女の一生のレビュー・感想・評価
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正直原作読んでないと、ついていくのはつらいだろう。映像はきれいだっ...
正直原作読んでないと、ついていくのはつらいだろう。映像はきれいだったが、この映画を作ることに今日的意義があるのかな?運命に翻弄される女の人生と言えば言えるが、結局この主人公って子ども産む以外は何もしてない(できない)。19世紀前半の貴族社会ってそんなモンかなとも思う。
モーパッサンによるフランス自然主義文学の古典
フランスの文豪モーパッサンが1833年に書いた長編小説が原作。
ノルマンディの自然にあふれた映像の中で、ヒロインが不幸と不運に見舞われていく姿は痛々しくも切なくて、重苦しい雨、風の音、厳しい冬の寒さやらが、不幸の連鎖を強調しているように思えました。ただ、内容的のわりにはドロドロした愛欲はさほど感じられず、ジャンヌは神に答えを求め、過去の回想にひたり、ひたすら不幸に「耐える」姿は、ある意味純粋すぎて危うい感じ。
日常の生活がしばらく映し出されたかと思うと、いきなり、場面が変わったり、回想シーンが挟まれたりで、それなりの想像力が要求されるかも。
原作は読んでいないのですが、フールヴィル伯爵が夫人の不貞に怒って、夫人とジュリアンを死に追いやってしまうところは、映画ではわずかのカットで知らされるのみ。原作はもっと衝撃的らしいです。結局、ジャンヌは伯爵に真実を告げる手紙を送ったのか、神父が真実を告げたのか。
当時、神父がこれだけ、人の人生に首を突っ込んでいたのかと思うとぞっとします。ジャンヌが「フールヴィル伯爵が苦しむので(夫と夫人の不貞を)伝えられない」と言っているのに、神父は「真実を嘘で隠すのは神の名誉を傷つけること」「黙っていることは同罪」などといって、ひたすら、伯爵に真実を伝えることをなかば強要していました。「真実なくして神の慈悲はない」などと言われると、当時はそれに従わざるを得なかったのかもしれませんが、人間の幅もない神父にそんなことを言われてもねえ……。
ハッピーエンドではないけれど、最後の赤ちゃんを抱くシーンが希望の光だったかも。自分は子供好きではないけれど、玉のような赤ちゃんの顔を見ると涙が出そうになりました。
また、過去に夫と不義を働いたとはいえ、乳姉妹のロザリの存在が心強かったです。息子が手紙で何度も無心し、その度にお金を送り続けるジャンヌに、冷静な態度で「困った時だけお金を送れと頼んでくるのはおかしい」と指摘して、ジャンヌを諭すところなどもロザリの強さと優しさを感じました。
(余談)
てっきり、邦画だと思って録画して見てみたら、なんとフランス映画だった……。(苦笑)
過去に何度も映画になっていて、日本でも何本か映画化されているので、間違えてしまったのかも。
邦画の『女の一生』(1967)、岩下志麻主演で「すごい」と某サイトのレビューで読んでしまったのですが、このフランス映画の美しさを壊してしまいそうなので(あくまでも想像)、しばらくは邦画は見ないでおこう。
今の時代に通用したのか
モーパッサンの有名な小説「女の一生」の何回目かの映画化。
夫の浮気、母の死、息子の家出、借金苦など次から次へと苦難に見舞われ・・・。
今、映画化しようと思った理由が知りたい。
期待が大きいと…
人生への期待が大きいと結局は
転がり落ちるだけになってしまうのだろうか。
でも、誰だって若さゆえ期待をする。
ただ、桁外れの期待は禁物なのだろう。
まぁ女性は産むのにも関わらず、長生きだし
これが男の一生にはならないのは解せる。
だけど男運が悪かったね、この女性は…
過酷な人生
なんと過酷な人生だろうか。ポールの振る舞いに振り回される主人公が哀れで涙が出ます。最後は孫娘がやってきてホッとしますが、ポールは孫娘本当に現れるのかが分からずじまいのラストに一抹の不安が残る。
孫、、、
孫いたんだあ、、
ポールが後で来る とあったがそれは本当だろうか。
子供だけ先にジャンヌのとこへ行かせて
ポールは来ないんじゃないかともとれるラストシーン。
本当にお金がないから子供を宜しくね、てことで子供だけ行かせたんじゃないだろうか、とも思う。
そしてポールは来ず、、、。
大変な女の一生。
原作が読みたくなりました。
原作は忘れていました
風景が、美しかった。
雨や冬の厳しい寒さは、主人公の心象でもありそうです。
音楽も良かったです。
お母さんのちょっとしたエピソードも心に残ります。
ジャンヌが、頭をガンガンとドアにぶつけているシーンは、お父さんに監禁されたのかな?
