劇場公開日 2018年7月27日

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「雪に覆われた"辺境のウエスタン"の読後感は寒々しい」ウインド・リバー MPさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0雪に覆われた"辺境のウエスタン"の読後感は寒々しい

2018年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

アメリカとメキシコ国境で展開する麻薬戦争(「ボーダーライン」)、廃れたテキサスを背景にした銀行強盗とテキサスレンジャーの追跡劇(最後の追跡」)と、脚本を担当した過去の2本を受ける形で、テイラー・シェリダンは監督デビュー作の舞台をワイオミングのネイティブアメリカン保留地に選んだ。"フロンティア3部作"と形容されるのはそのためだが、最新作は説明不足が若干気になるものの、画面から漂う殺伐とした空気には息を飲む。保留地で生き甲斐を奪われ、それでも何とか生き続けるネイティブたちのどす黒い絶望感が、物語のきっかけになる殺人事件を捜査する主人公の白人ハンターや、その他の登場人物たちにも乗り移っているかのよう。これは、希望に満ちていたはずの開拓の精神が、実は絶望を伴う排他主義以外の何ものでもなかったことを突き付けてくる、雪に覆われた"辺境のウエスタン"。漂う読後感は一言で言って寒々しい。

清藤秀人