「裸足で10キロも」ウインド・リバー hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
裸足で10キロも
ある女性の殺人事件の犯人探しが主軸ではあるが、大切な娘を失った悲しみ、ネイティブアメリカン居留地の現実、厳しい人生をどう生き抜いていくかが描かれている。
娘を殺された家族の悲しみ方が、よくみる白人映画の描写とは違っていて感心した。「マスターオブゼロ 」でデフが「白人家族と違ってセックスの話を親としない」と言っていたが、私たちが普段アメリカ映画でよく見る「親との関係性」「悲しみ方」も、それぞれの文化によって、様々なバリエーションが現実には存在する。
終盤、急にけっこうな銃撃戦が起こり様相が変わってしまった。映画的には見せ場だろうけど少し派手すぎかな。雪の中からの狙撃はすごくカッコよかった。エンタメと社会派のバランスという意味では良かったのかも。
女性FBIが頼りなくてどうなのと思ったが、最後まで被害者に心を寄せていたところが良かった。運の良さなんてない場所で生き残った彼女が娘を亡くした彼には少し慰めになったのかもしれない。
スノーモービルや雪深い居留地など、ふだん描かれることの少ない生活が垣間見られたのが興味深かった。
カナダの居留地でネイティブアメリカン女性の行方不明者がものすごく多いというニュースを以前目にしたので、この主題がもっと注目され、改善されると良いと思う。この映画ではネイティブアメリカンであるがゆえ、という理由づけはなかったけど。過酷な状況は弱い存在をさらに追い詰めるのだな。
コメントする