「悲しみや喪失の物語」婚約者の友人 SungHoさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しみや喪失の物語
悲しみや喪失の物語。巧みなストーリーテリングで、一度失われたものはなかなか他のもので埋めることはできないということを描いている。
1919年、第一次大戦終結直後のドイツとフランスが舞台。婚約者が戦死して悲しみの日々を送るドイツ女性のもとに、生前パリで知り合ったというフランス人の青年が訪れる。
ストーリーを離れたところで、戦争が終結したばかりの隣国同士の憎しみ合いという舞台背景は、とてもアクチュアルで、そしてそう感じさせるほどに普遍的な問題なのだろうと感じた。
私たちも日々感じているように、隣国同士というものは、利害が対立したり、しばしばその結果として勝/敗、支配/非支配といった立場の違いが両者の隔たりをさらに広くしたり、また憎しみを強めたりする。
それらは、集団としては仕方のないことなのだけれど、個人の間はまた違う関係があるはずだと思っている。だからこそ、利害対立の部分以外の、文化や生活習慣の面を取り上げて見下したり、面白がるような態度は最もよくない。
息子の命を奪ったフランスを毛嫌いする父 ハンスが次第にフランス人の青年に心を開いていく姿はとても印象的だ。彼は、個人の悲しみが集団の犠牲であって、ドイツの父親たちが息子たちを失ったのと同様に、フランスの父親たちも息子を失ったことに気づいたのである。
そして、懸隔を縮める理解を促すのは文化の尊重であり、言語だ。ひさびさに中国語や韓国語を復習したいと思った。
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