デイアンドナイトのレビュー・感想・評価
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評価しづらい、でも心地いい不思議な映画
筋書きだけを見れば、(主人公を貶めるという意味でも)ちょっとさすがに都合が良すぎて「いやいや、漫画でも最近はここまで盛らないよ…」と思うし、
やりたいことは伝わるけど、エピソード過多かなーとか、
(私に集中力がないのでどうしても少し散漫になっちゃう…)
殺人の連鎖、ものがたりの輪、善と悪、正義ってなに?というテーマとしても
もうちょっっと深く掘ってほしい…!(裏の裏の裏をみてほしい)とか、
個人的に色々不満があるのですが、
でも、とにかく見てて、心地がいい!
画面作りがとても綺麗、光や構図をずっと眺めているのだけでも浮遊感に包まれるし、
話とのギャップがまたいい。
あと話のリズムや音楽の入り方や音響の入り方が全部ビリッと心に響きます。
なにより全役者の面構えが最っ高x10000。
全員良い。本当に最高です。
主人公が精神的に少しまだ幼い…?ことから、
青春映画に近いのかもしれない、と思いました。
勧善懲悪の映画になっているような・・・
父親を自殺で失い帰郷した息子が、犯罪組織に加わりながら父親の復讐を狙う物語。
「善と悪はどこからやってくるのか」と言ったコンセプトの映画の様子。
確かに、犯罪行為で児童福祉施設を運営する北村。不正を隠しながらも「何万分の一の事故よりも、経済を回したいという」という経営者。善悪が混在する様を頑張って描いていいるように思えます。
ただ、それでも今一つ釈然としない気持ちが残ります。
例えば、経営者が会社を従業員の生活を守る為に四苦八苦している様子を描くとか・・・
例えば、児童福祉施設の経営が行き詰っている様子を描くとか・・・
例えば、車を盗まれた人たちが怒り悲しんでいる様子を描くとか・・・
もう一つ二つ描ければ、腑に落ちたかもしれません。
また、父親の元部下等を無理やり悪役に仕立ててしまったのも、コンセプトが分かり難くなった要因だと思います。「勧善懲悪」の映画となってしまったように感じました。
奈々と経営者の経緯は、心打たれるものがありましたが、映画の評価としては高い評価は難しい印象です。
正しいこと
善と悪とはどこからくるのか、そして、正義とは
東京で居酒屋をやっていた主人公が父の訃報で実家に戻る。 父は大手自...
東京で居酒屋をやっていた主人公が父の訃報で実家に戻る。
父は大手自動車メーカーのリコール隠しを内部告発したが、地域から総スカンをくらい、自殺したらしい。
詳細を調べ始めた主人公の前に、身寄りのない子供たちを引き取り、養護施設を運営している男が現れる。
骨太でキレのいい映像が楽しませてくれる。
レベル高し。
一言「切なくて、やるせないやろー!」。
◎よかった点◎
・「自動車部品の不良品・内部告発」「北村の表の顔は施設長、裏の顔は強盗団&風俗店」「施設の学生の、親の話」等。
エピソードがいくつもあって、何がどうつながっていくのか。
「やばいよ、やばいよ」状態も含めて、ハラハラ感満載。
・そしていくつか「?」な箇所もあって。
市役所の戸籍係の女(小西真奈美さん)が、北村の夜の店で経理らしき仕事をしているし。
北村の夜の仕事(強盗団)、お金のためにとはいってもどうよ?とか。
それらが、終盤にカチッとわかっていく様は、ゾクゾク〜。
・施設に住む女子高校生と、明石の交流。
微笑ましいく見ていたけど、終盤女子高生の過去がわかって。
全部の話が急に進んでいくのが、えー!。
・明石役の阿部さん、最初はぽや〜っとした印象から。狂気迫る終盤の演技はずごい。
大手自動車会社の田中哲司さん、母親役の室井滋さん・・・配役もドンピシャでした。
△いまいちな点△
・昼の顔・夜の顔って事で、このタイトルなのかな。
せっかく邦画なんだから日本語だといいかな(案は浮かばないけど)。
全体に洋画でリメイクもできるんじゃ?と思うほど。洋画の匂いを感じた発掘作でした。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「自分の正義を信じないと、大切な人を守れない」by北村
