「必要悪の奥に灯るもの」孤狼の血 shinさんの映画レビュー(感想・評価)
必要悪の奥に灯るもの
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あらすじ
暴力団抗争が続く街で、違法な手段もためらわない刑事・大上と、
まっすぐな“正義”を信じる新人の日岡が、裏と表が入り混じる世界に踏み込んでいく。
組織の腐敗、人情、義理…いろんなものが入り乱れる中で、
ふたりの“正義”も思わぬ形に揺れていく。
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感想
見終わったあと、胸の奥にうまく言えない重さが残った。
善悪とか正義とか、そういう言葉だけでは片づかない世界を、
そのまま差し出されたような感覚。
大上は明らかに違法だし、いいことをしているとは言いづらい。
でも、後半になるにつれて、なぜか彼の方に気持ちが寄ってしまう。
カタギを守ろうとする姿勢とか、
日岡に向けた不器用な思いやりとか、
仕事への向き合い方とか…。
必要悪のようなものの奥に、
ちゃんとした“人の気配”みたいなのがあって、
それがじわっと滲んでくる。
日岡は最初、教科書みたいな正義に忠実な男に見えるけれど、
大上と関わるうちに、
その正義だけでは届かない現実にぶつかっていく。
まっとうでいたいのに、
まっとうなままでは折り合えない場面があって、
そこでもがきながら、
彼なりの正義を少しずつすり合わせていく感じが印象的だった。
どっちが正しい、とは最後まで言い切れない。
ただ、その曖昧さごと抱えた物語が、
自分の中にも“正義ってなんだろう”という問いを残していった。
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