な立ち位置を醸し出す。
このハンターは、自分の良識の範囲で執行してた。ラストなどはご丁寧に雪山迷彩をして、目立たぬように。
ちょっと、アレコレうがった見方をすれば、奥の深そうな脚本だった。
この寒村がアメリカの縮図とするなら…。
レイプや殺人などをピックアップしてる訳ではなく、それらを事件ごとなかったものにしている「ハンター」が、かなり際どい存在。
実際、事件が粗方片付いた時、彼を連行する組織などはなく、日常が帰ってこようとしてる。
違和感の正体はこれで…当事者が口を塞げば追求できない現状があるという事。
この「ハンター」がアメリカのネィティブアメリカンへの黙殺だったり隠蔽だったりって部分を担ってるのかもと思った時に、インスパイアされたって意味が、ぼんやりと浮かび上がるような気がした。
極寒の自然を舞台にした骨太のサスペンス
ネイティブアメリカンの居留地で起こった若い女性の殺人事件。
それを過去に同様な事件で娘を失ったハンターと若いFBI捜査官が追う。
特にネタバレ禁止のどんでん返しがあるわけでは無い。
ネイティブアメリカンの生活・人生の厳しさ、自然の厳しさを舞台に物語はハンターが獲物を追うように淡々と進んで行く。
そしてクライマックスの銃撃戦。
ラストの犯人への「処罰」。
これも主人公が淡々とすすめるがゆえに重厚感が増す。
FBI捜査官や署長、被害者の父親など、主人公の周りのキャラクターにもう少し深堀があっても良かったと思うが、余韻のある秀作。
『レヴェナント』の現代版
『ウィンド・リバー』は,『レヴェナント』の舞台を現代に置き換えたものだ。
主人公はネイティヴ・アメリカンの女性と結婚し、彼女との間に生まれた娘を氷点下の大地で失った白人男性だ。娘がどのように死んだのか、その経緯はよく分からないままだ。娘の死がきっかけかは分からないが,妻とは離婚したらしい。
その彼が解決しようとするのは,自分ではない人間の娘が被害者となった事件だ。なぜなら、そうすることによって少しでも償いになるという期待があるからだ。全うできなかった父親としての役割を果たすことができるという期待があるからだ。被害者もまた自分の娘同様にネイティブ・アメリカンの血を受け継いでいる。被害者となった少女の父親は主人公の知人である。娘を失った知人に自分を重ね合わせることによって、主人公は父親としての役割を全うしようとしているのだ。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『レヴェナント』は、『ウィンド・リバー』同様、ネイティヴ・アメリカンの女性との間に生まれた我が子を殺された父親の復讐劇だ。『レヴェナント』が、怒りや憎しみを原動力とする主人公を描く一方で、『ウィンド・リバー』は、より温かみのある父性が主人公を駆動しているように思う。
『ウィンド・リバー』と『レヴェナント』の共通点は、「我が子の弔い合戦の物語である」というだけではない。復讐が主人公が直接手を下すことによって完成するのではない点、法・公権力・モラル・マナーではなく、個人の物理的・肉体的な力がものをいう世界=自力で生きる世界を舞台にしているという点においても、2つの作品は共通している。
主人公は過酷な環境を自力で生き延びるが、主人公の目的である「弔い」を完成させるのは、主人公ではない。『ウィンド・リバー』においては過酷な自然であるし、『レヴェナント』においては作中で西洋人よりも自然に近い存在であるネイティヴ・アメリカンなのだ。
2つの作品が共にこのような結末を迎えることには、どのような意味があるのだろうか?