あまりにも安易にお金を送ってしまうから?
文芸映画
台詞はあまり多くなく、狭い画面(スタンダードサイズというらしいですが)で語られる「女の一生」。
人物や風景の撮り方が美しい。ところどころ挟まれる回想シーンが印象的です。
吝嗇で浮気を繰り返す意思薄弱な夫(ジュリアン)の事は、本当に殴ってやりたくなりました。
ジャンヌの母は、自分も浮気していた事があるから、娘に許してやるよう言ったのでしょうね。ジュディット・シュムラが演じるジャンヌが楚々として、いじらしいです。
そしてあの息子。
夫を喪くしたジャンヌが息子だけが希望だと感じるのもよく分かるんですが。
でもやっぱダメですね〜、子どもを甘やかしては。
いろいろ身につまされる話でした。
現代に通じるところがなくもない古典映画
19世紀フランス。
男爵家の一人娘ジャンヌ(ジュディット・シュムラ)は修道院で教育を受け、17歳になったある日、結婚相手として没落子爵家の息子ジュリアン(スワン・アルロー)と結婚するが、ジュリアンのジャンヌに対する愛はすぐに醒めてしまう。
ジュリアンは男爵家のメイド・ロザリ(ニナ・ミュリス)と関係を持ち、ロザリは妊娠してしまう。
が、両親や神父の説得もあり、ロザリが男爵家を出ることで、ジャンヌはジュリアンのことを許すが、それも束の間、ジュリアンは男爵家が懇意にしているフールヴィル伯爵夫人と関係を持ってしまう。
ふたりの逢瀬を目撃したジャンヌは、このことを秘密にしようかどうかと悩み、神父に告白するが、神父からは黙っていることは罪であると諭され、ふたりの仲のことを書いた手紙をフールヴィル伯爵に出し、ふたりの仲に激怒した伯爵はふたりの命を奪ってしまう・・・
というような物語で、その後、未亡人となったジャンヌは、一人息子の溺愛し、世間知らずの息子はアメリカで事業を起こすもののと次々と失敗し、その都度、ジャンヌに金を無心し、男爵家は20近くあった農場のほとんどを手放し、遂には家屋敷も失ったしまう、と展開する。
原作はフランスの文豪モーパッサンの古典的名作だが、読んだことはない。
あらすじを調べてみると、ほぼ同じだったので、原作に忠実に映画化しているのだろう。
ストーリー的にみると、これまで何度もお目にかかったような古典的な女の話なので、現代に通じるところなどなさそうなのだが、そうとも言い切れない。
主体性のない女が、いわゆるダメンズ(ダメ男)に振り回されて、どんどん不幸になる。
そういうことは、現代でもないことはないだろう。
映画に登場するダメンズといえば、ジャンヌの夫のジュリアンに、息子のポール・・・なのだが、ジャンヌの根本をつくったのは父親の男爵(ジャン=ピエール・ダルッサン)である、とみるとかなり面白い。
旧弊な貴族社会で、父や夫に服従するのが良い女性であるいわんばかりに、ジャンヌを教育していた。
当時の時代背景から考えれば当然といえば当然なのかもしれないが、理想=服従する女性。
冒頭、父男爵とともに畑仕事をするジャンヌの姿は微笑ましいが、その根っこにあるのが服従する女性であり、それが男爵夫人(ヨランド・モロー)の死の際に明らかになる。
肥って、決して美しいとは言えない男爵夫人が、かつて夫に隠れて愛人と密愛していた・・・
まぁ、深読み斜め読みなのだろうが、ここいらあたりの女性の図太さは興味深い。
そして、もうひとり図太い女性はメイドのロザリ。
男爵家を追い出された後も、しっかりと男爵から支援を受け、私生児である子どもを育てあげ、零落して孤独なジャンヌを助けるために戻ってくる。
ジャンヌから「夫を奪った、屋敷を奪った」と罵られながらも、最後には、アメリカからジャンヌの息子ポールの娘を連れ帰り、「人生って、なんだか、いいものですね」とも言う。
原題は「UNE VIE」。
女性名詞の不定冠詞が付いた「人生」。
ジャンヌの人生を指しての「あるひとりの女の人生」という意味だろうが、その陰にはロザリと男爵夫人と、生まれたばかりの孫娘の人生が隠れている。
そういう風に観ると、陰鬱一辺倒でもない映画かもしれません。
監督は『母の身終い』『ティエリー・トグルドーの憂鬱』ステファヌ・ブリゼ。
前2作は個人的には感心しなかったのだが、今回は満足。
スタンダードサイズの画面に、陰鬱といってもいいほどのジャンヌの現在の描写と、時折アクセントのように挿入される歓びに満ちた回想シーン。
ジャンヌの人生の喜びは、現在にはなく、過去にしかない、といっているようでもある。
そういう風に感じている女性は、現代でも少なくないのではなかろうか。
「女は三界に家無し」を地で行くようなお話でありました...
