デヴィッド・リンチ アートライフのレビュー・感想・評価
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新しいアイデアに過去が色を付ける
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主にフィラデルフィアでの幼少期及び青年期のデヴィッドリンチのアートワークや人生の過ごし方を自分語りで淡々と回想してゆくドキュメンタリー作品。勿論、これを観てあの異空間な世界観を全て語り尽くすことが出来ないのは当然である。それに天才は勿論才能だけはなく、それを没頭する超人的な集中力というものがデフォルトで備わっているものだと改めて感じる内容である。結局、『ヘッドイレイサー』を制作する迄の経歴なので、それ以降の話は無いから長いようでいて、あっけなく上映が終わるという感じだ。実はそこからが面白そうであり、興味をそそられるのだが。何故かというと、たまにアトリエで作品を製作中に小さい娘と戯れるカットが映し出されるが、過去を振り返っての話では前婦人との間に娘さんが産まれているという件もあり、その間のプライベートに俄然興味を引く造りとなっているからである。でも、その話は無い。凄く肝心な所でハシゴを外されたような感覚に陥ってしまうのは自分だけだろうか?小さい頃に経験した奇妙な出来事や、家族に与えられた貴重な経験は、凡人ならば大人になるにつれ忘れてしまう。しかし、天才はそれをキチンと脳のシワに刻み込み、そしてそれを自分の解釈でプロダクトする。改めてこの不世出の監督の凄みを垣間見た作品である。
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