孤狼の血のレビュー・感想・評価
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4.2
立ち尽くしてしまうほどの正義
昭和63年、広島のある都市を舞台に、ヤクザの抗争と、そこに割って入る狂気じみた警察の姿を描く。湿度と不快指数の高い、酸い臭いが充満する、暑苦しく粘着質な世界で、欲望むき出しの男たちによる面子をかけた戦いが繰り広げられる。
贈収賄や因縁は当たり前、取調室で性欲を満たしたり、嫌疑がかかるホテルに火を放ちボヤ騒ぎを起こしたりと、グレーどころか完全にブラックな方法で闊歩する捜査二課の大上刑事(役所広司)。相棒となったキャリア組の日岡(松坂桃李)は呆れを通り越し、憎悪を覚え、権力を与えられた機関として法に則った捜査をするべきと主張するが、逆に、「じゃあ聞くがのぉ、正義とは何じゃ?」と問われ、立ち尽くす。
平和は大きな暴力の均衡によって維持される。是非はともかく、そのことは歴史が証明している。そしてその均衡が崩れた瞬間、暴力と暴力の攻防に巻き込まれ、大きな被害を受けるのが力のない市井の人々、堅気である。さらに、歴史上、人間の中から暴力が消滅することもまたない。これもその是非はともかく歴史が証明する。
「極道を法律でおさえつけたところでなんも変わりゃせんわい。奴らを生かさず、殺さず、飼い殺しにしとくんが、わしらの仕事じゃろが」と断言する大上の、「堅気の平和」を守ることへの執着は、物語が進むにつれ、徐々に明らかとなる。正義とは何かに答えるのは容易ではないが、平和を維持するための手段、と捉えるなら、大上の正義は、極めて歪だが、ひとつの在り方を示す。
役所広司の趣味の悪い衣装、プルトップのアサヒスーパードライ、スマホなんてどこ吹く風の黒電話、昭和天皇の病状を伝えるブラウン管テレビ、全てが計算され、饐えた臭いを放ちつつ、それほど昔ではないが、ものすごく昔のような、どこか懐かしい昭和へ収斂される。
本作の99%は役所広司で出来ているが、主人公は間違いなく松坂桃李である。実は空手の名手で腕も立つ、地元の名門大学を出て頭脳も切れるキャリアが、借り物でない、自身の正義を獲得していく様は、小気味好く心地良く、同時に痒みに似た、座りの悪さも感じる。地頭が良い分、ある意味で大上より性質が悪い正義が生まれそうな瞬間、バイオレンス映画を見に来たはずの観客は、なぜか人に優しくなれるような空気に包まれ、奇妙な気分で立ち尽くす。
アウトレイジ以来の興奮
昭和末期、暴対法が施行される前の広島が舞台で、街並みや小物、暴力や...
昭和末期、暴対法が施行される前の広島が舞台で、街並みや小物、暴力やグロいシーンの見せ方など、良くも悪くも昭和が持っていたエゲツなさが感じられる。
ストップモーションの使い方やナレーション、タイポグラフィなど、往年の実録映画を彷彿とさせる作りは、さすがは『仁義なき戦い』の東映という感じ。
それにしても主演の役所広司さんが素晴らしい。
『日本のいちばん長い日』『関ヶ原』『三度目の殺人』と、最近見た邦画には必ずと言って良いほど役所さんが出演されているが、静かな役も今作のような激しい役も、グイグイと引き込まれてしまう。
バディを組む松坂桃李さんも、石橋蓮司さん江口洋介さん達も、隙のない配役で映画に厚みを加えていた。
昨秋観た『アウトレイジ最終章』が大きく期待外れだったのと比べ、大満足の作品でした。
最初からえぐいけど…感動
トラウマになりそう
アウトレイジが輝いてみえた
期待倒れだった。というかここ数作の白井監督の中ではいちばん乗れなかった。が、よく考えてみれば他の作品も乗れないところは大体同じかも。
アウトレイジが北野作品とエンターテイメントの折り合いを見事につけていたのに対して、こちらのみどころがよくわからない。レトロ映画というカテゴリーにしても役者の迫力があまりない。レトロ画調にすればするほど芝居に迫力がないことに気づく。あの、役所広司ですら、ない。音もあまり良くない気がしたけど、たぶんシナリオだろうな、類型的キャラクターの出し入れとセリフ、芝居もふるえるものがない。しかし考えてみれば白石監督のほとんどが、この、ベタ、な演出なので、面白いか面白くないかといったら、面白くはない。発見がないから。
良い意味で、役者がギラギラしてた
面白かった
俳優陣素晴らしい
期待以上でした。
良いですが
配役のマッチ具合が完璧
初めて
ヤクザものの名を借りた師弟愛バディムービー。冒頭のグロシーンでまず...
ヤクザものの名を借りた師弟愛バディムービー。冒頭のグロシーンでまずはご挨拶、人間の性をよく分かってます。好きなジャンルじゃないですが、最後まで飽きることなく鑑賞できました。
・松坂桃李 真剣レッド、よく頑張りました。はたして正義とは?今作、紛れもなく君が主役でした。
・役所広司 流石の演技、今作の功労者。まさかの…には度肝を抜かれました。
・江口洋介 なかなかカッコ良かった。高評価だったが、最後の最後、首傾けてトイレ入りは(笑)
・真木よう子 あまり魅力的ではなかった。昨今の疲れが感じられた。
・竹野内豊 中途半端な役だ、どうした?本来なら君が主役でもおかしくはないはず。
・石橋蓮司 最高の昭和感、良かった。最後の最後、あまりにもかわいそう。笑っちゃいかんよ。
以上、今作の印象的な俳優でした。
1-H-9席で鑑賞。平日なので意外と空いてた。よかった。
カッコええ❤
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