ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で
劇場公開日:2017年10月21日
解説
2009年に36歳の若さで他界したカナダのベストセラー作家、ネリー・アルカンを主人公に描いたドラマ。高級エスコートガールだった自身の過去をモデルに描いた自伝的小説「ピュタン 偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白」で突如として文壇に現れ、センセーションを巻き起こすも、09年に自身のアパートで首つり自殺をしていることころを発見され、短い生涯を閉じたアルカン。そんな彼女が愛を求め、自身が生み出したさまざまな分身に悩まされながらも、激情とともに生きた日々を、官能的かつ過激なアルカンの作風を取り入れながら描く。監督は、一夜限りの濃密な情事を描いた「ある夜のセックスのこと モントリオール、27時」のアンヌ・エモン。DVDタイトルは「ネリー 世界と寝た女」。
2016年製作/99分/R15+/カナダ
原題:Nelly
配給:パルコ
スタッフ・キャスト
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2018年10月14日
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鑑賞方法:映画館
2009年に36歳の若さで自ら命を絶ったネリー・アルカンの自伝的作品。彼女が書いた作品の世界観と死に至る過程を納得させる説得力を持つ。
2018年1月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
苦しみの底には、何かとてつもない輝きを放つものがある。通常はそこまで行き着かないうちに苦しみが癒える、または終わる。
けれど、この映画では苦しみと輝きとが一体になっている。
アルコール、薬物、性への依存と言えるのかもしれないが、苦しみの中のヒリヒリした刹那の輝きは何だろう!
2017年11月5日
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鑑賞方法:映画館
ネリー・アルカンは何かが強烈に欠けてるんだと思うけど、それが才能になってんだよね。
こういう自分になりたくてなったわけじゃなくて、寧ろ嫌なところもあるんだけど、それが才能の源泉になってるっていう。
才能あふれる人には憧れるけど、こんなキツイ人生になるなら、凡人でいいかな。
2017年11月1日
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鑑賞方法:映画館
カナダのケベックという場所は英語圏のカナダにあって、日常的にフランス語を話す特異な地域であることは学校で習った記憶がある。また、世界最古の職業は売春婦だということも習った。
この作品は自意識が認識する自己と現実に物理的に存在する自己との乖離が大きくなった場合、人間がどのように振る舞うかの一例を紹介している。作家で娼婦であるという生き方は、知的な思考実験と本能的な欲求の発露という両極端の場面に順不同に直面することだ。ストレスの大きさは計り知れない。
人間には自意識があるから、自分が認識する自己と実存としての自己との乖離は多かれ少なかれ誰にでも存在する。自覚している人もいれば、無自覚な人もいる。どちらが生きやすいかと言えば、当然無自覚な人である。
俺は、俺だという時の主辞と賓辞の間に横たわる深い溝については、埴谷雄高が小説『死霊』の中で詳しく述べている。所謂、自己同一性障害である。非常に哲学的なテーマだ。
本作品は、埴谷雄高が小説の中で主に会話によって表現したのと同じような思考実験を、飲んで食べて性交する主人公の即物的な行動によって表現した稀有な映画である。場面は時制を超えてあちらこちらに飛び回る。必死についていきながら観客が理解するのは、ストーリーではなく主人公の心の闇だ。