「タガを振り切った男たちがもたらすカタルシス」孤狼の血 ぐちたさんの映画レビュー(感想・評価)
タガを振り切った男たちがもたらすカタルシス
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映画は豚の飼育舎で男が拷問される場面で始まる。豚の肛門とそこから排泄される糞。糞は男の口に押し込まれる。冒頭にいきなり山場を一つ置く映画は多いが、いきなりのインパクトである。
虚栄と保身のため、性欲と食欲を満たすために、ぶつかり暴れる男たちが描かれる。自らの欲望を満たすために生きる生き方は、ヤクザも警察官もかわらない。
あるいは我々、たまたま昭和のヤクザでも警察官でもない者も、欲望の発動を日常生活を送るうえで必要なタガの範囲内におさめているだけで、生き方の本質は彼らとそう変わらないであろう。
暴力表現、人体損壊の描写は厳しいものがあるが、しかし、願望を抑圧されることが多い日々を送る者には、タガを振り切った彼らの姿はカタルシスとなるだろう。
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