原作はかの有名なモーパッサン、時代は19世紀前半、世間の誰もが羨むような貴族の令嬢の晩年までを描いた作品。封建社会の貴族階級としては極々普通に幸せな暮らしをしていた主人公ジャンヌは、両親の薦める相手との結婚を境に人生を翻弄されることになります。自力ではどうすることも出来ない情け容赦ない不幸の連続が彼女を襲いますが、主人公はじっと耐え抜きます。本当に女性は強い!折々に挿入される幸福だった時代の回想描写が彼女の不幸を際立たせてくれました。ただ人生は悪いことだけではないのですね。最後の幸せの微かな兆しが全てを救ってくれたように感じました。
純粋とは愚なのか
哀れなジャンヌの寓話性が
ひたすら胸に刺さる。
これはおいらの物語でもあるのかも。
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2017.12.25 岩波ホールにて1回目
世間から乖離した一女性の人生に
同情したり腹を立てたり。
純真さは時には美徳だが
常にそうではないことを
ジャンヌの生きざまが顕にする。
あまりにも哀しく
それでいてとても清く
息苦しささえ憶えるほどの
ジャンヌを綴る映像。
仏映画には大して
シンパシーを覚えないのだが
この映画には心をぐらぐら揺さぶられた。
おいらにとって実に奥深い一本。
一人称映画 ある女の愛の遍歴
電気の無い時代の物語なので、夜は暗いです。
基本、灯りはロウソクか暖炉の炎。
寝室のシーンでは、オレンジ色の光に照らされた主人公の鼻の形から「ああ、こっち向きに寝ているのね。」と推測して見ていました。
夜中に外に飛び出すシーンは、真っ暗な画面に声だけしか聞こえず…。
こんな演出なのか?
それともスクリーンの端から光がもれているせいなのか?
はたまた非常灯が明るすぎるせいなのか?(^◇^;)
なので、ハッキリ見えた方とは映画の印象が違うかもしれませんが、レビューさせていただきます。
トークショーで「昔の女性は自分の人生を選択できなかったが、現代の女性も人生を選択できると思わされているだけ。」と仰っていたのが印象的でしたが、
どちらかと言うと私は、愛されるより愛したい女が、限られた世界の中で裏切られ続けながらも、愛する対象を求めていく“愛の遍歴”映画だと感じました。
もしかしたら、簡単なあらすじは知っておいて見た方が良いかもしれません。
ねっとり長回しのシーンがあるかと思うと、決定的な映像が無かったり、3つのショットだけで済ませたり(←コレお気に入り)
「すごく面白いけど、なぜ?」と思いながら見ていましたが…
ダメンズに振り回される度に回想シーンが挟まれるところから「これって、一人称の映画なんだ!」と気付きました。
彼女は、最悪な事態の時に、過去のお気に入りのシーンを脳内再生してプチトリップすることで、なんとか現実との折り合いをつけているようで…。
だから、彼女にとって思い出深い情景は長回しで、忘れ去りたい出来事はショットだけで済ませていたのか。
映画そのものが彼女主観で構成されているとは!
そう見ると、唐突に息子の存在がクローズアップされるのにも納得。
残念なことに、溢れる愛をただただジョウロで注ぎ続けたいだけの彼女は、息子を根腐れさせてしまうのですが…それもまた致し方なし。
愛のバランスって難しい。失敗から学ぶことの多さよ。
ラストシーンは次なる獲物にロックオンしていましたが、美しい花に育ってほしいものです。
現代に蘇る古典の世界
モーパッサンの有名な古典作品の実写化は、北フランスノルマンディの美しい自然が心に残ります。
繰り返す四季のなか、ひとりの女性の胸躍り溌剌と過ごした時間、裏切られ絶望しそれでも前を向いて生きる姿、ただただ抜け殻のように悶々と暮らす日々、そして・・・
ほぼスタンダードに近い実写化だと思うのですが、良く言えば品の良い創りながら、演出的な起伏など、もう少し見応えがあったらと思ったりしました。
なかなか壮絶なおはなしなのに、手紙を読むシーンなどの映像がパターンというか・・・
当時の貴族の暮らしぶりは、意外な発見があったりしておもしろいのですが、貞淑さと優しさゆえ、翻弄されながら生きる主人公の姿は、現代に蘇ると、果たして弱い女性と映るのか、それとももしかして強い女性と映るのか、カタチは違えども同じような気持ちになる女性は少なからずいそうな気がします。
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