劇場公開日 2018年5月12日

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「江口洋介の役名がモリタカとはこれいかに」孤狼の血 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0江口洋介の役名がモリタカとはこれいかに

2021年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

 ビックリドッキリ・・・極道は駒。わしゃ曲芸師じゃけぇの。狂気の沙汰も結局は計算ずくだったということか。役所広司の暴力団以上の暴力ぶりには恐れ入ったし、ストーリーもしっかりしている。深作欣二の描いた実録モノよりもはるかに訴えてくるものがあった。

 とにかく、豚に真珠、極道にクソ。マル暴刑事の内面をえぐり出し、癒着している警察の姿も惜しみなく描き、復讐という人間本来のサガを見せつけてくれた。ただ、県警幹部についての描写はもう一歩踏み込んでほしいところだ。内偵を命じた滝藤賢一も単なる駒でしかなくなってしまう。

 役所広司演ずるベテラン刑事大上の頭の中を覗いてみたい。そんな衝動にもかられる重厚な人間関係。単純な尾谷組と加古村組のソシオメトリーじゃなく、殺人事件の背後関係、それに梨子ママ真木よう子を中心にしたエロ親父たちの肉欲まで絡んでくる。そして、偶然とは言え、特徴のあるZippoというアイテムが関係を結びつけるのだ。

 ヤクザ映画なんて好きじゃないけど、これは見応えがある。『日本で一番悪い奴ら』の綾野剛も面白かったけど、やっぱり役所広司だな。深作欣二の後継者は北野武ではなく、間違いなく白石和彌だということだ。単に暴力の世界に踏み込むだけじゃなく、カタギを守るために自らを犠牲にする人間。日岡のように観客もすっかり騙されるのは柚月裕子の原作のみならず、監督や俳優の熱い心があったからなのだろう。

kossy
きりんさんのコメント
2021年9月29日

50数年前、幼稚園時代、近所に養豚場と養鶏場があってですね、傷もけがれも無い純白の心のきりん少年はいつも豚小屋に遊びに行っていたものです。

あの巨大な体と荒々しい動き。そして耳をつんざく叫び声と狼のような牙の大きさ、鋭さ。
汚物にまみれて僕に突進し喰いかかってくる豚を観察するのが大好きで。

豚の次は養鶏場へ移動です・・
おじさんが「おい坊主、ヒヨコやろうか?」と訊いてくれます。オスのヒヨコならただでくれると。

「オスは玉子を産まないからぜんぶそのまま、生きたまま豚の餌さ」
ということでした。

「・・・」

オスのヒヨコに生まれないで良かったと心底思ったのが、わたくしのチキン人生の始まりでございます。

きりん