ダウンサイズのレビュー・感想・評価
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人類は成功した種とは言えん
映画「ダウンサイズ」(アレクサンダー・ペイン監督)から。
人口増加による環境、食料問題を解決するために、
人類が縮小可能になった未来社会を舞台にして、繰り広げられる。
身長180センチなら13センチにまで小さくなることが可能になった世界、
それは、全人類が地球危機を意識し、実行に移せば、
環境、食料問題は解決したのかもしれないが、そうはいかない。
物語では、ダウンサイズしたメリット、デメリットを描きながらも、
それでも、環境悪化は進行し、遂に人類滅亡の危機に直面する。
そんな現状をみつめながら、ダウンサイズを開発した博士は、こう呟く。
「人類は成功した種とは言えん。
高い知能を持ちながらかろうじて20万年だ。
ワニは2億年生き延びた、クルミほどの脳でな」と。
どんなに技術が発達しようとも、人類そのものが滅亡したら、
それはなんの役にも立たないことを警告している気がする。
昨今の異常気象を例にとるまでもなく、確実に地球は変化している。
「地球が悲鳴をあげている」と表現する人もいるが、
地球は、長いサイクルの中で、予定通りの変化かもしれない。
悲鳴をあげているのは、人類でしょ?と地球に笑われそうだ。
こういう社会風刺的な作品も、悪くないなぁ。
興味深い示唆が
あって、そこそこ良かった。
人間って、時間とお金ができたら快楽と刺激を求めて堕落するんだろうな…。みんながみんな豊かになるとかえってダメになっちゃうような。それに、どんな社会になっても必ず格差ができちゃう気もする。多様な考え方が許されてもそれにはマイナス面が伴うってことなのかな…。
もしかすると、この映画、噛めば噛むほど味が出るかも。意外に奥が深い気がしてきた。
幸せも問題も大なり小なり
ユーモアとペーソス、良質の人間ドラマに手腕を奮うアレクサンダー・ペインが何とSFに初挑戦。
と言っても、この監督らしい人間ドラマがメインのユニークな作品に。
ちょっとだけ先の近未来。
人口増加、資源、消費、エネルギーなどあらゆる問題の解決策として、あっと驚く方法が。
ノルウェーの科学者が成功させた、人を縮小させる技術“ダウンサイズ”だった…!
人口増加に歯止めなんて利かないし、消費はそれに比例。今から浪費し続けた地球上の資源やエネルギーが戻る訳がない。
ならば、こちらが小さくなる。小さくなれば、全てが抑えられる。
劇中では、1/14のサイズに縮小。
そうすれば、飲食も1/14で済む。
摂取だけじゃなく排出、二酸化炭素やゴミの量も。
金銭面でも恩恵を受け、高価なものも格安で買える。
何より、土地。土地の問題に困らない。だって、ミニチュアサイズの家に住めばいいのだから。ミニチュアサイズならば夢のどんな豪邸でも!
さらにさらに、財産の価値が遥かに上がる! 一生遊んで暮らせるほど。
これら小さくなっての生活は日本じゃ『ドラえもん』のスモールライトでお馴染みで、考えただけで楽しい。
楽しさと、夢のようなリッチ生活で、全てが薔薇色!
…でも、日本にはこんな諺がある。
隣の芝生は青く見える。
主人公は医療作業療法士のポール。
生活はなかなか厳しい。
そこで、妻とダウンサイズを決意。
ところが!妻がドタキャン。時すでに遅く、ポールだけ小さくなって…。
確かに生活はちょっと裕福になったかもしれないが、ポツンと置き去りにされたかのように寂しい独り身に。
当然仕事は辞め、身内はおらず、小さくなったこの世界にまだ友人も居ない。
一度小さくなれば、二度と元に戻れない。
薔薇色と思ったダウンサイズの選択は、人生最大の失敗だったのか…?
