「アメリカの多様性」ウインド・リバー Kさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの多様性
アメリカ原住民と白人、部族警察とFBI、被害者家族とそうでない者、私刑と法の下の裁き、都市部に住む者と過酷な自然環境で生きる者、男性と女性、といった社会の複雑で対立的な構造が様々に炙り出されている。相容れない者たちはお互いに介入せず、黙して自分たちのやり方を続けるのが、多民族国家アメリカの多様性に対する賢い対処方法であったと思うが、その闇を見せるだけでなく、その中で、理解し難いことを理解までいかなくとも想像したり容認したりして、ほんの少しだけ対立的なものが融和する瞬間を見せてくれた。社会の枠組みは変わらないだろうが、よりよく生きることは可能かもしれないと思わせてくれる良い作品だった。
ストーリー構成の妙も映像も無駄なものがなく素晴らしかった。また重低音が響く音楽が、過酷な自然環境を表現しているようでとても印象的だった。
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