「凄い、凄い、凄い!!!」寝ても覚めても CBさんの映画レビュー(感想・評価)
凄い、凄い、凄い!!!
恋愛映画は得意ジャンルでない俺でもわかる。これは、傑作だよ。
中盤のあるシーンでの亮平と朝子の会話。「窓から天の川が見えますよ。淀川の支流です」「亮平、私、ここ好き。もっと好きになりそう」
(「きれいな川だね」「ほんと」という会話をしてたと思い込んでたけど
朝子は、『間違いではないことをしたい』という思いから、震災被害の東北を毎月ボランティア訪問してきた。つまり、彼女の心の奥では、そっくりな亮平と付き合っていることは、正しくないことに位置付けられていた。
亮平は、麦の存在を知って以降は、朝子にいつかは去られるかも知れないと感じながら、つきあっていた。
ふたりは、あんなに幸せそうに付き合っていたのに…
そして朝子は麦に会う。一度は避けた朝子だが、再度の出会いでは自分の心に気づき、亮平の目の前から去る。それは、観ている我々にもそれこそ衝撃の展開。そして…
終盤でのあるシーン。再び亮平と朝子の会話。
「(雨で)水嵩が増してる。汚い川だな」「でも、きれい」
この(序盤のシーンとの)対比の見事さ!
お互いに麦の存在に気づきながら、二人ともそのことを心にしまっていた当時(序盤)。心のままに従ったとは言いながら、手ひどい裏切りとも言える行為を行った朝子と、受けた亮平。とくに亮平のもとを一旦は去った朝子は、自らをきれいな流れには例えない。(終盤)しかし、今の方が心から亮平を好きだと言える。汚く見える流れだが、きれいな流れだ。いや、汚く見える流れだからこそ、いろんな気持ちを織り交ぜて流れている川だからこそ、きれいな流れだと今は思える…
ううむ。終わってみれば、ラストに向かって一貫したストーリー。しかし実際に観ている間は、特に後半は、予断を許さない展開が次々と続き、あっという間にエンディングになだれ込む。
それはもう見事な映画でした。
おまけ1
タイトルは「寝ても覚めても」(誰々を愛する) ではなく、「寝たら覚めたら」(その度に心は移ろう)だよね。それが前提だからこそ、今この時の気持ちは尊い。みんなも是非、堪能して!
おまけ2
「万引き家族」がカンヌを取らなかったら、これが日本アカデミー賞だったのだろうなあ。
おまけ3
ネタバレなしでレビューできなかったことはとても残念
-------2020/1/26追記
主演二人の不倫が発覚して、意外なところでまたクローズアップされそう。ただ、この映画が「あの、不倫に繋がった映画ね」という評価だけになってしまうのは、あまりにも惜しいです。
-------2023/4/20追記
Amazonで再び観た。
そうか。高速で、東北での麦との会話で、「あれ、亮平と違う」と感じた朝子。そこで自分が好きなのは「麦に似ている亮平」ではなく「麦ではない亮平」だと気づいたんだな。2回観て初めて気づいた。
初回は、レストランから去って「驚き」、東北で引き返して、さらに「驚き^2」と、正直、驚いてるだけで精一杯だったからなあ。