小さくなって始めて分かる、小さくなっての問題。
例えば、全てが1/14で済む人々は、従来のサイズの人々と同等の権利を与えられるべきなのか。
平等不平等、差別や偏見の問題が生じる。
小さくなれば、何かの箱に入るなどして、不法移民などが簡単に。
人間や地球の未来の為の技術が違法の手段に。
小さくなれば、誰もがリッチになれるとは限らない。
元々リッチだった人はよりリッチに、それなりの人はそれなりに、無一文の人は無一文…。
やはりこの世界にもある裕福と貧困の格差社会。
財産で仕事もせず遊び呆けて暮らしてる者も居れば、生活の為に仕事してる者も。
印象的なのは、裕福なのはほぼ白人で、貧困なのはほぼ非白人。
貧困者が暮らすのは、街外れの集合住宅のようなコミュニティー。
洒落のようだが、現実社会の縮図。
小さくなったって何も変わらない。
現実社会と変わらぬ冴えないダウンサイズ生活を送るポール。
しかし、そんな彼に、新たな出会い、新たな生き方、自分自身を見つめ直す出来事が…。
ポール役マット・デイモンの、いい意味で平凡で冴えない佇まいが絶妙。
見てて途中から、本当にこの人、スター俳優のマット・デイモンだよね?…と思ってしまったほど。(勿論、いい意味で)
クリストフ・ヴァルツ、ウド・キアらは小さくなってもアクの強さは変わらず。
ひと際存在感放つのは、ポールと親しくなるベトナム人女性役のホン・チャウ。
元レジスタンスでもあり、今は豪邸の掃除屋、性格もなかなか破天荒。
笑わせ、人種の問題も刷り込ませ、印象も見せ場もさらう。
小さくなるまでの説明や注意点、実際のプロセスなど、何だかまるで大きな手術を受けるかのよう。
ユーモアとペーソスは勿論。
この現実世界への風刺や問題提起も。
しかし、もうちょっと話に捻りや何か一味あるのかと思ったら、そうでもなく…。
秀逸なのは小さくなるというアイデアだけで、終盤の展開など、この作品は一体どういう方向へ進みたいのだろうと思ってしまった。
メッセージ性もちょっと説教臭い。
でも、アレクサンダー・ペインならではのオリジナリティーある作品である事は確か。
もし自分なら、あなたなら、ダウンサイズしたいか…?
小さくなっての幸せ、新しい人生を見出だせるか…?
あくまで映画だが、小さくなる前に従来のサイズで今直面している問題を解決出来ないのかとも考えさせられる。
幸せも問題も、大なり小なり。
退屈はしない
トゥルーマン・ショーを思い出した。作り込まれた世界観はまあまあ見応えはある。
広告に踊らされてダウンサイズして自分発見的ストーリー。展開的に無理はあるけど退屈はしない。でも豪華キャストの無駄遣いは否めない。
意外性はあり
今から50年以上前に、テレビ番組のウルトラQで、1/8計画という全く同じテーマを扱った人間を小さくする作品がありました。当時の特撮技術ではなかなか思った絵は取れなかったですが、普遍的なテーマと思いました。
さてこの作品は、いろんな小ネタもあって、個人的には楽しめました。全体としては、特に中盤ベトナム女性が出てきてからの展開が楽しかったですね。彼女の魅力が、この映画に彩りを与えてくれました。
ハンディキャップを抱えた女性とのラブシーンを素敵に描いていたのは、すばらしい!
まあ、傑作とは言えないかも知れませんが、そこそこ面白かったですよ。
小さくなっても生き辛い社会
マッド・デイモンだしな~
ちょっと観てみようかなみたいな。
面白いプロットなんだけど、よく見ると実寸サイズの
人間社会があるからこそ、
小さくなった時に億万長者になれるのであって
地球上の全てが小さくなったら何も変わらないんだよな〜〜。
小さくなってもクリストフ・ヴァルツ演じる
パーティーピーポーはパーティーピーポーのままで
対局の貧困層はそのまま〜〜
あんまり嬉しくない結果です、正直ため息。
なんだろう?結局どんな生き方をしようと
人は人の中でしか生きられないんですね〜
厳しいねえ〜〜なんだか寂しくなってしまったわ〜〜
@もう一度観るなら?
