劇場公開日 2018年5月12日

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「円熟の役所広司と成長著しい松坂桃李」孤狼の血 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0円熟の役所広司と成長著しい松坂桃李

2019年2月8日
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鑑賞方法:映画館

興奮

怖い

松坂桃李は、二枚目であることに執着せず、役者業に真摯に取り組んでいて、好感をもつ。

この映画は、ヤクザ同士の抗争を背景に、ある特殊な刑事の生きざまを描いたサスペンス活劇である。
「仁義なき戦い」シリーズが引き合いに出されているが、広島ヤクザ抗争が舞台なのであえて模倣した表現はあるものの、全くテーマは異なるので、その辺は要注意。

形式としては、
アウトローなベテラン刑事が真面目な新人刑事の教育係となって捜査を進める、バディ・ムービーだ。
教育係はルール無用の不良刑事のようで実は正義漢だった。
新人は、最初は反発しながらも徐々に先輩の行動の真相を知り、理解者となって成長を遂げる。
と、全くセオリーどおりだ。

ところが、この映画はセオリーを下敷きにしながら、ヒネリを効かせて独自の世界を構築している。
伏線が巧妙で、終盤に縺れた糸を一気に解いていく見事な構成。

登場人物のキャラクターが、それぞれの役者の魅力もあって面白い。
ヤクザ達のキャスティングは意表を突いているが、皆はまって見えるから不思議だ。
見馴れたヤクザは石橋蓮司だけ。

新人刑事松坂桃李は、県警からある使命をもって所轄に送り込まれているのだが、
これが巨悪というほどでもない中途半端な点が物足りない。
だが、これも滝藤賢一のキャスティングが効果をあげている。
最後に松坂が突きつけるしっぺ返しも、県警幹部を脅かすほどの材料なのか?と、疑問ではあった。

kazz