デイアンドナイトとは言い得て妙
劇場を見逃して、ずっと配信を待っていた作品。
配信ないならBD買う気まんまんだった。
そのくらいこの作品のレビューは、期待させるものばかりだった。
そして、観た。
(俺の)清原果耶の天才ぶりは健在で、どうしてこんな難しい役があの年齢で出来るのかと感心するのはさておき、
阿部進之助の実力がおおいに発揮された作品と思う。
テーマは実に重い。デイアンドナイトとは言い得て妙で、
善と悪はどこからくるのかを激しく切り込んだ内容。
しょうーがねーよ。
この2極性の世界に生まれてきたんだから、
そこで葛藤して苦しんで光を見出すのが人間の学びなのさ。
と、簡単には言えない内容になっている。
田中哲治のセリフは胸に剃刀傷のような痕を残す。
確かに間違いではない。
間違いではないが、絶対に正しくない。
役者それぞれが、素晴らしいキャラクターを演じている。
安藤政信の涙が伏線となりエンディングに行き着く。
とにかく重い。
池波正太郎先生が鬼平に言わせた言葉ー
「人間というのは妙な生きものよ。悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事を働く」
が胸に響く。
叶うなら、彼らに救いを―
今年、「新聞記者」で話題を呼んだ藤井道人監督が「人間の善悪」を問う作品。
主演の阿部進之介が企画として関わり、山田孝之が出演せずにプロデューサーのみに専念して製作したそうです。
新聞記者も素晴らしかったのですが、これはまたしても素晴らしい映画でした!
いや、新聞記者よりも好きです!
ストーリーは、父を自殺で亡くした青年が安藤政信演じる北村と出会い、やがて復讐に身を投じていく物語であり、「スリー・ビルボード」のようなクライム・ドラマに「万引き家族」や「ドライヴ」を彷彿とさせる要素を入れ込んだ内容です。
一人一人の登場人物達が人間味に溢れていて、本当に興味深いです。
なので、キャラクターの魅力重視である自分としては非常に合っていました!
主人公を演じた阿部進之介は「キングダム」で山の民の一人として出演していたそうなのですが、物凄い存在感でした。
体付きや佇まいといい、こんなに主人公然とした人なのに何故ブレイクしないのか疑問に感じます。
また、安藤正信は児童養護施設の管理人でありながら、裏で犯罪グループとして暗躍している北川を演じていますが、最初は安藤正信の台詞回しが人間味を感じなくて違和感があったのですが、ストーリーが進むにつれてそうなった理由が理解できましたし、一番興味深いキャラクターでした。
そして、今作のMVPはヒロインを演じた清原果耶です!
彼女の演技力はNHKの朝ドラで把握済みでしたが、人と積極的に関わろうとしない孤児を見事に演じていました。
(*^ー゚)b グッジョブ!!
また、この映画は映像面も良かったです。
このての社会派の映画は映像面に拘らない事が多いのですが(特に邦画は)、今作はカメラワークやショットが非常に綺麗で、それでいて一個一個の場面に合っているものになっていました。
藤井監督は今後もこういった映像面でのアプローチもし続けていって、今後の邦画も映像が美しい作品が増えていってほしいです。
ただ少しだけケチを付けてしまうと、
何度か台詞回しが臭いように感じました。
とある場面で「人間の善悪」について直接語るシーンがあるのですが、直接過ぎて少し臭かったし、あえて直接言わなくて良かった気がします。
また、犯罪のシーンも警察が全然動かないところに突っ込みどころはありますが、ドラマ性が強くて素晴らしいのでそんなに気になりませんでした。
この映画では冒頭でも触れた通り「人間の善悪」がテーマですが、「万引き家族」と同様に「犯罪は何故起こるか」というのにも焦点が当てられております。
こういった犯罪に目を背けてただ否定するのではなく、彼らの境遇に視点を向けた方が良いとつくづく思います。
あまりこの映画は有名では無いので、埋もれていくのは寂しいです。
なので、興味をもった方は是非とも観てほしいです!
