あさがくるまえに
劇場公開日:2017年9月16日
解説
心臓移植をめぐって繰り広げられる喪失と再生の物語を、「預言者」のタハール・ラヒム、「毛皮のヴィーナス」のエマニュエル・セニエ、「Mommy マミー」のアンヌ・ドルバル共演で描いたフランス製ヒューマンドラマ。「聖少女アンナ」「スザンヌ」で注目された新鋭女性監督カテル・キレベレが、メイリス・ド・ケランガルのベストセラー小説をもとに映画化し、命のやりとりに直面した人々の葛藤を静謐なタッチで描き出す。夜明け前、青年シモンは恋人が眠るベッドをそっと抜け出し、友人たちと一緒にサーフィンに出かける。しかしその帰り道に自動車事故に巻き込まれ、病院で脳死と判定されてしまう。報せを受けて病院に駆けつけたシモンの両親は現実を受け入れられないまま、医者から臓器移植コーディネーターのトマを紹介される。一方、パリで暮らす音楽家の女性クレアは重い心臓疾患で臓器提供を待っていたが、若くない自分が他人の命と引き換えに延命することに疑問を感じていた。
2016年製作/104分/PG12/フランス・ベルギー合作
原題:Reparer les vivants
配給:リアリーライクフィルムズ、コピアポア・フィルム
スタッフ・キャスト
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2017年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
冒頭、未明にベッドから抜け出した青年が二階の窓からふわっと飛び降りる、そのショットでいきなり心をつかまれた。危険と自由の隣り合わせ。37歳のフランス人女性監督、カテル・キレヴェレの長編第3作にして日本初公開作品。スローを効果的に使った詩的な映像のセンスが抜群で、敬愛するというガス・ヴァン・サント作品に似た雰囲気も。
事故で脳死になった青年と心臓疾患の中年女性を2つの軸とする、それぞれの家族や恋人、医療従事者たちの群像劇。説明しすぎず、省略の加減が絶妙なストーリーテリング。登場人物の想像を実景にシームレスに現出させる手法もうまい。近親相姦を想起させるイメージも描かれるが、誕生と死の重ね合わせだろうか。
タハール・ラヒムが演じる臓器コーディネーターが印象的。はじめは配慮不足の無神経な男のように思えるが、手術のシーン(メイン画像の場面)でそんな予断がひっくり返される。
2020年2月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
医学がどんなに進歩しても、今は臓器移植でしか助けられない命がある。
悲しい事実を受け入れ、善意でドナーとなる方と家族に敬意を表す。
2018年10月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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「朝が来る前」から幾日か後の「夜明け」までを、欧州的な「華奢」なシナリオで写実美追求的に描いた、美作。
シモンが夜明け前の海で「波乗り」に興じ、水中に没しながら眺める景色が美し過ぎる。銀河に湧き立つガス雲の様でもあり、母の胎内の記憶が眼前に広がって居る様でもあり。
事故の前の映像表現も素晴らしい。目の前の道路が泡立ちはじめます。それは少しづつ容を明確にして行き、最後は海面に変化して行く。
耽美的なダイナミズムって、あり得るんだ。凄い!
シモンは片思いの彼女を驚かせるアイデアを思い付きました。バイクで、あの丘を駆け上がる!ケーブルカー乗り場で、じゃあね、と別れたシモンの姿を頂上の降り場で見つけた時の彼女の可愛さが好き。
ドナー側コーディネーターの青年は、執刀医を制止し、シモンの耳にイヤホンをつけてあげます。流れて来たのは、彼女が選んだ「海の音」。シモンは、還っていきました。
移植を受けたクレアは目を覚まし、その横顔に朝日が差し込み、物語は、そこまでで終わり。
見れて良かった!
心臓移植の、その起点から終点まで淡々と描いただけの映画ですが、ガッツリココロに残りました。
2018年4月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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割り切れないのが、臓器移植の問題。
演出が変わっていて、色彩がよりハッキリとした撮影の仕方をしている。
冒頭のサーフィンから交通事故に至るシーンなどは、映画らしい演出となっており、関心する。
確かに、他の方が触れているように、移植を受ける側のストーリーはあまり描かれていないようだ。
医療関係者が見ると、また違った感想を持たれるのだろうと思った。