「相手を知るための映画」勝手にふるえてろ 浅利さんの映画レビュー(感想・評価)
相手を知るための映画
この映画、公式サイトでキャッチコピーやあらすじだけを読むと「エイプリルフールズ(2015)」ばりのクソ脚本が生んだクソしょーもない邦画のような印象を受けてしまうかもしれません。
違います。ラブコメというポップなジャンルにあてはめるには容量が大きすぎる、なんかもっと巨大で普遍的なコミュニケーションのドラマが描けていると思います。
しかも笑える。セリフがうまくて間と言い方も完璧。さすが元おはガールのお笑い担当とJCA出身のタッグです。
演出は一風変わってますが、原作の脳内べらべら系をうまく形にできていてウマいなぁ、あそこの衣装の工夫いいなぁ、大九監督すごいなぁ、だいくって読んでてごめんなさい、この人の作品全部見よ。とすっかりファンになりました。
それに加えてこの映画の面白いところは、私たちそれぞれが微妙に違ったいろんな感想を持てる、というところだと思います。主人公を筆頭にむちゃくちゃなキャラが出てきますが、人間がちゃんと描けているので観客が参加できるのです。
だから気になってる人の感受性をはかりたい人、よくわからない友達の本性を知りたい人、彼女を知りたい彼や彼を知りたい彼女、この映画おすすめです。これを見た後喫茶店で小一時間語り合えばいいのです。どのシーンに共感できたか、自己投影できたか、笑えたか、笑えなかったか、主人公がわがまますぎて終始イライラしてた、でもいいし、誰が一番キモかったかでも、湿っぽい男と女の話でもいいと思います。
きっと相手を知ることができます。
一人で見に行った私がいうことじゃありませんが。
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