劇場公開日 2018年9月1日

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「大至急 猫に会いたくなりました。」寝ても覚めても ケバブさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0大至急 猫に会いたくなりました。

2018年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

宣伝ポスターのキャッチフレーズ”愛に逆らえない”という言葉のままの作品でした。

東出昌大さんの1人2役、一方は無機質で掴みどころのない不思議な存在、一方は人情味あふれる好青年。まったく同じ顔なのにまったく違う魂を持つ存在なのだと感じさせる演技(演出?)がとても良かったと思いました。

主人公の女性はとても不器用な存在。強い自己嫌悪が自己愛であることの裏返しであることを認めたうえで他人を傷付け自分を破滅に向かわせる。そして人を傷付けた事を承知の上でさらにエゴを通す。一歩間違えれば犯罪にも手を染めるタイプの人なのではないかと狂気すら感じました。でも、彼女が全力で彼を追いかけるシーンで雨上がりの太陽光も彼を追いかけ、ついには彼の背中を射す映像に、危うさを超え美しさすら感じさせられました。

この作品、彼女の存在に不快感を示す方も多いのではないかと思います。観てスッキリするタイプの作品かというと、そういうのでもないのかな、、と。わたしももう一度観たかというと、もういいかなぁという感じです。ただ、自分のエゴと社会との折り合いの付け方であったり愛情表現の難しさを感じた作品であり、演出によってそれは美しくみせることもできるのかと気付かされた作品でもありました。結果、観て良かったです。

癒しポイントとして、猫の存在。鑑賞後、とりあえず猫に抱き着きたくなりました。

ケバブ