これは今年の邦画1位だな
【善悪のボーダーライン上でもがき、悩む男達が奏でる秀逸な物語。藤井道人監督の「新聞記者」の快進撃はフェイクではなかったと確信した作品でもある。】
善悪の彼岸から臨む世界残酷物語
あの頃の仲間もみんな 家族を築いてく
誰かが僕のことを「変わった…」となじるよ
キレイごとじゃすまされないこともあるだろ…
ふっとむなしくなる 思いにふたをして
“朝”が来たらまた 無理にでもほほえめよ
何もなかったように 途切れぬ悲しみ
消えゆく夢たち ちっちゃな喜びとぬくもり抱いて
ぼくらの日々は続く…
青いきらめきに 手を振る“夜更け”も
明日は ささやかな優しさにして
私たちの日々は続く…
【汚い大人に見えてるだろうか… 】
だけど希望失くしたわけじゃないよ
夢見る頃は過ぎても 夢見る頃は過ぎても
『Jungle Smile』より 夢見る頃は過ぎても
わたしの青春時代を彩ったアーティストのひとつです…
すべてを知っていた清原果耶さん演じる、奈々は
はたして、まわりの大人たちが
【汚い大人に見えていたのだろうか… 】
「事実、真実など存在しない。在るのは解釈のみだ。」
利益・不利益、有用性や影響力を鑑みて
「長いものには巻かれろ」のスタンスでいる方が結果、
ヒトは幸せなのかもしれない…
だが、そうあるべきか?と
疑問に思って行動を起こしても…
世間が、社会が、
個人を逆行することを許さない風潮の渦に流しこむ…
「一片の淀みなく、己が道を貫く…
簡単なようで、何と難しい事よ…」
本作『デイアンドナイト』の
【善と悪はどこからくるのか…?】という
普遍的テーマの問いかけは深く、深く、
鑑賞者の心の奥に、こだまのように鳴り響く…
さて、本作が最も注目を集めたのは
プロデューサー《山田孝之》の存在でしょう。
ここで言うプロデューサーの仕事とは
クリエイター同士のマッチアップとオーガナイズ
そして撮影現場でのより良い環境づくりだったそうです。
そして主演の阿部進之介さん共々
企画段階から脚本に携わり
そしてキャスト選出から資金繰りと
多岐に渡りサポートしてきた山田さんですが、
その手腕はやはり、山田さんの【人柄】による所が
大きかったに違いありません!
その誠意と熱意が作品を通して伝わってきましたし、
結実したのを、わたしは確信しました!
俳優が制作に深く関わりプロデュースするという
新しいコンテンツモデルと
これからの映画の在り方を提示した意欲作!!
だと思いました!
山田孝之プロデュース
安藤さん目当て
自分はわかってるからと叫びたい
善と悪はどこからやってくるのか。
ストーリーはイマイチだけど主演の演技が印象に残る
回り、そして巡るもの
復讐の先に何があるのか。
大切な人を守って何が残ったのか。
奈々の問いかけが重くのしかかる。
善と悪の線引きの曖昧さや難しさを、つい考えてしまいがちだが、実は、その背景にある動機付けと、伴う結果が問われているのだ。
家族のため、愛する人のため、孤独な子供達のため、多くの従業員のため、生活するコミュニティのため、正義のため、様々な動機付けがもっともらしく語られても、それによって行われるものが、復讐や違法な行為であれば、その結果には虚しさが伴う。
奈々への贖罪で北村は罪滅ぼしが出来たのだろうか。
奈々は幸せになったのだろうか。
明石の復讐を父は喜んだろうか。
残された家族はどうだろうか。
孤児院の子供が、違法なお金で守られていたと知ったら喜ぶだろうか。
幸福な大人になれるだろうか。
隠蔽で守られた従業員は安心だろうか。
「そんなことはない」という答えは簡単だが、どこかに、やるせなさや虚しさが残る。そして、明解な解答が見つからないまま、過ごすしかないのだ。
僕たちは、そんな答えがあるようで、また、確信も持てない曖昧な世界に生きているのだ。
昼と夜が表裏一体であるように。
風車のように回り、そして巡って、また、同じ所に戻るように、答えを求め続けるしかないのだ。
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