「もういいや〜〜虚しい」
面白い設定
人間の縮小化に成功した社会。使用する資源が少ないから生活維持にお金が掛からない。
仕事をしたくない人達が集まる小人の世界と、
強制的に縮小化されたベトナム人の女性。
最後はパラダイスに閉じ籠る人々。
ちょっと支離滅裂だけど、設定は面白い。
2.8
久しぶりに面白くない映画を見た
コメディに振るかシリアスに振るかはっきりさせた方がよかった
何度も引っかかるところがあったにも関わらず全く回収されない
一種のカルト団体が恐ろしいことを企んでいるように見せてそれも全く掘り下げられない
小さくなった人もCGでしょと分かるほどの出来
妻のその後も描かれず
何を伝えたかったのか
オススメしません
含有量
コメディかと思ったら全く違った。
設定としては突飛だが色々と含むものの多い作品だった。
結構シリアス。見方によっては。
自分の居場所を探す旅にも思えるし、どんな世界であろうとも愛する人が居なければ、全て無意味と語ってる風にも思える。
箱庭的な自由を制限と受け止めるか、強制された環境であっても自由を謳歌できると受け止めるか。
いずれにせよコメディだと思って観るとげんなりする作品になってる。
とはいうものの、クソマジメにこの作品を宣伝されても、メッセージが崇高的なので観ようかなという気さえ起こらないかもと思う。
なんにせよ、この作品に出会えた事には感謝する。
笑いも感動もしなかったけど、鑑賞後の後味は悪くない。
死ぬまでの時間なのか、生きている間に出来うる事なのか…まあ、自己啓発本的な内容だったようにも思えるかなあ。
シンプルなコメディ作品かと思っていたら違いました。
私的には予想外の展開の連続で、面白かったです!
何か大きな事を成し遂げてなくても、自分は自分。日々の生活で良い人で有りたいと思いました。
上映が思いのほか少なくて諦めかけてたけど、ギリギリ観に来れて良かったです。
退屈でもあり、深くもある、全く予想だにしないストーリー。
【賛否両論チェック】
賛:小さくなることによって生じた主人公の悲劇や、次第に明らかになるダウンサイズの真実に、物語としての重厚さが感じられる。
否:テーマはかなり哲学的で難しいので、気をつけていないと眠くなること請け合い。ダウンサイズしたことによる面白みはあまりなし。
「人間を小さくする技術がテーマの映画」というと、小さくなったがゆえに事件に巻き込まれたりとか、そんな少しファンタジーみたいな物語を想像してしまいますが、残念ながら本作ではそんな要素は皆無で、もっとすごく哲学的な内容です(笑)。まずはそこで好き嫌いが極端に分かれるところかと思います。
小さくなると、優雅な生活を送れる。しかし二度と元には戻れないという条件を前に、前半では現状に辟易していた主人公が下した決断と、それに伴う想定外の悲劇が、どこか切なく描かれていくのが印象的です。そして後半では、ひょんなことから縮小化の技術を生んだ博士をたずねることになった主人公達が、その驚がくの真実を知ると同時に、一気にテーマのスケールが大きくなっていく様に、心揺さぶられます。
劇中、活動家だったノク・ランが語る、
「死を意識すると、周りが見えてくる。」
という言葉も深く響いてきます。かなり難しい内容ではありますが、気になった方は是非。
広告につぶされた名作
ほかの方のレビューを見てみると、国内外問わず良し悪し両極端のレビューが目立つ。
海外の、この映画の売り方はわからないけど、日本での売り方は非常に間違っていると思う。
『掴み』として、『ダウンサイジング』があるだけであるため、そこだけを売りにして、一大コメディ的な売り方をしていては、マットデイモンということもあり、気軽に見に行く人が多かったんだと思うが、ストーリー自体は人類滅亡を危機するカルト的な重い軸が中心にあるため、後半に進むにつれて笑えない内容になっている。
世界的には人口増加しているのに、日本は年々減少している今こそ、この映画を見て改めて生き方について考えるべきなのではないかと考えさせられた。
また、後半に行くにつれて『ダウンサイジング』と普通の世界の区切りがなくなっていくのが少し残念。
パブのオヤジから、『ダウンサイジング』する主人公に、普通の人間としっかり区別すべきだという話になるけれど、そこがピークだった気がする。
主人公が小さくなってしまってからは、ホンチャウとの駆け引きが最高で、2人の演技に引き込まれる。
結局人間は、一人では周りの環境から逃げることはできないのだ。
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