『ボーダーライン』同様に、広大な自然の中を突き進む乗り物が重低音と共に突き進む様が、空撮を用いつつ描かれた。『最後の追跡』でも同様に乗り物で広大な大地を駆け巡る主人公が描かれていたが、砂漠や雪山といった広大な環境で、乗り物は,無力な人間に心強さを与えてくれる。
州全体で50万人程度の人口しかないワイオミングの人口密度は2.26人/平方㌖であり,東京都の6,283人/平方㌖と比較すればもちろんのこと,47都道府県中最下位である北海道の68人/平方㌖と比較しても圧倒的な差がある。年間降水量は東京の1/5程度で農耕もできない。州の平均標高は2,000m程度,最低でも900mはある。東海岸までは最短でも2,000kmほどあるし,西海岸からはロッキー山脈を越えなければならない。冬は雪が積もり行動が制限される。人が定住し,現代都市的な生活を送るにはコストがかかりすぎるし,お金の使い道=娯楽も少ない。
このような枯れた土地柄と,ネイティヴ・アメリカン。2つの要素は物語の「背景」として描かれるのみで,具体的に事件にどう結びつくかは直接語られることはないが,物語に奥行きや深みを与えてくれる。実際,ワイオミングという土地について簡単にでも検索してみるか,という気分に自分もなったのだから。鑑賞中はスリルを楽しむことができるし,鑑賞後も知識を増やすきっかけを与えてくれた。
冷房の効いた映画館に座して鑑賞する我々はまさに,ラスベガスから送られてきた「ナメてる」女性FBI捜査官なのであり,彼女が雪山の装備を整え積雪を踏みしめていくにつれて,我々もまたワイオミングの土地柄とそこに暮らす人々の心の機微を少しずつ学んで行くのである。
激走スノーモービル
重く心にのしかかってくるテーマと描写だけど、テンポ良く案外スルッと入ってくるストーリーで観やすかった。
やるせなくて静かで、でも確かに激しく突き上げるものを感じる。
真っ白の雪景色に動物の死体が転がっているカットが印象的で、不意に人間の遺体が画面に入ってくるとドキッとする。
ナタリーの遺体を見つけた時、コリーはどんな感情になったのか…計り知れない。
ナタリーの両親のリストカットと扉の外の慟哭が一番ガツンと来た。
自分が傍観者であることを強く実感させられた。
一瞬で空気が緊張し張り詰める感じや、華を一切合切削ぎ落とした銃撃戦シーンの迫力とショックが強い。
僻地ならではのことなのか、銃社会ではよくあることなのか…
一応事件解決だろうけど、これどう報告するんだろう。
前半で、攻撃的な態度とはいえヤク中兄弟の一人を普通に殺していたことが気になった。
物語の終着点のほんの少しばかりの救いにホッとした。
直後表示される文章にはまた辛くなるけど。
正直理解できないことや気になる点はいくつかあるものの、そんな差し水に左右されない芯の通った面白さがあったと思う。
病室での不器用な優しさにクスッとなる。
第一級の社会派サスペンス
荘厳で苛酷な雪深い山の中で起こった少女殺害事件を、野生動物局の孤高のハンターと新米の女性FBI捜査官のにわかコンビが、幾多の苦難に見舞われながらも、いつしか心を通わせ、真相を暴いて行くクライム・サスペンス。そしてラストでネイティブアメリカンが強いられている悲惨で信じ難い現状への鋭い告発がなされる。ジェレミーは今回も「メッセージ」と同様、懐の深い、地に足の着いた真の男を好演したし、エリザベスも事件を解決するための情熱と力強い意思を持った女性を見事に演じている。2人とも人の痛みや悲しみを感じとることのできる正常な感覚の持ち主で、人間の善意の象徴だと思う。トレーラーハウスのドア1枚の開閉で、過去から現在に画面転換するショットは見事で、さすがテイラー・シェリダン。クライマックスでジェレミーが悪党を猟銃で次々と狙撃するシーンとピートが愚かにもたった数十メートル走っただけで息絶えるシーンには溜飲が下がった。ナタリーの父マーティンに平穏が訪れることを切に願う。
銀世界でアメリカの闇を描く
ネイティブアメリカン居留地が抱える問題を題材にした作品。鑑賞前に予習が必要かも? 淡々と描かれる静かな怒りや悲しみを、終盤の銃撃戦で文字通り爆発させる。『ボーダーライン』『最後の追跡』と同じ脚本家が"アメリカの見えない闇"をテーマに書いた3部作の最終章だそうで、今回は監督も兼任。西部劇をモチーフにしている3部作のなかでも、『ウインド・リバー』は、白人によるネイティブアメリカンへの差別・圧力という点で西部開拓時代と全く同じ。居留地特有の複雑な法治体制は悲劇のもとでもあり、最後の復讐を完成させる仕掛けにもなっている。
雪景色と重なる淋しさ
きっちり遂行される復讐物なので、もやもやが残るということはない。
けど、大切な人を失った哀しみ、淋しさだけがずるずる尾を引くような感じがする。
取り敢えず、彼氏が悪い奴じゃなくて本当によかった。
絶望まみれのお父さんに、最後、ほんのすこしだけ光が見えてよかった。
ひと思いに撃ち殺すのではなく、娘さんと同じ苦しみを味わわせられてよかった。
よかったよかったと数え挙げられるとことは沢山あるけど、一言で纏めてしまうと「大切な人を失って悲しい」映画だった。
アメリカの社会情勢とかは不勉強でよく分からないけれど、事件を事件として取り上げず流してしまう閉鎖的空間は恐ろしい。
疑問
疑問① 採掘場て 閉鎖中じゃなかったけ? 少女の遺体現場で「あそこは いま 閉鎖中だよー」て言うシーンなかったけ? だったら 何故 あんなに犯人いっぱいいるの?
疑問② 少女て どうやって 採掘場まで来たの? なんで 裸足で 逃げたの?
私の記憶違い。見落としがあるかもしれませんが 分かる方いらっしゃいましたら 教えてください
カウボーイが良いもんでインディアンが悪もん。
子供の頃に植え付けられたイメージって怖いもので、大人になってもそれを正としちゃっている。 信じられるのは野生の勘と銃だけ。そんな無法地帯でまさに緊迫したシーンが続く。 特に終盤、スクリーンに映る全員が銃を構えるシーンは度肝を抜くほどの緊張感! 主人公の圧倒的なヒーロー感! ん、待てよ。これは北斗の拳の世界観では!(違う)
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